琉球ゴールデンキングス、“天皇杯仕様”で連覇なるか…キーマンの「佐土原&カーク」に求められる制圧力
バスケットボールの第101回天皇杯全日本選手権のファイナルラウンドが1月6日、東京・国立代々木競技場の第一体育館、第二体育館で開幕した。決勝は12日に第一体育館で行われる。 近年はBリーグの合間に飛び飛びでトーナメント戦を行う日程だったが、今大会から久しぶりに集中開催に戻ったファイナルラウンド。トップリーグ推薦枠としてB1枠8チーム、B2枠4チーム、B3枠1チームが出場するほか、ブロック代表枠9チーム、社会人枠1チーム、大学枠1チームを合わせた計24チームがトーナメント形式で日本一を争う。 前回大会で初優勝を飾った琉球ゴールデンキングスにとっては、2連覇を目指す戦いとなる。キングスは7日の2回戦から登場し、日本経済大学(九州)対横浜エクセレンス(B3枠、現B2所属)の勝者と対戦する。同日午後8時にティップオフ予定。 今大会は日程の他にも、選手の登録、出場ルールが大幅に変更された。 外国籍選手の登録は2人までで従来と変わらないが、同時にコートに立てる人数は2人から1人に減少。いわゆる「オン・ザ・コートワン」となる。帰化選手は外国籍選手と一緒にコートに立てるが、アジア特別枠選手は外国籍選手扱いとなる。 このルール変更を見据え、キングスは今シーズン、インサイドも担える佐土原遼を獲得。帰化選手で身長211cmの高さを誇るアレックス・カークも健在であり、“天皇杯仕様”とも言える布陣で臨む。最近はコンディション不良でほぼ出場していないヴィック・ローも登録されており、活躍が期待される。 大会の見どころを紹介する。
“らしさ”取り戻すきっかけは「たった一日」のチーム練習
Bリーグのレギュラーシーズンにおけるキングスの最近の戦いぶりを見ると、決して順風満帆ではない。昨年末には80〜90点台の失点を続けてホームで3連敗。ローがほぼ出場できない中、苦しい状況が続いていた。 しかし、新年初めの連戦となった1月3、4の両日のシーホース三河戦で“らしさ”を取り戻しつつあることをうかがわせた。結果は1勝1敗だったが、リーグで3番目にオフェンシブレーティング(100ポゼッションでの平均得点)が高い三河を第1戦から順に65点、75点に抑え、チームの根幹を成すディフェンスの高い強度や連係が明らかに改善した。 第2戦後に記者会見に登壇した佐土原によると、元旦に実施したチーム練習が“キングスらしさ”を取り戻すきっかけになったという。 「たった一日ですけど、元旦にチームで練習できたことがすごく良かったと思っています。ワンポゼッションごとにプレーを止めながら、佐々さんや桶さんがディフェンスの大事なポイントを指摘してくれました。選手同士でも気になる部分を話したので、自分たちのバスケを取り戻すために必要な時間でした。時間としては1時間と少しくらいでしたが、2、3時間くらいやってる感覚がありました」 東アジアスーパーリーグ(EASL)にも参戦しているため、シーズンが開幕して以降、バイウイーク(中断期間)以外は全ての週で水曜ゲームがあったキングス。ホームとアウェーを行き来しながら中二日で2連戦と水曜ゲームを繰り返してきたため、じっくりとチーム練習を行う機会は限られていた。 だからこそ、年をまたいだ中5日の期間はチームが原点に立ち返る上で重要な意味を持った。 勝利した初戦の後、岸本隆一も「水曜ゲームがなくて準備できる時間があった分、攻守にしっかりとスカウティングをして、チームとして最後まで遂行し続けることができました」と納得の表情を浮かべていた。
平良&荒川、古巣対戦となれば奮起に期待
天皇杯におけて、キングスが初戦で当たる可能性が高いのは横浜エクセレンス(横浜EX)だろう。日本経済大学は昨年12月の第77回全日本大学選手権大会で3位に入る快進撃を見せたが、横浜EXは現在、B2東地区で21勝9敗の3位と好調を維持している。 横浜EXは平均27.6点4.4アシスト1.6スティールのトレイ・ボイドがメインのチームだが、天皇杯には登録されていない模様だ。ただ、216cmの高さを誇るベンジャミン・ローソンがいるため、ジャック・クーリーとカークを中心にリバウンドを制し、試合を優位に運びたいところだ。 ちなみに、背番号93の上良潤起は小禄高校出身。今シーズンはこれまで全30試合にフル出場し、平均19分40秒出場して7.0点を記録しているため、注目したい選手だ。 また、キングスの平良彰吾、荒川颯にとっては古巣対決となる。横浜EXがB3だった頃に所属しし、研鑽の日々を送った。 昨シーズン、平良が期限付き移籍した際には、石田剛規ゼネラルマネージャーが発した熱いエールのコメントが話題を呼んだことは記憶に新しい。平良と荒川にとっては、より成長した姿を見せるには絶好の機会になるはずだ。
佐土原「輝かないといけない大会」
先述のように、天皇杯におけるキングス最大のキーマンは佐土原だ。外国籍選手の人数が限られ、帰化選手を擁していないチームもいる中、高いリバウンド力を維持していかにインサイドを制圧できるかは勝敗を分ける大きなポイントになる。 佐土原は身長192cmで特別高さがあるわけではないが、フィジカルが強く、オフェンスにおけるプレーの幅が広い。シュートのタイミングが巧みで、現在のゴール下シュートの成功率は70.4%(61本中43本成功)。桶谷HCは「天皇杯やEASLはビッグマンのところが重要になるので、佐土原に来てもらいました。天皇杯は彼が柱になって戦うくらいの気持ちでやってほしいです」と期待を込める。 準々決勝で当たる可能性のある三河にはシェーファーアヴィ幸樹、組み合わせの同じサイドの反対の山に入り、準決勝で当たる可能性のある千葉ジェッツには渡邉雄太、宇都宮ブレックスには竹内公輔といずれも日本人ビッグマンを擁しており、3人とも206cmの高さがある。それを念頭に、佐土原本人も強い自覚を語る。 「外国籍選手が1人しか出られないので、自分のライバルになる選手も含め、このポジションの選手が輝かないといけない大会です。一つ目のタイトルが取れる機会なので、そこに全集中で臨みます。気負わず、一個一個勝ち進んでいきたいです」 チームとしても、ローが不在の影響もあり、最近はビッグマンがクーリーかカークの一人のみで、あとは日本人選手というラインナップを敷く時間帯も多い。佐土原や松脇圭志、脇真大、小野寺祥太らが体を張って相手のインサイド選手を守っている。 それを念頭に、もう一人のキーマンであるカークは「オン・ザ・コートワンについては、直近ではスペーシングなどお互いがいい理解を持って試合に臨めていると思います。天皇杯はBリーグと違ったルールが適用されるので、それをアドバンテージにして戦えればいいなと思っています」と前向きに語っていた。
6日間で最大4試合、コンディション維持も鍵に
佐土原以外にも、日本人選手たちの活躍がより重要になってくることは言うまでもない。桶谷HCは「天皇杯に行ったら荒川とかのプレータイムがもう少し出てくると思うので、日本人選手に期待したいというのはあります」と語る。 特に、直近の5試合のうち3試合で成功率が10%台に低迷している3ポイントシュートに関しては、チーム全体として復調が期待される。 Bリーグ、EASLでの戦いで疲労もある中、6日間で最大4試合をこなす厳しいスケジュールの中でいかに良好なコンディションを維持するかも肝になる。その意味で、セカンドラインナップを率いるポイントガードとして存在感を高める崎濱秀斗の決意は、勝ち上がる上で大事な要素になりそうだ。 「トーナメントでは、どれだけメインの選手たちが上に上がる間に休めるかが大事になると思っています。僕であれば、隆一さんに負担をかけ過ぎないとか。そのような中、若い僕の力が少しでも必要になってくるのかなと思います」 大会2連覇を果たし、天皇賜杯を再び沖縄に持ち帰ることができるか。負けられない短期決戦に、キングスが総力戦で挑む。