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常用薬にも要注意!高齢者の安全運転のために注意したい薬とは?

「みんなの介護」ニュース

雜賀 匡史

免許保有者10万人当たりの、75歳以上の高齢ドライバーによる死亡事故件数は年間2.7件、これは75歳未満のドライバーによる事故件数の2倍以上となっています。

事故の原因はハンドル操作のミスや、ブレーキとアクセルの踏み間違い、運転中の居眠りなどが挙げられています。

そのなかで、薬の服用が事故につながるリスクもあります。特に、使用している薬の種類が多い高齢者は、薬の影響による交通事故に注意が必要です。

今回は、薬の影響と運転について紹介いたします。

車の運転を危険にしやすい薬の副作用

道路交通法では、薬の副作用などによって正常な運転ができない状態で運転することが禁止されています。薬が運転能力に影響することがあるからです。車の運転以外にも、危険を伴う機械の操作や高所での作業なども同様に注意が必要となります。

市販薬、医療用医薬品、いずれにおいても薬を飲む前に使用上の注意に目を通すことが大切です。

眠気、めまい、ふらつきなどの副作用が報告されている薬には、自動車の運転や機械の操作、高所での作業をしないように注意喚起文が記載されています。説明文を読んでこのような記載を見たら、その薬を服用している間は特に注意しなければなりません。

よく知られているのは、次のような作用です。

風邪薬や抗アレルギー薬の眠気の副作用
糖尿病治療薬の副作用による低血糖
抗生剤による意識障害
点眼薬による霧視
抗てんかん薬による複視(視野がぼやけたり物が二重に見えたりする)

このような薬を服用したときには車の運転を控えるなどの配慮が必要です。

持病によって日常的に服用している薬にも注意

また、副作用だけに注意すれば良いわけではありません。

持病のある方は、処方薬の用法・用量をしっかりと守らないと、運転や機械の操作に影響を及ぼすことがあります。

例えば、てんかんを持病として持っている方は、決められた抗てんかん薬を飲み忘れたりすると、運転中にてんかん発作を起こす危険性が高まります。

また、パーキンソン病の方が薬を飲み忘れると、動きが鈍くなり事故を引き起こすかもしれません。

高血圧の治療薬を飲み忘れると、運転中に血圧が上昇し、脳出血などを発症するリスクもあります。

インシュリン注射の打つ量を間違えてしまうと、運転中に低血糖になり判断スピードが低下してしまうかもしれません。

このように薬を日常的に服用している方は、副作用だけでなく、薬の用法用量を正しく守ることも安全な運転には大切なことになります。

持病のある人は、自分がどのような種類の薬を使用しているのか、薬が体にどのような影響を及ぼすのかをしっかりと理解しておく必要があります。

特に、病院や薬局に車を運転して行く人、通勤・買い物などで日常的に車を利用する人、高い所での作業や危険を伴う機械を操作する人は、自身の薬の内容を正しく理解することが、薬の影響による事故を防ぐことにつながります。

もし自分の服用している薬の内容を確認したいときは、医師、薬剤師に相談してみましょう。

薬は治療のために用いられるものですが、その一方で私たちの日常生活のパフォーマンスに悪影響を与えることがあります。意図しない事故を未然に防ぐためにも、薬を正しく理解し、正しく使用することが大切です。

【参考文献】
令和5年上半期における交通事故の発生状況(警察庁交通局)2023/11/29

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