犯罪を犯しやすい状況にいると犯罪を犯してしまう?犯罪を未然に防ぐ「犯罪機会論」の具体的な手法とは?【図解 犯罪心理学】
環境が犯罪を生み出す?
「犯罪機会論」とは、犯罪者自身ではなく、環境や状況を変えることによって犯罪を未然に防止しようという考え方のことです。
たとえば、なんらかの犯罪の意図を持った人物がいたとして、近くを警察官が巡回していたり、防犯カメラが設置してあったりといった、犯罪を実行するための障害となる要因があると、犯行をためらわせることができます。逆に言えば、そうした障害がない場所は、犯罪の起こりやすい危険なスポットといえるわけで、そうした場所を特定し、犯罪を実行しにくい環境へと作り変えることで、結果的に犯罪を減らそうというのが「犯罪機会論」の手法です。
従来の犯罪心理学では、犯罪の原因を犯罪者自身の性格や生育歴などに求め、それを改善することで犯罪を抑制しようという「犯罪原因論」が主流でした。しかし、性格や嗜好を矯正するのはそう簡単なことではありませんし、そうした人物を生み出してしまった社会背景まで含めて変えるとなると、それだけ時間もコストもかかります。
その点、「犯罪機会論」では、局地的な環境や状況に着目し、物理的にそれらを変えることで犯罪の抑止効果が期待できます。つまり、防犯という点では非常に効率のよい手法ということができるでしょう。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』