【子育て】いくら勉強や習い事をさせても身につかない?小児科医が解説する「努力不足ではない」理由
「からだの脳」が育っていないと、いくら勉強や習い事をしても身につかない
土台が揺らいだままではうまくいかない
子どもが勉強に集中できない、習い事のスキルがなかなか身につかない。そうした様子を見ると、「やる気や練習量が足りないのでは」と考えたくなるかもしれません。ただ、このときに確認してほしいのが、からだの脳の状態です。
集中したり、考えたりする力は、突然あらわれるものではありません。睡眠や食事といったからだの脳が担う土台が整っていて、はじめて安定して発揮されます。からだの脳が担っているのは、学習そのものではなく、学習を支える「受け取る準備」です。
たとえば、寝不足が続いている状態を想像してみてください。頭がぼんやりする、姿勢が崩れる、落ち着きがなくなる。大人でも、そんな感覚に陥ります。その状態で新しいことを覚えようとしても、なかなか頭に入ってきません。
子どもも同じです。からだの脳が十分に休めていないと、脳は常に生命維持を優先します。眠気や空腹、だるさといった感覚が前に出て、学ぶことに使える余力は残りにくくなります。その結果、机には向かっているのに集中が続かない、話を聞いているようで頭に残らないといったことが起きやすくなるのです。
このとき、「もっとやらせよう」と勉強量や練習量を増やすとどうなるでしょうか。からだの脳が整っていないまま負荷を足せば、疲ればかりがたまっていきます。本人なりに頑張っているのに成果が出ず、自信もやる気もなくしていってしまいます。
大切なのは、努力不足と決めつけないことです。うまく身につかない理由が、意欲や能力ではなく、土台の状態にある場合はとても多いのです。実際、子どもの努力が足りないことが原因というケースは、ほとんどないといえます。からだの脳が安定すると、集中できる時間も少しずつ伸びていきます。その状態で取り組む学びは、無理なく頭に入り、力として積み重なります。
【出典】『子ども脳疲労』著:成田奈緒子
【著者紹介】
成田奈緒子(なりた・なおこ)
小児科医・医学博士・脳科学者。発達脳科学を専門とし、子どもの睡眠や生活リズムと脳の発達の関係を長年研究。医療現場で多くの親子と向き合うなかで、子どもの不調の背景には睡眠不足や過干渉など家庭環境の影響が大きいことに着目する。脳の発達段階に即した子育てのあり方を提唱し、講演・執筆活動を通じて広く発信。親子支援事業・子育て科学アクシスを主宰し、保護者向け講座や教育支援にも力を注いでいる。著書に『誤解だらけの子育て』(扶桑社)、『子育てを変えれば脳が変わる こうすれば脳は健康に発達する』(PHP 研究所)、共著に『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SB クリエイティブ)などがある。