災害時のトイレがまんが死に関わる問題に…導入進む「マンホールトイレ」の実力は?【札幌市】
能登半島地震の被災地では、トイレが使用できなくなった場所があり、衛生や健康などの問題が浮かび上がっています。
札幌市では災害時に役立つ、ある特殊なトイレの導入が進んでいます。
1月14日の石川県珠洲市。
水が流せないまま使われていたトイレから、看護師らが汚物を取り除きます。
2つの便器からゴミ袋7袋分の汚物が出ました。
生きていく上で不可欠なトイレ。
災害時にトイレとして活用できる設備が札幌市にあると聞き、見せてもらいました。
マンホール型のトイレです。
ついたてを置き便座部分を組み立てると、5分もかからず完成。
鍵もかけられます。
この型で一式およそ40万円です。
記者が座っても、脚がしっかりしていて安定感があります。
便座もしっかりした構造で安心です。
汚物は、トイレの下にある管に貯められます。
1日1度仕切りを開け、水とともに下水管へ汚物を流す仕組みです。
ここは普段は車庫として利用している場所ですが、災害時にはマンホールトイレを4箇所設置できる仕様になっているといいます。
ここを含め、札幌市には6か所、合わせて47基設置されているというマンホールトイレ。
白石区役所も、その1つです。
庁舎の路面にある長方形のマンホール。
ここに災害用トイレと書かれています。
マンホールトイレには、設置の条件があるといいます。
まず、流すのに十分な量を受け入れられる下水道管があること。
ある程度の数がまとまって設置できるような場所であること。
避難所や広域避難場所の近く、もしくはその場所の敷地内であること。
屋根がある設置場所は現在1か所のみ。
除雪や寒さの問題も残ります。
災害関連死に詳しい関西大学の奥村与志弘教授は、トイレは命に直結する問題だと指摘します。
トイレは命に直結する…今こそ把握を
災害関連死に詳しい関西大学の奥村与志弘教授。
「トイレの問題をあなどっていけないのは、関連死の死亡原因に実は絡んでくる特徴がある」と話します。
便を出す回数が減ってくるから便秘気味になる、水分摂取を控える人も出てきます。
脱水症状になっていくと、口の中の細菌が増えたり、誤嚥性肺炎やエコノミークラス症候群に発展していきかねないのです。
災害時は切実な課題となるトイレの問題。
身の回りにどんな設備があり、どう使えばよいのか、いまこそ把握する機会です。
札幌市内には、マンホールトイレが6か所合わせて47基設置されています。
白石区複合庁舎の5基、東部下水管理センターの4基のほか、西区の農試公園に5基、中央区の北ガスアリーナ札幌に3基、白石区の北郷公園に10基、豊平区の月寒公園には最も多い20基があります。
災害がどんな規模で、どんな形で来るか分かりません。
また、実際にまだ運用されていないので、すべてのケースに対応できるとは限りませんが、やはりトイレの問題は大切です。
【特集】秋冬の”じぶんごと”防災
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年1月23日)の情報に基づきます。