女神や女性像への信仰を船名に込める! 英語圏で船を「She(彼女)」と呼ぶワケ【眠れなくなるほど面白い 図解 船の話】
英語圏で船を「She(=彼女)」と呼ぶのはなぜ?
船を女性扱いする歴史と信仰
英語圏では、船を「She(彼女)」と呼ぶ文化が存在します。歴史ある船名を見ると、エリザベス、ビクトリア、メリーなど女性名が多く、独特の感覚が長く受け継がれてきました。
この背景には、船を“守ってくれる存在”になぞらえる考え方がありました。大海原を進む船は、人々の命を預かる役目を持ち、風や波に左右される環境にはどれほど頑丈でも人知の及ばない危険が潜んでいます。そうしたなかで船員たちは、船に人格を見出し、母親のように包み込んでくれる存在として敬意を払ったのです。
女性名をつける慣習には、縁起を担ぐ意味合いもありました。海の世界では、古くから“守りの象徴”として女神や女性像が信仰されてきたため、船にも同じように女性の名前が選ばれたと考えられています。荒天をくぐり抜けて無事に港へ戻れたときには、船に感謝の言葉を向けることもあったといいます。
もっとも、現代の国際的な文書や正式な船舶登録では、船を指す語として「It」を用いるのが一般的です。それでも、船を「She」と呼ぶ慣習は、伝統や親しみを大切にする船乗りたちの間では今も息づいています。
船名の背景や込められた願いが見えてくると、船そのものの物語がさらに豊かなものに感じられるでしょう。
英語圏では船に女性名がつけられていた
代表的な女性名の船
【クイーン・メリー(初代)】
かつて世界最速・最大級を誇ったイギリスの豪華定期客船
【クイーン・エリザベス(3代目)】
世界一有名な船名を受け継ぐ豪華クルーズ客船
【ビクトリア】
史上初めて地球を一周した帆船
【サンタ・マリア】
1492年、コロンブスが大西洋を横断し、新大陸へと至る際に乗った旗艦船
英語圏では船を「She」と呼び、女性名がつけられた船も多くありました。擬人化して船を特別視する感覚が受け継がれてきたのです。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 船の話』監修:池田良穂