なぜ好景気と不景気を繰り返すのか?【眠れなくなるほど面白い図解プレミアム経済の話】
1:好景気と不景気はどうして起きるのか
世の中の景気がよい時には、モノがよく売れ、企業も生産力増強に取り組みます。従業員に賞与や残業代をはずみ、賃金アップも実施して、新たな人員募集も行うでしょう。当然、失業率も下がります。強気の企業は、さらに儲けるため、銀行からお金を借りて設備の増強に励んだり、新たな投資にも乗り出していくでしょう。また、世の中全体にお金が回れば、収入の増えた人は、外食や旅行にもどんどんお金を使うことでしょう。
しかし、こうした状況はいつもでも続きません。やがて、モノやサービスを欲しがっていた人々も、ひとしきり揃えば満足して、お金を使わなくなります。だんだん、モノやサービスの需要が落ちていくわけです。これが景気の下降局面で、不況への足音が近づいてくるのです。
企業はモノが売れなくなると、好景気の時とは打って変わって逆の動きを始めます。工場には在庫が積み上がり、経営が厳しくなるにつれ、従業員の賃金カットやクビ切りに走る企業も出てきます。借金が返せなくなった企業は倒産します。こうなるともう、世の中全体が不況色に染まるのです。先行きの見通しが暗いため、誰もが生き残りのためにサイフの紐を固く締めていきます。こうして、不況の波にあまねく覆われていきますが、やがて時が経つにつれ、売れずに価格を下げていたモノやサービスも、少しずつ売れるようになっていくでしょう。
これが不況からの回復期に相当します。このように「好景気と不景気」循環し、山と谷のような弧を描いていくのです。これを「景気の循環」と呼び、この循環には「長期」「中期」「短期」の波動があるとされています。
景気の波は循環する
・好景気の時
物が売れる⇒企業が儲かる⇒賃金が上がる
・不景気の時
物が売れない⇒企業が儲からない⇒賃金が上がらない
好景気と不景気、すなわち好況と不況は時期とともに循環し、山と谷のような弧を描くように動いていきます。
景気の循環⇒長期の波動・中期の波動・短期の波動
【経済とお金の豆知識】
19世紀後半の英国の経済学者 W・S・ジェボンズは、太陽活動と経済活動が関連する説を提起しました。太陽黒点が11年周期で増えると、太陽エネルギー活発化の恩恵で景気がよくなるという説でした。
【出典】『眠れなくなるほど面白い図解プレミアム経済の話』著:神樹兵輔