標高1,000mにしか生えない幻のきのこ。花びら茸と森の環がつくる新しい食卓
11月10日のゲストは、株式会社 森の環(もりのわ)代表取締役社長 春日勝芳(かすが かつよし)さん。富山県のきのこメーカー・森の輪は、おいしくて栄養豊富な花びら茸を販売し、日本一の生産量を誇る企業です。どんな料理にも合う花びら茸を通して心ゆたかな食卓に貢献し、農業や地球の “健康” も支える森の輪の取り組みについてうかがいます。
“幻のきのこ” 花びら茸
西田 森の環の主力商品はなんでしょうか?
春日 生産量が最多のしいたけに加えて、最近はきくらげと花びら茸(はなびらたけ)にも力を入れています。今回ご紹介するのは、“幻のきのこ” とも呼ばれる花びら茸です。
西田 “幻のきのこ” とは気になりますね。採るのが難しいということですか?
春日 一般的なきのこの旬は秋ですが、花びら茸は夏に生えます。しかも、標高1000m以上の針葉樹林にしか自生しないので、見つけるのがかなり難しいんです。
西田 安定して販売するのが大変そうですね。
春日 30年ほど前に人工栽培に成功し、いまでは栽培から販売まで一貫して自社でおこなっています。
西田 なるほど。すごいですね。
春日 こちらが森の輪の花びら茸です。
西田 白い花びらのようで綺麗ですね。
春日 そのまま食べてもおいしいので、ぜひ召しあがってください。
西田 シャキシャキとした歯ごたえと独特の風味がクセになります。いいおつまみになりそうです。
春日 和洋中どんな料理にも花びら茸は合うんですよ。
西田 栄養もたっぷり含まれているんだとか?
春日 食物繊維のベータグルカンが多く入っています。ビタミンDが豊富なのも特徴ですが、実は収穫時にはまったく含まれていないんですよ。
西田 不思議ですね。どういうことですか?
春日 日光などの紫外線に当てることで、摘み取ったあとでもビタミンDがどんどんつくられるんです。わたしたちは、工場で紫外線を当ててから花びら茸を販売しています。
西田 “日光浴” をしてしっかりとビタミンDを蓄えた花びら茸を売っているんですね。
春日 日本人の多くはビタミンD不足だと言われています。花びら茸でぜひ栄養を摂ってほしいです。
朝食にも夕食にも、食卓の万能選手
西田 おすすめの調理方法はありますか?
春日 どんな食材にもよく合いますが、すき焼きにいれるのがわたしの一推しです。花びら茸の旨味が割り下に出ますし、牛肉や野菜の旨味は花びら茸が吸ってくれるんですよ。
西田 “旨味の交換” が起きるということですね。鍋に1パックまるごといれても、ペロリと食べきってしまいそうです。
春日 手軽に食べたいときは、油で炒めたり電子レンジで加熱したりするだけでもおいしくなります。
西田 「花びら茸」のスープシリーズという商品もあるんだとか。
春日 花びら茸を使った、フリーズドライのスープと味噌汁です。たった1杯で1日分のビタミンDを採れるのがポイントなんですよ。
西田 箱型のパッケージが気になりますね。
春日 下の取り出し口から1袋ずつ取り出せる仕掛けになっているんです。食卓やキッチンに置いておけば、忙しい朝にもサッとスープを楽しめます。
西田 森の環の花びら茸はどこで購入できるんでしょうか?
春日 最近はスーパーマーケットにも並んでいて、首都圏の「ライフ」全店舗に置いていただいています。ほかにも、オーケー・ヤオコー・マルエツ・いなげやの一部店舗で販売中です。
西田 近所でも売っているかもしれないので、探してみたいです。オンラインでも購入できますか?
春日 オンラインストアの八百万屋(やおよろずや)で全国どこからでも購入できます。
ひとの健康も地球の健康も
西田 「森の環」は素敵な社名ですね。
春日 環(わ)のように人々や社会とつながることと、環境を意識することの2つの思いを込めています。2018年に経営理念とともに改めました。
西田 新たな経営理念はなんでしょうか?
春日 「農業に新しい価値を創造して、心ゆたかな食と地球の健康に貢献しつづけます」というものです。農業にしっかり専念することを宣言しました。
西田 芯のあるまっすぐな経営理念ですね。
春日 「心ゆたか」というのがポイントです。高価な食材でなくても、おいしいきのこを食べて心がゆたかになる。そんな生活をつくりたいと思っています。もうひとつのポイントは「地球の健康」です。
西田 ひとだけでなく、地球環境の “健康” にも貢献したいということですね。
春日 花びら茸はまだまだ認知度が低く、知らない方が圧倒的に多いんです。もっと多くのひとに知ってもらうべく、今後も取り組んでいきます。
西田 おいしくて栄養も摂れるということは、今日はじめて知りました。
春日 花びら茸をてこにして、森の輪は農業と地方の再生も目指しています。
西田 「農業」に取り組むという経営理念にもつながりますね。
春日 おっしゃるとおりです。地方の耕作放棄地を活用してきのこを育てられないかと、いま考えています。
西田 おいしい花びら茸で、健康も農業も地方も支える。素敵な取り組みを応援しています。
(TBSラジオ『見事なお仕事』より抜粋)