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キムタツコラム④試験対策をしすぎて点が取れない人の特徴

HUB沖縄

 国内有数の進学校、灘中学校・高等学校(兵庫県)の元英語教員で「夢をかなえる英単語ユメタン」シリーズや「東大英語基礎力マスター」シリーズなど数多くの有名参考書を手掛けている作家の木村達哉さん。 「NPOおきなわ学びのネットワーク」 を立ち上げて沖縄の生徒の学びを支援しているなど、沖縄に縁深く活動している木村さんに、教育に限らずさまざまな角度からコラムを書いてもらいます。

共通テストの英語は「使えない」

 皆さん、こんにちは。大学入試共通テストが終わりまして、今ごろは受験生たちも一喜一憂しながら出願の準備をしている頃ではないでしょうか。共通テストに関して言えば、英語以外の平均点が非常に低くなりましたね。英語は超がつくほど簡単でした。

 センター試験が共通テストに変わるとき、「使える英語」とか「考える力」とかいった言葉が跋扈していましたけれども、実際のところは共通テストになってから「使えない英語」「考えなくても解けるテスト」に変化しました。この共通テストを続けていくと、何年か後に日本人の英語力が劇的に低くなるのは確実です。

 多くの英語科教員の嘆きが日本中から聞こえてきていますが、文科省の役人が現場の声に耳を傾け、まともなテストに改めてくれることを切に願っています。共通テスト全体の講評については、こちらで話しましたので、お時間のあるときにご覧ください。

対策をして打ったヒットは次につながるのか

 さて、毎年のことなのですが、この時期になると僕のHPに多くの方々からメールが届きます。多くが「どういう対策をすれば共通テストで点数が取れるか」とか「東大のリスニング対策はどうすればいいか」とかいったものです。それなりには返信させていただく(キムタツチャンネルで回答するという形を取っています)のですが、正しく勉強をしていれば、それほど対策をする必要なんてないのになぁ、あまり対策をし過ぎると点数が取れなくなる可能性もかなり高いのになぁという気持ちになります。

 例えば、野球を例に挙げますね。
 相手投手がどういうボールを投げるのかわかっている場合って対策が有効じゃないですか。次に対戦するのがドラゴンズの柳投手だとします。彼の場合、カーブが極めて有効な武器ですので、対戦までに打撃投手にカーブを投げてもらってひたすら打つとかいった対策を講じるのは正しい姿だと思うんですね。高校野球だって、スコアラーが持ってきた資料を分析し、相手投手の分析をする時代です。

 ただ、それでヒットを打てたからといって、そのバッターに本当に打つ力があると言えるんでしょうか。だって、初めて対戦する投手が打てないのであれば、たまたまその日の柳投手は打てたかもしれないけれども、打率はあまり上がらないのではないかと思いますね。それに、次に対戦する際には柳投手も投げ方を変えてくるでしょう。そうなるとやはり打てなくなるはずです。その点で言えば、アメリカに渡っていきなりヒットを量産したイチロー選手はやはり打つ力があったということになります。

 勉強にしても同じです。英検などのように出題される問題が事前にある程度わかっている場合、対策は有効になります。が、それで合格したからといって英語力が身についているかというと全くそんなことはありません。対策もなにもせずに検査を受けて合格したのであれば別ですけれども。

 「対策をどうすればいいですか」というご連絡をいただいた場合、昨年の問題に関してはこういう対策をしていればよかったと思いますが、それが来年にも通用するかはわからないですよという答え方をさせていただきます。それよりも、本当の英語力、どんな問題を出されても対応できる力、野球のバッターであれば初めて対戦する投手にも対応できる打撃力ですね、それを身につけることが大事なんじゃないでしょうかと返事をするのです。

短期間の対策の脆さ

 昨年の12月21日、南城市教育委員会からご依頼を受けましてね。小学校と中学校の英語科の先生方に向けて、英語力を高くする指導法について勉強会を開いてくれないかというご依頼でした。単語の覚え方やリスニングのトレーニング方法について、70分ほどでしたか、お話をさせていただきました。

 僕が話すことは対策ではありません。それに、音読を中心とした非常にタフな勉強法です。が、確実に力が付く勉強法です。南城市の先生方がたくさんお集まりになり、帰られるときには「今日は本当に来てよかった」と言ってくださいました。指導主事の先生が「第2回、第3回と続けてお願いしたい」とおっしゃいました。

 近々なにかしらの試験があるという場合、対策することは間違いではありません。合格をして自信をつけることも大切な教育です。その合格がきっかけで、もっと英語を勉強したい!と思う生徒が増えることも重要ですからね。しかし、指導者も学習者も覚えておかなければならないことは、短期間の対策をして身につけた力はすぐに剥がれてしまうということです。明日の小テストのために頭に放り込んだ知識なんて、そのテストが終わったらすぐに忘れてしまうでしょう。僕たちが身につけるべき力とは何か。それは、どんな投手がどんなボールを投げてきても確実に打ち返せる力なのです。

出題形式が変わっても点が取れるために

 中学受験にしても高校受験にしても同じことが言えます。対策をして合格しても、合格後にも通用するような「真の力」がなければ、結局は落ちこぼれてしまうことでしょう。特に英語の場合、いくら英検1級を取得したとしても、勉強を続けなければ日々力が落ちていきます。英検1級でTOEIC満点なのにあまり英語が話せない人が多いのはそのためです。対策が悪いとは言いませんが、対策だけではどんな場面でも使える英語力を持っているとは言えません。対策だけでは、出題形式を変えられるとまったく点数が取れないんです。どんなボールが来てもセンター前に弾き返せる力を養わないといけないのですね。

 現在は新型コロナウィルスが蔓延していますが、収束に向かえばまたいろんな学校や教育委員会からのご依頼に応えて、本当の力を身につけるためにはこういう勉強をしないといけないんだよという話をするために、沖縄のいろいろな場所を訪問させていただきます。やる気満々の先生方と生徒たちにお会いするのを、心から楽しみにしています。

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