東海道新幹線の運休 知っておきたい4つの基準 雨が弱まっても再開できないワケ
■予報が外れて天気回復 9月1日は急きょ運転再開
台風10号による大雨などの影響で、東海道新幹線のダイヤは大幅に乱れた。計画運休をしたり、運転見合わせや再開で二転三転したりするなど、乗客は振り回された。東海道新幹線は運転を見合わせる基準が4つあり、雨が弱まっても再開できない理由がある。
大雨の影響で三島-名古屋間の運転を取りやめていた東海道新幹線は9月1日午後6時過ぎに運転を再開した。JR東海は当初、終日運休すると発表していたが、予報と異なって天候が回復して点検作業が終了したため再開となった。ただ、午後8時頃までは「のぞみ」と「こだま」をそれぞれ1時間に上下線2本ずつ程度に減便した。
9月1日までの数日間、東海道新幹線は大混乱だった。8月29日は夕方から上下線とも運転見合わせ。30日以降は計画運休となり、乗客は予定の変更を余儀なくされた。
■運転見合わせ4つの基準 おととしから土壌雨量指数を追加
JR東海によると、大雨によって東海道新幹線の運転を見合わせる基準は4つある。沿線などに設置した59箇所の雨量計を使って、以下の4つのうち1つでも基準を超えると運行ができなくなる。
①1時間雨量が60ミリ以上
②1時間雨量が40ミリ以上かつ24時間雨量が150ミリ以上
③24時間雨量が300ミリ以上かつ10分間で2ミリ以上
④土砂災害発生危険度を示す土壌雨量指数
4番目の基準は2022年6月から導入されたもので、降り続いた雨が土壌中に水分量としてどれだけ溜まっているのかを数値化している。土石流などが発生した際に運行への影響が懸念される小田原-熱海、新富士-静岡、静岡-掛川が対象箇所となっている。
つまり、新幹線に乗車したタイミングで雨の降り方がそこまで強くなくても、それ以前に振った雨量によって運行できないケースが出てくるのだ。3番目の基準を見ると、乗車時点で雨が弱くなって「これくらいの雨なら大丈夫そう」と感じても、24時間雨量が300ミリを超えていれば、運転見合わせとなる可能性は高い。乗車時点で雨が止んでいたとしても、土砂災害の危険がある箇所で地盤が緩んでいれば4番目の基準に該当して運転はできなくなる。
きょう2日から、ようやく東海道新幹線は始発から平常ダイヤでの運転となった。雨に弱いと言われるだけに、利用者は乗車する場所や時間の雨量だけではなく、沿線の状況を把握しておく必要がある。
(SHIZUOKA Life編集部)