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大相撲の番付の決め方、「上位の渋滞」により三役に昇進できない不憫

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イメージ画像,ⒸJ. Henning Buchholz/Shutterstock.com

2場所連続10勝も前頭筆頭の霧馬山

大相撲名古屋場所の新番付が発表された。夏場所は大関が不調で関脇以下の力士に勝ち越しが多かったこともあり、番付の上がり幅が小さい力士が目立つ。

先場所は東関脇の若隆景が勝ち越し、西関脇の阿炎は7勝8敗。小結の2人は勝ち越しており、関脇が7勝8敗だった翌場所は小結に陥落が慣例なので小結以上に空き枠が出ず、前頭上位で好成績を残しても軒並み前頭に据え置かれた。

ここ数年、いわゆる「上位の渋滞」が起こることが多く、三役昇進へのハードルが高くなっている。霧馬山は春場所は前頭4枚目で10勝、夏場所も前頭2枚目で10勝と連続2桁勝利を挙げたが名古屋場所の番付は東筆頭にとどまった。

役力士には定員はない。大関・関脇・小結は東西に各1人おくことは必須とされているが、3人以上在位していても問題はない。事実、現在は大関は3人いる。そして場所によっては小結や関脇が3人以上になることもある。

かつては張出という形で番付の欄外に記し、「本来は東西に各1人だけれども、その地位にふさわしい力量があるので、その地位として認めます」という形を取り、3人以上在位させる場所も存在した。

近年でも令和元年11月場所が4小結だった。また昭和47年7月場所は関脇に5人在位していた。過去にこのような事例があるため、小結や関脇を3人以上にしてほしいというファンの声は多い。

東前頭筆頭で勝ち越しなら100%三役

番付は1点勝ち越すと1枚上昇が目安と言われる。つまり、前頭筆頭であれば8勝、2枚目・3枚目なら9勝、4枚目・5枚目なら10勝が小結昇進へ「合格点」と言える。夏場所では先述した霧馬山のほか、琴ノ若・玉鷲・隆の勝の4人がこの「合格点」に達したが三役に上がれた者はいなかった。

もちろん、番付とは他者との兼ね合いもあるので、この「合格点」に達したからと言って必ずしも昇進を約束される性質のものではないが、霧馬山・琴ノ若・隆の勝にいたっては過去事例からすれば十分に三役に上がれるだけの成績を残しての昇進見送りだった。


だが、定員はないために好成績を残していけば、いつか辿り着ける地位であるともいえる。過去事例では他者がどのような成績を残していようとも、小結で11勝以上挙げた力士は翌場所関脇に昇進しており、東前頭筆頭で勝ち越した力士も平成以降では全員三役に昇進している。

令和元年11月場所は4小結だったが、この前の場所は小結2人が勝ち越しており、「三役の枠」はなかったが、東前頭筆頭で勝ち越した北勝富士が翌場所の三役をつかみ取った。令和2年7月場所に小結で11勝を挙げた大栄翔も、その場所は関脇2人が勝ち越していたが「3人目の関脇」として昇進した。

平幕で2桁勝っても大関の足掛かりにならない?

今場所のような事例があると三役に昇進するためのハードルは非常に高くなっていると言えるのだろうが、上位が勝ち越していても昇進を絶対的に否定されるものではない。とはいえ、ほぼ同じような相手と戦って好結果を残せなかった大関がそのまま大関に据え置かれ、負け越した阿炎も関脇だったという理由だけで小結に留まっている。

そのような力士と比較すると、好成績を残した霧馬山や隆の勝が平幕に据え置かれることを不憫に感じるファンが多いことも確かだ。

そして何よりも、大関昇進を目指すとなると、よほどの好成績を残さないと三役に3場所在位し続けることが求められる。仮に霧馬山が名古屋場所で好成績を残した場合、小結についていれば大関昇進への足掛かりとなるかもしれないが、平幕ではそれが足掛かりとなる評価をされない懸念もある。

番付はあくまでも相対評価であり、他者との兼ね合いで上がり幅が大きくなったり、小さくなったりすることは仕方ないが、三役に定員はないからこそ、その地位にふさわしいと言える成績を残した力士を評価してほしい。そして三役に上がりそびれた霧馬山、琴ノ若、玉鷲、隆の勝といった力士の名古屋場所での健闘を期待したい。

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記事:横尾誠

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