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J2降格瀬戸際のベガルタ仙台、東日本大震災から10年目の試練

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手倉森誠監督,Ⓒゲッティイメージズ

5試合ぶり勝利も19位

J1も残すところ5試合となり、気になるのは残留争いの行方だ。今季はコロナウイルスの影響により、暫定的に20チームで開幕したが、来季再び従来の18チームに戻すべく、下位4チームが降格の憂き目に遭う、過酷なシーズンなのだ。

その中で現在わずか5勝と苦しむベガルタ仙台。前節まで最下位だったが、23日に行われた広島戦でようやく5試合ぶりの白星を挙げたものの、いまだ降格ゾーンは脱出できず、苦しい戦いが続く。

人々に愛され、東日本大震災発生時には復興の希望となり、リーグで一定の存在感を見せているクラブに何が起きているのか。悲劇は昨シーズンから始まっていた。

コロナウイルスの影響により、観客入場制限による入場料収入が激減、スポンサー収入も3億円近く減り、約7億円の赤字を計上することになったと異例の発表があったのが昨年9月末。この時ユアスタで行われたホームゲームでは菊池秀逸社長(当時)自らが募金を呼びかけるなど、事態は深刻だった。

しかし、サポーターの心をつなぎとめ前をむこうと試行錯誤していた矢先に、元所属選手が不祥事を起こすという痛ましい出来事が発覚、募金活動も中断せざるを得なくなり、まさに負のループにはまってしまった。

結果、2020シーズン、ベガルタは17位で終了。コロナウイルスの影響を鑑みた措置の恩恵により降格は回避できたが、すでにチームとしては崩壊していたと言われても仕方ない。

深刻なクラブ経営状況悪化の影響

迎えた今シーズン、経営陣を一新し、指揮官には8年前にも仙台を率い、後に五輪代表監督へとステップアップしていった手倉森誠氏が帰ってきた。

昨季の悪夢を振り払うような一年を誰もが期待したが、チームは出だしからつまずく。初勝利を挙げたのは5月の柏戦。実にリーグ10戦も勝利から見放されてしまい、年間を通して降格ゾーンが「指定席」となった。

希望の光が見出しづらい仙台だが、残念ながら不振が続く最大の要因もクラブ経営の影響だろう。現在、彼らの債務超過がどれほど解消したのか、その詳細は分からない。

しかし、「クラブ存続の危機」とまで言われた状態では当然ながら、選手の獲得に資金を投下することはできない。チームが好循環していくためには、組織構築とともに、どうしても一定の「新しい血」の注入が望まれる。

それは攻撃面において如実に現れるだろう。ゴールまでの過程において相手が予想もしえないようなプレーで裏をかくことはひとつのアクセントになるが、メンバーや崩しのパターンが固定化してくると、そういったプレーも生まれにくくなる。

今季の仙台は厳しい財政状況ながら、FWに日本代表経験もある皆川佑介、Jでの経験豊富なマルティノスらを獲得し、期待は感じさせた。

しかし、夏場にそのマルティノスが退団、さらに守備の要であったDFシマオ・マテまで退団するなど、運にも見放され、戦力値を落としている感は否めない。

神戸、名古屋の2連戦がJ1残留へのカギ

たとえ、来季J1参戦の権利を勝ち取ったとしても、すぐに経営が上向く訳ではなく、ましてや、J1仕様の戦力を整えるのは至難の業。すでにクラブはJ2降格を見越して、チームを長期的に再編できる人物が必要だと考えているのではないだろうか。

J2降格となると何人かの人材の流出は避けられない。チーム再構築へ、仙台をよく知る手倉森氏は適任だ。来季以降を見据えた傭兵だとしたら、クラブの思惑も理解できる。

とはいえ、J1なら得られる分配金3.5億円はJ2では半額以下になり、スポンサーも離れていく懸念がある。世間の注目度も下がってしまう。経営のため、クラブのために遮二無二J1にしがみつくことがいいのか、一度すべてをリセットして再建するのがいいのか、今はその答えは見えない。

もはや一刻の猶予もない。今節、久しぶりに勝ち点3を挙げたとはいえ、依然残留圏内16位の湘南とは勝ち点5差があり、連勝連敗しなければ届かない数字だ。

さらに仙台は次節神戸、続く35節で名古屋と、ACL出場権を狙う両チームとの連戦が続く。厳しい状況だが、どちらかから勝ち点3を奪わなければ残留争いから抜け出すことはできないだろう。

36節には湘南との直接対決を控えている。少しでも上との差を縮めてこの試合を迎えるためにも、ACLを狙う強豪との2連戦が今季の仙台の命運を決定づけると言っても過言ではない。

震災から10年目に訪れた困難。市民と共に強くなってきたクラブは、きっとこの試練も乗り越えていくはずだ。

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記事:中島雅淑

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