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【東京発日帰り旅】千葉県 鋸南(きょなん)町~天望良好の大黒山から源頼朝が上陸した保田へ~

さんたつ

『散歩の達人 首都圏日帰りさんぽ』より、旅先で気軽に楽しめる散歩コースを紹介。歩行時間や歩行距離も明記しておりますので、週末のお出かけにご活用ください。 房総の鋸南町、安房勝山駅近くに低山なれど大展望の大黒山が、東京湾を見張る櫓のようにそびえている。この展望台から海岸線を保田まで歩いてみよう。

明治22年(1889)の夏、旧制一高の生徒だった夏目漱石は友人4人と連れだって隅田川の河口から船で保田へと向かった。夏休み中、10日間ほど滞在し、海水浴や近くの鋸山に登って過ごした話が残っている。

漱石から遡ること約700年、石橋山の合戦で平家に敗れた源頼朝が真鶴から船で逃れて、この保田の近くに上陸したという。その保田を目指して、隣の安房勝山駅から海岸線を歩いてみた。

大黒山と麓の法福寺。

標高75mとは思えぬ、大黒山からの展望に見惚れる

大黒山展望台から東方面を望む。双耳峰の富山がよく見える。

駅から国道へ出て佐久間川にさしかかると、右手に小高い独立峰、といっても標高75mの大黒山が見えた。上のほうに何やら建物が立っている。よく見ると、城の天守のようだ。麓に行くと、75mなのに「登山のお客様へ」とあった。たった10分だが、登山開始だ。少し上がって行くと、背後に双耳峰の富山が見えてきた。これは意外と展望がいいのかな、と期待が膨らんできた。10分なので、すぐ山頂に着いた。山頂にはコンクリート製の天守をかたどった展望台。上がってみると360度の大パノラマ。これが75mの展望とはとても思えない。眼下に勝山漁港、西側には東京湾に浮かぶ無人島の浮島。

大黒山がある岬の突端に、みささぎ島。傾城(けいじょう)島とも。日本武尊が航行中に突然海が荒れ、舟が沈没寸前に。そのとき、妃の弟橘姫(おとたちばなひめ)が身を投げて海を鎮めたという。その妃の亡骸がみささぎ島へ漂着したという神話がある。
大黒山の展望台からの大パノラマ。こちらは西側の眺望で東京湾に浮かぶ周囲約800mの浮島が見える。
同じく大黒山展望台から勝山漁港方面。中央の小高い山が勝山城跡になる。大黒山には天守閣を模した展望台があるが、城はなかった。

三浦半島の久里浜にあった火力発電所の煙突もよく見える。東側は富山がさらによく見える。期待以上の展望に満足して下山。

勝山漁港に寄ってから大黒山の西側に突き出た海岸に行くと、釣り人が3人。背後の大黒山も迫力だ。この大黒山の麓は昭和30年頃、遊園地と水族館などがありにぎわった場所である。今の風景を見れば、とても想像できないが、一大観光地だった時期が一瞬あったのかもしれない。

頼朝が逃れ着いた上陸地とされる、竜ケ崎堤防へ

治承4年(1180)に挙兵し、石橋山の戦いで平家に敗れた源頼朝は真鶴から船で安房国へと逃れてきた。その上陸地とされる。源頼朝上陸地。

戻って、また佐久間川を渡る。勝山海水浴場のある砂浜を歩いて行くと、海岸から長く突き出た堤防が見えてきた。竜ケ崎堤防というらしいが、その辺りが源頼朝の上陸地のようだ。

昭和30年代、アコヤガイを養殖して真珠を採っていたという真珠島。

小さな漁港の先は、また砂浜。大六海水浴場で、正面に小さな島が見える。真珠島だ。ここは昭和30年代に真珠を養殖していたようだ。今は島に渡るコンクリートの橋が崩れそうで立ち入り禁止。

きれいな鱚ヶ浦海岸の砂浜を歩いて行くと、「道の駅きょなん」。「菱川師宣記念館」と店がいくつか。地ビールを製造している『鋸南麦酒』。1本注文し、喉の渇きを癒やす。

保田漁港が近づいてくると、鋸山の下に見える大きな『ばんや』の文字。保田で知られる保田漁協直営のお店である。引き寄せられるようにお店に入り、新鮮な刺し身とさんが焼きをいただいた。保田に幸あり。

[道の駅きょなん] 鋸南麦酒

道の駅の地元麦酒工房で乾杯

「道の駅きょなん」にはいくつか店があるが、『鋸南麦酒』は、2018年の4月から醸造を開始したビール工房。ホップと鋸南町産のレモンを使ったバランスのいいビールだ。1本550円(税込・330ml)

●10:00~17:00、月休。JR内房線保田駅から徒歩30分。☎0470-29-5454。

[道の駅きょなん] 菱川師宣記念館

浮世絵の祖といわれる保田出身の絵師

「見返り美人図」の作者であり、浮世絵の祖といわれる菱川師宣は保田出身の絵師。保田から江戸へ出て版下絵師として活動し、後の浮世絵版画のもとになった絵を制作した。元禄7年(1694)に没したが、その作品をいくつか展示している。

●9:00~17:00(入館は16:30まで)、月休。入館500円。JR内房線保田駅から徒歩30分。☎0470-55-4061。

ばんや

隣の漁港直送の鮮度抜群の魚介類

『ばんや』の店内。平日だったのでわりと空いていた。
(左)刺身三点盛800円。(右)さんが焼き850円。
漁師のまかない丼1320円。
鰺フライ1100円。

保田漁協直営の大型食堂。元は漁師のために開いた店を一般に開放したところ人気が出て、すでに20年余。隣の保田漁港から揚がった魚を食すわけだから鮮度は抜群。「ばんやの湯」併設。

●9:30~17:00LO(土・日・祝は18:45LO)、無休(『ばんや新館』と「ばんやの湯」は火休)。JR内房線保田駅から徒歩20分。 ☎0470-55-4844。

取材・文=清野編集工房
『散歩の達人 首都圏日帰りさんぽ』より

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