細田守監督＆神木隆之介さんが登壇！名古屋市初の国際アニメーション映画祭が開催
名古屋市初の国際アニメーション映画祭「あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル（ANIAFF）」が誕生。
2025年12月12日（金）～17日（水）の6日間、「第1回あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル」が開催されました。期間中は、世界各国・地域からジャンルや、最先端の優れたアニメーション作品、アニメーション界の重要なゲストが国内外から集結。「ミッドランドスクエア シネマ」と「109シネマズ名古屋」を中心に、日本が誇るアニメーション映画が上映されました。
12月13日（土）には、「109シネマズ名古屋」にて映画『サマーウォーズ』の上映会が実施され、その後のトークセッションでは細田守監督が登壇しました。そしてなんと今回は、スペシャルゲストに神木隆之介さんも登場！この記事では、当日の様子をレポートします。
愛知初の国際映画祭が誕生！細田守監督が登壇
――「あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル」略して、「アニャフ」。本日は、アニメ映画『サマーウォーズ』を手がけた細田守監督にお話を伺います。よろしくお願いいたします。
細田監督
皆さんこんにちは、細田守です。よろしくお願いします！
――今回初開催された「アニャフ」にどんなイメージを持たれていますか？
細田監督
これまで世界各地で開催されているアニメーション映画祭に参加してきましたが、どの街でも、映画祭は街と一体となって盛り上がっているという印象があります。日本で開催されている「アニメーション映画祭」は広島が有名ですが、名古屋でも誕生したということはとても素晴らしいことですね。「アニメーション映画祭」の楽しさや、面白さを感じてくださるとうれしいです。
――ありがとうございます。ではここからは、映画『サマーウォーズ』についてお聞きします。この作品は今から16年前に上映されましたが、当時インターネットの世界は発達していませんでした。しかし「OZ（オズ）※1」の世界も、AI「ラブマシーン※2 」も、今では現実のものになっていますよね。
細田監督
そうですね、『サマーウォーズ』は2009年の公開。インターネット上に広がる「OZ」と呼ばれる世界で、田舎の大家族が世界の危機と戦うという物語です。当時、AIはSFだと思われていましたが、今改めて考えるとかなり現実になっていますよね。AIやインターネットが普及して、身近なものになるなんて思いもしなかったです。そして、インターネットの世界に対して希望を持っていて、すごく健全で明るい作品だなと感じていました。
――作品に出てくる登場人物の中で、細田監督は“栄おばあちゃん”が印象的なキャラクターだとおっしゃっていましたが、その理由はなぜでしょうか。
細田監督
“栄おばあちゃん”のモデルになったのは、私の母方の母。つまり祖母です。栄おばあちゃんは、“当主として陣内家をまとめ、若者を励まし鼓舞する”ような性格で、祖母をイメージして描きました。祖母の名前は橋本勝代と言うのですが、実は昔私がこのペンネームとして使っていた時代もありました。
主人公の声を演じた神木隆之介さんがサプライズ登壇！
――主人公・小磯健二の声は、神木隆之介さんが務めていますね。そこでなんと今日は、シークレットゲストをお呼びしています。それではご登場いただきましょう‼神木隆之介さんです。
細田監督
え、マジ⁉ めっちゃ久しぶり‼
神木さん
お邪魔しております。神木隆之介です！
細田監督
ものすごく久しぶりですよね。『サマーウォーズ』以来ですね。大きくなったね！
神木さん
32歳になりました。
細田監督
アフレコの当時は16歳⁉
神木さん
高校1年生でした。
細田監督
今はその年齢の2倍ですよね、16×2で32歳。でも当時のみずみずしさっていうか、神木くんの素敵な感じっていうか…今も全然変わってない！「（『サマーウォーズ』の制作を）もう一回やりましょうか」と思ってしまうくらい、いつまでも素敵な“何か”を今でも持っていますね。
神木さん
うれしいです。
――ここからは、お二人にお話をしていただきたいと思います。細田監督が、主役の声優に神木隆之介さんを選んだ理由はなんだったのでしょうか。
細田監督
小磯健二は、知的な性格だと思っています。だからその人柄や性格にふさわしい人にお願いしたいと考えていました。声優をお願いした当時、神木くんはすでに有名な存在でしたが、声変わりをした“声”で出演している作品はまだありませんでした。だからその声がとても新鮮で魅力的だったのでオファーしたんです。でも当時感じた魅力的な声は、ずっと変わらないですね。
神木さん
ありがとうございます。
――神木さんは、役が決まったときの思い出はありますか？
神木さん
「声を聞かせてくれないか」と細田監督に呼ばれて、結果は後日に聞かされるという流れでした。その時はまだ高校生で「いろんなことに挑戦したいな」と思っていたので、小磯健二役が決まったときは純粋にうれしかったですね。現場もすごく楽しかったのを覚えています。
――数学が得意な天才少年という設定を演じるうえで、苦労したことはありましたか。
神木さん
“数学が得意・天才少年”という設定で苦労したことはありませんでしたが、アフレコは初めての経験でした。細田監督から「家族のシーンは、実際に声優が集まってアフレコしたいね」という指示もあり、4～5人の声優さんたちと1本のマイクを順番に使って録音したんです。それが結構難しかったですね。セリフを言ったらスッと引くという作業の繰り返しで、テンポ良くしゃべらなければならなかったので、声優さんの足を引っ張らないように頑張りました。
――この作品で気に入っているシーンまたは、作品にまつわるエピソードがあれば教えてください。
細田監督
神木くんの隣に座って顔を見合わせていると、次々と思い出がよみがえってきます。一番心に残っているのは、丸いちゃぶ台のまわりを走り回って、リモコンを奪い合うシーンです。アニメーターの方がとても上手に作画を描いてくださって、それに合わせて神木くんがコミカルな声を入れてくれました。そのシーンは何度もアフレコをしたのですが、やるたびにどんどん作画に近づいていって「神木くんは作品を自分のものにしていける人物なんだな、すごいな」と感じたのを思い出しました。
――神木さんはいかがですか？
神木さん
現実世界を生きる登場人物と「OZ」のアバターは、同じ人物でありながら、それぞれ声のニュアンスが少し変わっているのが好きです。アバターの時は、現実世界よりも少し丸く、キャラクター性のある声をしているのが面白い！細かい部分まで描かれているのがすごいなと思いました。
細田監督
二面性がありますよね。
――アバターの声を入れるときは「声を変えてほしい」という指示はあったのでしょうか。
細田監督
詳しく覚えていないのですが、特別に指示したことはなかった気がします。むしろ自然な声を出してもらうようにお願いしていました。おそらく健二の2つの声は、神木くんが上手に演じてくれたから、自然に声が変わっていたのではないかなと思います。
――神木さんは『サマーウォーズ』の声優を経験した後、キャリアに変化がありましたか？
神木さん
ファンの方のみならず、ドラマ・映画の撮影現場で「『サマーウォーズ』が好きだ」と言っていただけることが多いです。声優業のプロではないので未だにわからないこともたくさんありますが、そうやって言われるたびに誇らしい気持ちになりますね。あと毎年夏には「金曜ロードショー」で放送されているのも誇りに思いますし、一視聴者として楽しんでいます。
――この作品が長い間多くの人に愛される理由はなんだと思いますか。
細田監督
この作品は、自分自身が当事者として作ったものなので、正直どうしてこんなに愛されているのかわからないです。でも、こうやって時間が経っても愛していただけるっていうことや、スタッフとキャスト、そしてお客さんに恵まれたこともとても幸運なことです。すべてのものがそうやって思ってもらえるわけではないので、この作品は「幸運な作品で良かったね」と思います。
神木さん
私も監督と同じで、わからないです。自分自身が携わった作品って、どんなものでも全部愛しているんです。だからみんなにも愛してもらいたい！でもそれは、たまたま皆さんが愛してくれてるからなのであって、“なぜか”っていう理由はわからないんですよね。だから「ただただ純粋に愛してくれてありがとう」っていう気持ちでいっぱいです。
――神木さんは今年で芸歴30年ということで、何か思うところはありますか。
神木さん感謝の気持ちでしかありません。純粋に「芝居をすることが大好き」という気持ちだけでやっているので、いつの間にか30年たったんだなという気持ちです。周りの方々や、今まで出会わせていただいた方々にたくさん助けていただいたからこそ、ここまでがむしゃらに走ってくることができました。
――12月30日には、渋谷で30周年を記念したトークイベントも行われるそうですね。
神木さん
そうなんです。過去の作品を振り返りながら、ファンの方々と楽しい時間を過ごせたらなと思っています。
――その時はぜひ『サマーウォーズ』にも触れていただけるとうれしいです。
あの名セリフも⁉細田監督＆神木さんからメッセージ
――それでは最後に2人からメッセージをいただきたいと思います。
神木さん
今日は、突然お邪魔させていただきありがとうございました。この作品を長く愛していただいて、本当にうれしい気持ちでいっぱいです！ちょっと出るかどうかわからないですけど、久しぶりにあの言葉を言ってみてもいいですか。初めてマイクを使って言うので音量に気を付けてくださいね。
「よろしくお願いしまぁぁぁす！！！」
観客
（拍手）
――ありがとうございます！すごく素敵なプレゼントをいただきました。
神木さん
いえ、とんでもない。ありがとうございます。
――では、監督からもメッセージをお願いします。
細田監督
先ほどの神木くんの「よろしくお願いしまぁぁぁす」は昨日のことのように覚えています。あの時一緒に映画を作ってた時間は、