渡辺翔太・森本慎太郎、節目にふさわしい公演を見せたいと意気込む 『DREAM BOYS』開幕レポート
滝沢秀明が主演を務めた2004年1月の初演以来、亀梨和也や玉森裕太、中山優馬、岸優太、菊池風磨といった面々が主演を務めてきた『DREAM BOYS』。
2019年からは堂本光一が演出を手がけ、作品をさらに進化させてきた。建て替えに向けて2025年2月に休館となる現・帝国劇場のラスト公演は、2023年に引き続きSnow Man・渡辺翔太とSixTONES・森本慎太郎が続投。少年忍者21名が参加し、新たなカンパニーで『DREAM BOYS』を作り上げる。
初日を前に、ゲネプロと会見が行われた。会見には、渡辺翔太(Snow Man)、森本慎太郎(SixTONES)、少年忍者、紫吹淳、鳳蘭が登壇。
ーー初日を前にした意気込みを教えてください。
渡辺:今年で帝国劇場がいったんクローズとなり、それに伴い本作も一旦幕を閉じます。Jr.の頃から考えると感慨深いです。『DREAM BOYS』を見つつ劇場内も目に焼き付けていただきたいです。
森本:最後という認識は持ちつつ意識しすぎず、自分が今できる最大限のパフォーマンスをしたいです。悔いのないように走り抜けたいです。
川﨑(皇):今年は少年忍者21名全員で参加させていただけることを嬉しく思います。グループの力を合わせて翔太くんと慎太郎くんの『DREAM BOYS』を華やかに力強く盛り上げていきたいです。
紫吹:宝塚を退団し、俳優としてのスタートを切った場所が帝国劇場でした。諸先輩方が歴史を紡いできて今があるので、今に立ち会えることを感謝しつつこのカンパニーで千秋楽まで元気に頑張りたいと思っています。
鳳:お稽古場でみんなのダンスと歌がすごく進化しているのを見て本当に感動しました。(カンパニーメンバーに向かって)毎日の稽古でスキルが身につくと、みんなを見てつくづく思いました。これからも舞台に対して頑張ってくださいね。
ーー演出の堂本光一さんからのアドバイスで、印象に残っているものはありますか?
森本:当たり前のことから、視線を向ける先や立ち方などの細かいことまで丁寧に教えてくださいました。演出が変わっているので、去年も見てくださった方はセリフのニュアンスの変化などに気づくかもしれません。
渡辺:段取りくさくならないようにと繰り返し言われました。去年は初めての出演で、いかに光一くんの指示を踏襲できるかを意識していた。今年はそこにプラスして自分らしさを足していけたらと思っています。
ーー少年忍者の皆さんは全員でステージに立たれていかがでしょう。
川﨑(皇):メンバーによっては4度目の出演。光一くんからも「年齢が上がっているからこそ、言葉数をあえて減らし、動きで表現できるように」と指導していただきました。チャンプチームはキャスト変更で入っています。
織山:そうですね。今年は織山、深田、檜山、安嶋、星輝の5人で……。
元木:ちょっと待て!
一同:(笑)。
織山:(笑)。元木湧も含めた6人でチャンプチームを演じています。去年7 MEN 侍が演じていた役を、気合を入れて作っていきたいと思います。
渡辺:(少年忍者は)記者会見のトークでもエネルギーが違いますね。今の元木の「ちょっと待ってください!」みたいなギラギラした感じ、忘れてたな。
一同:(笑)。
渡辺:自分も年齢を重ねているとしみじみ感じました(笑)。
森本:さすがだなと思いましたね(笑)。Snow ManもSixTONESもJr.の頃は貪欲にやってましたからね。
渡辺:Jr.の頃の思いを忘れちゃいけないなって思いました。
川﨑(皇):元木の顔がどんどん赤くなっていく……(笑)。
一同:(笑)。
ーー最後に、楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。
森本:今、SixTONESの髙地優吾と京本大我もミュージカルをやっていて、僕を含めメンバーの3人がそれぞれ舞台に立っています。メンバーに負けないように自分らしくパフォーマンスをし、少年忍者のエネルギッシュさにも負けないように、ステージを楽しみながら駆け抜けていきます。
渡辺:帝国劇場がいったんクローズするタイミングで自分たちを選んでいただいたことを光栄に思います。スタッフの方、ファンの皆さんに「最後にふさわしいキャストだ」と思っていただけるよう、エネルギーを客席にぶつけ、楽しんでやっていきたいです。
<ゲネプロレポート>
2023年より続投の渡辺と森本はショウタ(渡辺翔太)とチャンプ(森本慎太郎)の間にある絆、すれ違う思いや本音を深め、キャラクターを魅力的に演じていた印象だ。
渡辺は弟分であるコウキ(川﨑皇輝)への愛情、親友だったチャンプへの友情などを持ちつつ、さまざまなことを一人で背負いこむショウタを好演。漢気と危うさの両方を感じさせ、目が離せない主人公を描き出した。思いや行動の理由をはっきり言葉にしない代わりに歌唱に感情を乗せ、心の揺れや苦悩を伝える。ボクシングのシーンでもキレのある美しい動きを見せ、実力あるボクサーだったという設定に説得力を与えていた。
森本は、ボクシングに対するプライド、ショウタへの複雑な思いを表情やパフォーマンスに乗せて繊細に見せる。柔らかく厚みのある声で、じっくり聞かせる曲から迫力あるナンバーまで歌い上げていた。ボクシングにストイックに向き合う姿、面倒見の良さと優しさが滲むシーンからは、厳しいだけではない人となりが見て取れ、チャンプチームのメンバーやジムの練習生たちから慕われる理由がよくわかる。
少年忍者の面々は、夢に向かう若者たちの情熱、大人への反発、グループ間の対立といったドラマをしっかりと見せている。アクロバットも含めた華やかなパフォーマンスで渡辺と森本を支え、作品を盛り上げた。キャスティングや演出が変わったことで印象が変化した部分もあり、今回のカンパニーならではの化学反応が楽しい。
紫吹と鳳は、序盤から企みや背景を匂わせる芝居でストーリーを牽引する。大人たちが曲者として存在感を放っているおかげで、主演2人や少年忍者演じるキャラクターが大人に対して持つ不信感に納得感が生まれていた。彼女たちの不器用さやしたたかさとの対比で、若者たちの素直な言葉や行動がより一層キラキラして見える。
現・帝国劇場のクロージングラインナップ作品ということでキャスト陣も気合充分な2024年版『DREAM BOYS』。本作は2024年10月9日(水)に開幕。帝国劇場にて10月29日(火)まで上演される。
取材・文・撮影=吉田沙奈