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「運が良い」と考えれば、うぬぼれずに済む。仕事をするうえで大事な考え方

さくマガ


さくらインターネット代表の田中です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。2022年は、いままで以上にお客さまとつながる1年にしたいです。さくらインターネットの創業は1996年12月23日で、昨年末に創業25周年を迎えました。

ここまで続けてこられたことは、本当にありがたいことです。創業当初は、ここまで長く続けられるとは思いませんでした。私は基本的に計画性がありません。計画してここまでやってきたというよりは、結果としてここまでこられたというのが正直なところです。
なぜここまで続けてこられているのか。「運の良さ」は間違いなくあります。
運も実力のうちという言葉がありますが、自分は運が良いと考えたほうが物事はうまくいきます。そう思う理由のひとつが「うぬぼれないため」です。
自分に力があったから成功したなんて思ってしまうと、うぬぼれてしまいます。そうなると、自分の力を過信して失敗に向かってしまいます。運が良くてありがたいなと考えていれば、うぬぼれずに済むはずです。
みなさんも「自分は運が良い」と考えて行動をしてみてはいかがでしょうか。

求められる限りは続けたい

創業25周年を迎えるまでに、幾度か引退を考えたこともあります。誰でも仕事をやめたいなと思うことはあるはずです。いまとなっては、どうして引退しようと思ったのかよくわかりません。結果的に今まで続けてこられたのは、自分が続けたかったからです。
これからも、求められる限りは続けていきたいと思います。遅ればせながら、経営のこともわかってきました。2、3年前からクラウドビジネスに集中しようと言い続けてきた結果、目指している姿にだんだんと近づけてきているように感じています。
社員の存在はもちろん大きいですが、会社のバイオリズムは経営者が作っていくものです。いまはこのバイオリズムが上がりはじめているので、この勢いを大事にしたいと考えています。

2021年12月に「さくらのクラウド」がISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)に登録されました。これもバイオリズムが上がりはじめているひとつの要因といえます。ISMAPに登録されたことは戦略上においても大変重要です。ISMAPの制度がはじまったことで、IT企業が活躍できる土壌ができました。これまで日本はメーカーが強い国でしたが、IT企業が政府調達に参加できるようになったことは大きいです。
政府もクラウド・バイ・デフォルトを提唱して、デジタル庁も創設されました。非常に当社にとってウェルカムな状態で、これもまた運が良いと感じています。逆説的に言うと、もしISMAPに登録されていなかったら営業部のみなさんをはじめ、仕事がやりにくくなっていたと思います。
ビジネスチャンスが来たというよりも、ようやくスタートラインに立ったというイメージです。

DX人材の社内教育を進める

さくらインターネットでもDX人材の社内教育を進めています。
これからのビジネスパーソンは、言われたことを淡々とこなすだけではいけません。そしてそのような仕事の価値は、どんどん下がっていきます。みなさんには
「クリエイターたれ!」と言いたいです。
いまの時代、必要とされる学びのサイクルが早いです。つねに学ぶことを意識して、周りの人が学ぶことにも肯定的である必要があります。新しいことを学んで、臆することなく実行することが大事です。
現状維持バイアスは、会社にとってネガティブです。新しい行動に対して水を差すことは、会社にとってのリスクになります。現状維持ではなく、新しいことにチャレンジする会社はすごく伸びると感じています。さくらインターネットもそうでありたいと思っています。
また、学んだり新しいことにチャレンジするうえで重要なのは、会社ではなく上司の存在ではないでしょうか。上司が部下の学びを後押しすることが大事です。上司が部下を自分のリソースと考えていてはいけません。上司の立場にいる方々には、そこを意識してほしいと思います。

沖縄からリモートワークを継続

さくらインターネットでは2020年4月から「リモート前提の働き方」へシフトしました。私自身も現在沖縄に住んでいます。沖縄は人が”わざわざ来る場所”なんです。先日も沖縄でスタートアップのイベントがあり、いろいろな人が遊びにきました。
場所は重要です。たとえば、Zoomの場合は毎回IDが発行されるので、固定の場所がありません。定期的なRoomもありますが、そこに誰かが必ずいるわけではないので、交流にはなりにくいと思います。
そういう意味でいうと、Clubhouseはよくできていました。行けば誰かがいましたから。この時間に行けばあの人がいる、といった同時性が大事なんです。
インターネットでそれを実現するのはまだ難しいので、リアルな場所が重要です。沖縄の場合、東京から離れた場所という効力もあります。
遠い場所だと精神的なハードルが下がるので、みなさんいろいろなことを話します。海外に行って日本人と会うと仲良くなりますが、その感覚と近いかもしれません。

審査する側から審査される側へ

▲出典:Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
先日「EY アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー
2021ジャパン」の関西地区代表に選出され、各地区の代表10名の中から、世界大会へ出場する日本代表を決めるための審査がありました。日本代表にはなれませんでしたが、とてもいい経験だったとあらためて感じています。
緊張しましたが、審査する側よりもされる側のほうがいいですね。あらためて審査される側の気持ちがわかりました。
「アントレプレナーでいることは重要だ」といつも言っています。今月、さくらインターネット社内でビジネスプランコンテストを開催しました。ビジコンによって審査基準は異なりますが、社内ビジコンではビジネス化を視野に、実現可能性・収益性・市場規模・競合優位性などの観点から総合的に判断しました。
新しいことをはじめる人がいない限り、会社は指数関数的には伸びていきません。多くのチャレンジが必要です。実際にやれている会社は少ないですが、新しいことをする人がどんどん増えていくことで加速していきます。さくらインターネットは、そのような状態が常にある会社でありたいと考えています。

仕事が面白くないと感じたら

先月の記事に「働くこと」のイメージをネガティブにしているのは、「仕事が面白くない」と感じている人が多いからだと書きました。
私自身もそう思うことはあったのでしょうが、じつはあまり覚えていません。仕事が面白くないという感情はあるはずですが、それは自分の感情です。自分の感情はコントロールできます。面白くないと感じる仕事でも、全部が面白くないわけではないと思います。
同じことをやっても、人によってとらえ方が異なります。子どものときはニュースなんて面白くないと思っていたけど、大人になったら見ますよね。どう説明したって面白くないと思っている人には伝わらないと思います。
講演などで若い人に話すときに、ちゃんと勉強はしておきましょうとお話ししますが、多分その時には実感がわかないと思うんです。それでも将来「あのとき、こうしておけばよかった」と思うときは必ずあると思うので、一応お話するようにしています。伝わる可能性もありますから。

社長としての判断軸

社長として大きな決断をしなければならないときもありますが、じつは判断する際に意識していることはとくにありません。強いて言うなら早く判断すること
説明することの2つです。
大手企業に対して当社が勝てるのは「スピード」です。ほかの会社が3か月でやるならうちは3日でやろうと思っています。それに加えて、納得感も大事です。そのためにしっかりと説明する必要があります。
社長に共通する大事な価値観と考えていることは、いい格好をしないこと。どんな判断をしても、必ず反対する人はいます。媚びたり、自分の意思とは違うことをやると、必ずほころびが出てしまいます。社長は責任をとれる立場なので、しっかりと自分の意思を伝えて、それを完遂させることが大事です。
社長が保守的になると、会社全体も保守的になってしまいます。社長だから決められることもあるので、社長の役割というのは非常に重要だと思います。

宇宙とデジタルツイン

2021年12月、ZOZOを創業した前澤友作さんが宇宙旅行に行きました。私も宇宙に行ってみたい気持ちはありますが、命を賭してまで行きたいかと言われるとそうではありません。
先日、宇宙ビジネスカンファレンス「SPACETIDE」にて佐藤
航陽さんが登壇されていました。そこで佐藤さんは、デジタルツインとして衛星情報を元にリアルな世界を3D上に作り上げるプロジェクトについてお話されていました。
そのプロジェクトで何が起きるかというと、リアルな地球を調べなくてもデジタルにある地球を使って調査が可能になるのです。
その後、同じカンファレンスにて私も登壇し、デジタルツインにおけるデータ活用の重要性についてお話ししました。さらに先を考えると、デジタルツインの世界(メタバース)に住むことも可能ではないかと思うのです。
メタバースに地球があって、さらにその中に会社があるとします。そのメタバース上の会社でみなさんが働く。そうなると、メタバース上で使うアバターのサービスも出てくるでしょう。既にナイキがメタバースに「NIKELAND」を作って、そこで自社のデジタルアイテムを販売しています。
宇宙に行かなくてもメタバース上に作って、そこに住むことができればいいと思うんです。実際に宇宙へ行くのはスタートレックの世界で、佐藤さんや私が考えているデジタルツインはマトリックスの世界といえます。

デジタルとリアルの一体化

さくらインターネットでも「Tellus(テルース)」という衛星データプラットフォーム事業をおこなっています。宇宙に限らず、すべてのデータのプラットフォームを当社が提供できたらいいなと思っています。データをうまく利活用することにより、新たな世界を作り出すことが可能となるからです。
デジタルツインについて、最近思ったことがあります。今はみなさんコンピュータを使って、飛行機や新幹線の座席を指定して予約しますよね。自分で座席を指定したように感じますが、じつは空いてる場所をコンピュータによって指定させられているのです。リアルの世界でコンピュータのデータ通りに人が動くことで秩序が保たれています。デジタルとリアルがまさに一体化しているのです。
衛星データをもとにデジタルな世界、デジタルツインを作っていけたら面白いと思います。デジタルツインとメタバースの世界はいずれ来るのではないかと私は思っています。
執筆

田中邦裕
さくらインターネット株式会社
代表取締役社長。1996年に国立舞鶴工業高等専門学校在学中にさくらインターネットを創業、レンタルサーバ事業を開始。1999年にはさくらインターネット株式会社を設立し、月額129円から始められる低価格レンタルサーバ「さくらのレンタルサーバ」の開発に自ら関わる。その後、最高執行責任者などを歴任し、2007年より現職。インターネット業界発展のため、各種団体に理事や委員として多数参画。

編集

川崎 博則
1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

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