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RADWIMPSの生み出す興奮と歓喜に満ちた、アリーナツアー・幕張メッセ

SPICE

RADWIMPS 撮影=ヤオタケシ

RADWIMPS FOREVER IN THE DAZE TOUR 2021-2022


2022.1.9 幕張メッセ9・10・11ホール

「新年あけましておめでとうございます! 新年早々から、どんな神社に行くよりもご利益がありそうなことが昨日(1月8日)あって。だけど、今日は、さらにさらに高みに、この1万人のみんなで行きたいと思うんですけど。みなさん、準備はよろしいでしょうか?」

ライブ序盤、満場のオーディエンスに向けて野田洋次郎(Vo/Gt/Pf)が意気揚々と語りかける頃にはすでに、真冬の幕張メッセは汗ばむほどの熱気で満たされている。コロナ禍の状況下ゆえに、客席からは歓声もシンガロングも響くことはなかったものの、何よりもRADWIMPSが紡いできた楽曲が、そして至上の歌とアンサンブルが、広大な空間ごと抱き締めるような一体感と多幸感を描き出していた。

昨年11月リリースの最新アルバム『FOREVER DAZE』を携え、昨年12月から全国6都市・計12公演にわたって開催されてきた、RADWIMPSのアリーナツアー『FOREVER IN THE DAZE TOUR 2021-2022』。そのツアー中盤戦にして、2022年の幕開けを飾るステージとなった幕張メッセ2デイズ公演は、RADWIMPSが音楽を通して問いかけてきた命題を、改めて今この時代に深く強く刻み込むような熱演だった。

この日を待ち侘びたオーディエンスの期待感が、開演を告げるSEとともに一面の手拍子へと姿を変える。そして、激しく明滅する光線以上に目映い「TWILIGHT」のサウンドスケープが、客席をジャンプの波へと導いていく。さらに『FOREVER DAZE』からもう1曲、野田がギターを構えてエモーショナルに響かせたのは「桃源郷」。野田洋次郎と武田祐介(Ba/Cho)、リズムを支えるサポートドラム・森瑞希&エノマサフミ、さらに今回のツアーから新たに参加したTAIKING(Gt・Suchmos)、沙田瑞紀(Gt/Key/Chorus・miida)の姿が次々に巨大ビジョンに映し出され、「RADWIMPSです! 始まったよ!」という野田のコールとともに場内の祝祭感は刻一刻と高まっていく。

TAIKING

続く「ドリーマーズ・ハイ」の突き抜けるような高揚感の中、舞台中央から伸びる花道を通って野田がセンターステージへ進み、曲中では銀テープのキャノン砲が飛び出す。開演早々からクライマックス級の熱量がアリーナを埋め尽くし、舞台上のメンバーをさらなる歓喜の頂へと押し上げていった。

沙田瑞紀

「最高の一日にしましょうかね、みなさん!」と晴れやかに語りかける野田の言葉をきっかけに、パイプオルガンの壮麗なイントロが鳴り響き、『FOREVER DAZE』のオープニングナンバー「海馬」へ。生命の意味に肉薄するような真摯な言葉が、ミステリアスなビジョンの映像とともに静かに胸に迫る。

「カタルシスト」や「DARMA GRAND PRIX」といった既発曲群と『FOREVER DAZE』の楽曲を有機的に織り重ねながら、ロックのダイナミズムと鋭利なメッセージ性を1曲ごとに色鮮やかに立ち昇らせていくRADWIMPS。野田は「楽しんでますか? よかったよ、よかったよ。俺も楽しいよ!」と喜びを露わにしながら、静謐と神秘のハイパーバラード「MAKAFUKA」、TAIKINGのブルージーなソロプレイも光る赤裸々なフォークナンバー「うたかた歌」、と表情豊かな音楽世界を繰り広げていく。最もエッジィな“最進化形”も、最も無垢な“原風景”も、野田の歌の中で生々しくせめぎ合い共鳴し合い、観る者を高精細なロックの絶景へと導いていく。ライブの随所にツインドラムの掛け合いやギターバトル的な場面を盛り込みながら、新たな6人編成のサウンドの肉体性を存分にアピールしていたのも印象的だった。

森瑞希
エノマサフミ

「年始にライブをするっていうのが、RAD的にも珍しくて。さて、前はいつだったかな?とホームページを見たんだけど……なんと、デビューから1月にライブをしていませんでした(笑)。なんか意外だったんですけど。僕らとしては、新しいスタートが切れた感じで、いい年になりそうです」と語るのは武田。そんな武田の姿をじっと見つめた後、「何とも言えない武田のMCの温度感が、俺は好きなんです」とメンバー愛あふれるいじりで会場の空気をほぐす野田。「曲やりますか? もう少ししゃべりますか?……みんなで黙ってたりする?」と、それこそ友人に呼びかけるように気さくに、曲間の会話や歓声もままならない客席に語りかける野田。そんな彼の佇まいは、オーディエンスに対する無上の信頼感を何よりリアルに象徴している。

「1万人で黙り続けるっていう――きっとコロナが終わったら、そんな時間もないでしょう」。ここで野田の口調が変わる。「RADWIMPSのライブが初めての人はわからないだろうけど、こういう時間がまずあり得ないバンドでして。1万人がしゃべりかけ続けてくるので、僕らは自分たちの思い通りのMCがほとんどできないで終わるんですけど(笑)。そういう時間が逆に恋しいなあと今は思っています。RADWIMPSのライブは、日本で一番やかましいお客さんだと俺は思っていて。それはすごく誇りに思っていいと思います」。コロナ禍の葛藤を喜びで塗り替えようとする表現者の意志が、野田の一言一言から滲む。惜しみない拍手が、幕張メッセ一面に熱く広がっていった。

「じゃあ、いきますかい! 2022年のお前の駄々っ子っぷり、見してくれ!」という野田の叫びとともに、後半は「DADA」から「おしゃかしゃま」、さらに「セツナレンサ」と歴代狂騒ナンバー連射でジャンプとクラップの嵐! 場内はむせ返るような熱気と歓喜に満たされていく。そこから「匿名希望」で冷徹なラップを繰り出しながら花道をセンターステージへと歩むと、センターステージが空中高くリフトアップされる。眩しいレーザー光線が檻のように野田を囲み、客席は一気に不穏な緊迫感に支配される。喜怒哀楽も葛藤も批評精神も問題意識も、生きる上でのすべてを音楽に注ぎ込み続ける野田の在り方が、そんなスリリングなライブ展開からも浮かび上がってくるように思えた。

見渡す限りの観客のクラップとともに、アッパーな音の祝祭空間を描き上げてみせた「NEVER EVER ENDER」に続けて、<ロックバンドなんてもんを やっていてよかった>の野田の弾き語りから「トアルハルノヒ」へ。野田・TAIKING・沙田のトリプルギターの疾走感が、ロックの青春性そのもののように切実に胸に響いた。「ロックバンドなんてものを好きでいてくれて、ありがとうございます」と曲終わりで語りかける野田に、さらに拍手が湧き上がる。

iri

ここからはゲストアーティストが続けて登場。ゲストボーカル・iriを招いて歌うのはもちろん「Tokyo feat. iri」。東京への想いをiriのハートフルな歌声と一緒に歌い上げたところで、さらに続けてもうひとりのゲストボーカル=Awichがオンステージ。生命力あふれる熱唱で「SHIWAKUCHA feat. Awich」を高らかに響かせ、「I love RADWIMPS!」のシャウトで名演に彩りを加えてみせた。

Awich

ライブもいよいよ終盤、「いいんですか?」がひときわ力強い1万人のクラップと一丸となって響き合う。「僕らは今年も作品だったり、いろんなコラボレーションだったりとか――まだ言えないこともたくさんあるけど、たくさんのものを作っています、現在進行形で」と“これから”への展望を明かした野田。「生きてると、しんどいこともいっぱいあって。何ならしんどいことの方が多いんじゃないかな?っていう気にすらたまになるけども……。それでもやっぱり、明日を選んで俺は生きてる。なんでなんだろう?っていうのを知りたいがために歌を作っていて。今回のアルバムもそんな感じで作ってたんだろうなと思います」と“今”の想いを語る。

「誰かに与えられた正解じゃあ、俺の性格は満足できなくて。自分だけの『生きている意味』を、ちゃんと自分で見つけたいなと――これからもたぶん、そんなふうに歌を作っていくと思います。何かしらのヒントになったら、とても嬉しいです」……そんな誠実な言葉に続けて、野田がピアノを奏で歌い始めたのは「鋼の羽根」。さらに、4つ打ちのタフなビートが弾け回る本編最後の「SUMMER DAZE 2021」では、センターステージで紙吹雪を浴びながら野田が熱く歓喜を煽る。RADWIMPSの歩みも、今この時代の苦悩も闘志も、『FOREVER DAZE』というアルバムを軸としたセットリストに焼き込んでみせた、最高のアクトだった。

アンコールは「このツアーでまだ一回もやってない曲」の紹介とともに「棒人間」でスタート。「スパークル」で幕張メッセに音の宇宙を切り開き、「最後に、一年の願掛け、大吉的な曲を――」(野田)と「君と羊と青」で一面ジャンプの躍動感とともに珠玉のフィナーレを飾ってみせた。「次に会う時まで、幸せにな!」の野田のコールが、熱い余韻とともにいつまでも爽快に胸に残った。

取材・文=高橋智樹 撮影=ヤオタケシ

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