「断れない優しさ」が危ない… 隠れた「救世主願望」から抜け出すテクニック【しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー】
他人・自分と上手につき合うテクニック
【Q】困っている相手の頼みを断れません
【A】根底には「救世主願望」があるかもしれません
困っている人を助けること自体は、とてもすてきなことです。ただ、助けることに執着している場合、親切心の裏に「救世主願望」が隠れているかもしれません。これは、人を助けることで、自己肯定感を高めようとする心の動きです。その気持ちがエスカレートすると、相手の都合を考えずに手助けしようとしたり、頼まれてもいないのに「困っているから」と一方的に助力を申し出たりすることもあります。
助けてほしいと頼まれたら、いったん立ち止まって、自分の気持ちを確認しましょう。また、すぐに問題に介入せず、相手との距離を保つことも大切です。
「放っておけない」気持ちの根底には救世主願望が隠れているかも
困っている人を助けたいという気持ちの裏側には、助けることで相手を支配し、自分の価値を高めたいという心理が隠れていることもあります。しかし、ギブだけの関係性は自分の心身を消耗させ、他者を助けることへの依存を高めてしまいます。あなたの本当の気持ちはどうなのか。一方的に助けることは相手のためになるのか。頼みを聞く前に、今いちど考えてみてください。
「次」に向けてのテクニック
「救世主願望」に陥る大きな要因のひとつは、自己肯定感が低いことにあります。他者を助けることへの依存が深まると、相手の都合も聞かずに手助けしようと申し出る、過度なおせっかい焼きになってしまうことも。さらには、助けてもうまくいかなかったときや、自分以外の人に助ける役目を奪われたときに、大きなショックや怒りを抱いてしまいます。「救世主願望」から抜け出すためには、まず自分を大切にし、自分の価値を認めてあげることです。すぐに手助けしようとするタイプであれば、相手がそれを望んでいるか、自分だけで判断していないかを、よく考えてみましょう。
【出典】『しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー』著:長谷川俊雄/イラスト:高木ことみ
【著者紹介】
長谷川 俊雄
白梅学園大学名誉教授、社会福祉士、精神保健福祉士、NPO 法人つながる会代表理事、social work lab MIRAI 代表。
1981年から横浜市役所の社会福祉職として現場で活動したのち、精神科クリニックのソーシャルワーカーに転職。その後、愛知県立大学での教員経験を経て、2009年に「NPO 法人つながる会」を設立。2010年から白梅学園大学に移り、教育・実践・政策提言に携わる。2023年に「social work lab MIRAI」を開設し、援助職支援や家族支援にも取り組む。「バウンダリー」についてのワークショップを各地で行っている。
【イラストレーター紹介】
高木ことみ
ゆるくてかわいいイラストを制作するイラストレーター。とくに、難しい内容を図やイラストを用いてわかりやすく伝えることが得意。見ている人に親しみを感じてもらえるような表現を心がけている。おもな作品に『ゆるゆる稼げるWeb ライティングのお仕事はじめかたBOOK』(技術評論社/表紙・本文イラスト)、『今度こそ「不安ぐせ」をゆるめるポリヴェーガル理論』(日本文芸社/表紙・本文イラスト)など。
【書誌情報】
『しんどい人間関係に境界線をつくる 心地いいバウンダリー』
著:長谷川俊雄/イラスト:高木ことみ
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「バウンダリー」とは、自分と相手の合意のもと「ここからは立ち入らないでね」という境界線を引くことで、「わたし」と「あなた」の安心・安全・尊厳を守る考え方です。 本書はこの境界線を引く考え方から、仕事・家庭・人づきあいの中のしんどい場面で実践できる具体的な対処法まで、あわせて紹介します。 ・怒っている相手に委縮してしまう →「hear」「listen」「ask」3つの「聞く」を使い分ける ・NOと言えない →即答せず「持ち帰る」だけでもOK ・苦手な目上の人がいる →相手への「評価」の置き方を変えてみる ・長い会議で人疲れする →深呼吸や簡単な瞑想で境界線をリセット など 人間関係をもっとラクに、安心・安全にするために、「わたし」と「あなた」のあいだに心地いい境界線をつくるためのアイデアを紹介します。 「仕事や責任を押しつけられて、いつも自分ばかり損をしている」 「人の言動や気持ちに影響されて、振り回されてしまう」 「人を優先しすぎて、自分の時間や人生がすり減っていく」 「つい家族やパートナーに干渉しすぎてしまう」 「人間関係がしんどくなり、リセットを繰り返してしまう──」 こうした人間関係の悩みの根本には、バウンダリー(境界線)の混乱が隠れているかもしれません。 バウンダリーの考え方を取り入れることで、これまでとは違う視点から人間関係の問題を整理し、自分をすり減らさない選択ができるようになります。 ■バウンダリーを5つのカテゴリで整理 バウンダリーを 「からだ」「感情・意志」「責任」「時間」「お金」 という5つの領域に分けて紹介。 人間関係の悩みがどの境界線の混乱から生まれているのかが見え、状況を冷静に捉えやすくなります。 ■「ライン」と「ベルト」で境界線を使い分ける 境界線を細い「線(ライン)」だけでなく、状況に応じて幅をもたせた「ベルト」として捉える考え方も提案。 相手や場面によって無理なく距離を調整する方法がわかります。 境界線を引けるようになると、 ・自分のからだと心を危険や消耗から守れる ・安心・安全で心地よく過ごせる ・誰にも支配されず、自分の感情や考えを大切にできる ・自分の行動や価値を、自分で決められる ようになります。 しんどい人間関係に悩むあなたへ。 自分も相手も尊重しながら、人と関わるための一冊です。