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さかいゆう、全国10箇所有観客LIVE『DUO TOUR』 東京ファイナル公演ライブレポート

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さかいゆう

2020年8月4日(火)東京・渋谷クラブクアトロで行われた『DUO TOUR "Touch The World & More"』ファイナル公演のオフィシャルレポートが到着した。

僕はさかいゆうのライブを初めて観た。しかも、こんな状況下にだ。そんな初めて観た僕が言うのもなんだが、さかいゆうのライブはすごかった。普段のライブがどうかは正直わからないが、今日のライブは単純にすごかった。これが当たり前だとしたら恐ろしいし、僕はとにかく驚いた。

ほとんどの曲が今年リリースの『Touch The World』から。NY、LA、ロンドン、サンパウロの4都市で、それぞれの土地の豪華ゲストを起用してレコーディングした作品だが、ここに収められた楽曲をドラマーの望月敬史とのデュオで演奏した。

さかいゆう

さかいの楽器はキーボードとループ・サンプラー。エド・シーランも使っていることで有名なサンプラーのループ・ステーションをさかいは15年くらい前からずっと使っているとMCで語っていたが、ループ・ステーションを完璧に使い、まるでバンドのような三つの高いアンサンブルを作り出していた。

もともと仕込んであった音源だけでなく、その場でキーボードの音色を変えて、ピアノやシンセ、ベース、ドラムなど、あらゆる楽器を鍵盤ひとつで鳴らしつつ、そこに声でコーラスを重ねたり、ボイスパーカッションでビートを作り出したり、何曲かでアコースティックベースを演奏したりしながら、さかい1人で多彩なサウンドを紡いでいく。それらのループをリアルタイムで組んでは反復させ、また次のループを作っては重ね、前のループがいつの間にか消えていたりする。

さかいゆう

望月敬史(Dr)

そうやってループ・サンプラーで作ったサウンドが刻々と変化しているところにさかいの歌と鍵盤と、望月のドラムが加わる。ファンクがいつの間にかブレイクビーツ風になっていたり、サンバがいつの間にかファンクになっていたりとグルーヴだけを聴いていても先が読めない。

『DUO TOUR "Touch The World & More"』

しかも、たった2人なだけにスペースはたっぷりあり、そのスペースをさかいが自由に動くことができる。2人の演奏を聴いていると、そもそも『Touch The World』にはライブで解釈する余地がいくらでも用意してあることに気付くし、そのアルバムのためにきちんとまとめられた楽曲たちの可能性を解き放つ場がライブであることにも気づかされる。

それはさかいのオリジナルだけでなく、バート・バカラックの「Close to You」や、スティービー・ワンダー「Superstition」のようなカヴァー曲でも同じ。とにかく先が読めないライブなのだ。その中でニール・セダカの「Laughter in The Rain」のような名曲をじっくりと歌い上げるとこれが沁みるのだ。

さかいゆう

この状況下だからこそ、デュオ編成だったのだろう。でも、この編成には可能性があるし、さかいゆうのポテンシャルが全力で発揮されるフォーマットだと思う。そもそも最高に楽しい。いつか再びこの編成で観たいと思ったオーディエンスも少なくなかったはずだ。

文:柳樂光隆(Jazz The New Chapter)

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