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月にまつわる日本のポップス名曲集!チャゲアス、レベッカ、石川セリ、松田聖子も♪

Re:minder

1981年03月21日 太田裕美のシングル「恋のハーフムーン」発売日

「Re:minder SONG FILE」10月のテーマは “月(Moon)ソング”


観測史上最も暑い夏となった2025年。すっかり秋の風物詩となった月見バーガーが発売された9月初旬はまだ猛暑が続いていたが、中秋の名月を迎えた10月6日には涼しさを感じられるようになった。今年の十五夜が例年よりも遅めだったのはたまたまだが、季節を感じるうえではよかったのではないか。

日本最古の物語とされる『竹取物語』以来、月は日本人の感性を刺激する特別な存在で、多くの作品の題材となってきた。夏目漱石が “I love you” を “月が綺麗ですね” と訳した――とする俗説があるが、真偽はともかくとして、それが語り継がれるほど定着しているのは月の美しさが日本人の琴線に触れる証と言っていいだろう。

ということで、今回のテーマは “月(Moon)ソング” だ。歌謡ポップスチャンネルで好評放送中の『Re:minder SONG FILE』から与えられた選曲の条件は、1980年代中心(1970年代も可)と “ヒット曲を中心にスパイスを振りかける” というもの。そのうえで過去のオンエア曲と重複しない11曲を厳選した。以下、オンエア順にご紹介したい。

太田裕美のボーカルが “恋のときめき” を感じさせてくれる「恋のハーフムーン」


オープニングを飾るのは太田裕美「恋のハーフムーン」(1981年)である。前作「さらばシベリア鉄道」に続く、松本隆(作詞)・大瀧詠一(作曲)コンビによる20作目のシングルで、リリースは名盤『A LONG VACATION』と同日。空前のロンバケブームで大滝が名を上げる前のタイミングだったが、ストリングスやホーンを贅沢に配したナイアガラサウンドをヘッドアレンジ(譜面どおりに演奏するのではなく、現場でアイデアを出し合いながら即興的に作り上げていく編曲方法)で録音したため、膨大な時間と制作費がかかったという。

このまま進むか、それとも引くか――。揺れる気持ちを半月になぞらえた本作はイントロ1秒後の歌い出しからエンディングまで、ほぼ休みなく歌い続けるハードな構成。にもかかわらず、太田の軽やかなボーカルが “恋のときめき”を感じさせてくれる、疾走感に溢れたポップスだ。

陽光きらめくリゾートから舞台を変えた松田聖子「秘密の花園」


冒頭からテンションが上がったところで、続く3曲は1980年代を代表するアイドルの月ソングをお届けする。松田聖子「秘密の花園」(1983年)、近藤真彦「情熱☆熱風☽せれなーで」(1982年)、中山美穂「You’re My Only Shinin’ Star」(1988年)で、いずれもチャートの1位を獲得したヒット曲だ。

「秘密の花園」は松田聖子のシングルA面では4度目の顔合わせとなる、松本隆(作詞)と、呉田軽穂ことユーミン(作曲)からの提供作品。月灯りが照らす夜の岬に呼び出された少女の心情が性的な隠喩を交えて描かれている。デビュー以来、陽光きらめくリゾートを舞台にした歌でヒットを重ねてきた聖子だが、シングル初の月ソングで10作連続1位の新記録(当時)を達成した。

恋に臆するソフトな面を打ち出している近藤真彦「情熱☆熱風☽せれなーで」


マッチ5作目のシングル「情熱☆熱風☽せれなーで」はデビュー以来、彼のシングルA面を手がけてきた筒美京平によるポップで軽妙なディスコチューン。作詞はCMディレクター出身の伊達歩(伊集院静のペンネーム)で、それまでのワイルドで直情径行型の主人公とは一線を画す、恋に臆するソフトな面を打ち出している。

いつもは強気な少年が「♪どうかしてる 狂ったぜ」となってしまったのは、おそらくムーンライトの影響で、狼男の逆パターンと言える。「♪ゆれて ハラハラ Night & Day」が「♪な~やんで~」に聴こえるダブルミーニングも秀逸で、 “☆” や “☽” の使用したタイトルも含めて、1980年代的なコピーセンスが感じられるキャッチーな1曲だ。

中山美穂シングル初のバラード「You’re My Only Shinin’ Star」


「♪月が波間に浮かぶと」の歌詞で始まる「You’re My Only Shinin’ Star」はジャパニーズAORの第一人者、角松敏生の作詞・作曲。編曲は角松に加え、ストリングスアレンジを大谷和夫、ブラスアレンジを数原晋が担当している。ミポリンのサードアルバム『SUMMER BREEZE』(1986年)に初収録された楽曲だが、ファンからの人気が高く、本人もお気に入りだったことから、再レコーディングのうえシングル化された経緯がある。

シングル初のバラードで、しかも既発曲。アイドルとしては冒険的な要素もあったが、結果は自己のセールス記録を更新するロングヒットとなった。前作「CATCH ME」から始まったブラックミュージック路線を確たるものにし、ボーカリストとしての幅を広げた点からも、キャリアで重要な位置を占める代表作と言えるだろう。

さて、アイドルに新たな息吹をもたらした3曲に続いては、シンガーソングライターによる月ソングを4曲セレクトした。

長く愛される楽曲となった桑名正博「月のあかり」


まずは桑名正博の「月のあかり」(1978年)から紹介しよう。“東のキャロル、西のファニカン” と言われた関西のロックバンド、ファニー・カンパニー時代から彼を担当した音楽プロデューサーの寺本幸司によると、このメロウなバラードは麻薬の容疑で逮捕された桑名が拘留中に誕生したという。

留置場へ面会に行った寺本を前に、桑名がその場で歌ったエピソードはなんともドラマチックだが、哀愁を帯びた旋律に詞を乗せたのは、やはり寺本がプロデュースしていた下田逸郎。サードアルバム『テキーラ・ムーン』に初収録されたあと時間をかけて浸透していき、1988年には芳野藤丸のアレンジでシングル化されるほど、長く愛される楽曲となった。

チャゲ&飛鳥がメガヒットを連発する礎となった「モーニングムーン」


続く「モーニングムーン」(1986年)はワーナーからキャニオン(現:ポニーキャニオン)に移籍したチャゲ&飛鳥(現:CHAGE and ASKA)が第1弾シングルとして発表したビートロック。チャゲアスには「MOON LIGHT BLUES」という、やはり月を題材にした名バラードがあるが、月ソングはしっとりした曲調のものが多いため、今回はマイナーアップテンポのこちらをセレクトした。

フォークデュオのイメージが強かった彼らはロック色を強めた「モーニングムーン」で「万里の河」以来、5年ぶりに『ザ・ベストテン』(TBS系)にランクイン。この路線での成功が1990年代にメガヒットを連発する礎となった。

レベッカらしい世界観を味わえる「MOON」


従来の作風から転換したチャゲアスに対し、出世作「フレンズ」を思わせる、レベッカらしい世界観を味わえるのが「MOON」(1987年)と言えよう。6作目のアルバム『Poison』に初収録された本作は家出をした少女と母親との関係を時の経過とともに綴ったミディアムロック。妊娠した娘が父親に向かって歌う、マドンナの「パパ・ドント・プリーチ」に通じるシチュエーションだが、こちらはMOONをママに見立てた母性愛が聴く者の心に沁みる。翌1988年にシングルカットされ、バンドを代表する作品のひとつとなった。

河合奈保子が歌う和テイストのバラード「十六夜物語」


シンガーソングライターによる月ソング、4曲目は河合奈保子「十六夜物語」(1987年)をお聴きいただく。アイドルとしてデビューした彼女は「夏のヒロイン」に代表される、太陽のような明るさがパブリックイメージだが、実は多くの月ソングを持つ。シングルA面に限っても「ムーンライト・キッス」、「疑問符」、「微風のメロディー」、「THROUGH THE WINDOW~月に降る雪~」といった具合で、シンガーソングライターに転じてからも「ハーフムーン・セレナーデ」が挙げられる。

それは自分から前に出るのではなく、一歩引いたところで微笑んでいる控えめなキャラクターが月のイメージと重なるからではないか。筆者はそう思っているのだが、「十六夜物語」はそんな女性像を具現化した和テイストのバラード。アジア各国でカバーされている「ハーフムーン・セレナーデ」は2024年のJASRAC(日本音楽著作権協会)分配額(国内作品 / 外国入金部門)で7位にランキングされるスタンダードソングとなっているので、本作もそれに続くことを期待したい。

ここまでアイドルとシンガーソングライターの月ソングで構成してきたが、終盤は “ムーンライトソング” 3連発で締めることとした。

石川セリのウエストコースト系ポップス「ムーンライト・サーファー」


1発目の石川セリ「ムーンライト・サーファー」(1977年)は矢野誠がプロデュースしたサードアルバム『気まぐれ』に初収録されたウエストコースト系ポップス。作詞・作曲は中村治雄(PANTA)、編曲は矢野誠で、1979年にシングルカットされている。洗練されたサウンドの魅力もさることながら、雑誌『POPEYE』が仕掛けた西海岸ブームや、桑名晴子のカバーなども追い風となって、広く知られるようになった。

西城秀樹「センチメンタルガール」のカップリング曲「ムーンライト・パーティー」


続く「ムーンライト・パーティー」(1981年 / 当時の表記は「ムーンライト・パーティ」)は西城秀樹のシングル「センチメンタルガール」のカップリング曲。作詞は寺尾聰「シャドー・シティ」と「出航 SASURAI」の連続ヒットで注目されていた有川正沙子、作曲・編曲は竹内まりや「SEPTEMBER」や松原みき「真夜中のドア~〜Stay With Me」でブレイクした林哲司で、マージ―ビート調のソフトロックに仕上がっている。

コンサートで歌う最新洋楽の選曲で高感度ぶりを発揮していた秀樹プロジェクトは、楽曲制作においても気鋭のソングライターをいち早く起用していたが、本作でもセンスの良さが光るキャスティングとなった。同年に発売されたアルバム『ポップンガール・ヒデキ』には『A LONG VACATION』がヒット中の大瀧詠一も参加(タイミング的にオファーはブレイク前だろう)しており、この時期シティポップのエッセンスを採り入れていたことが窺える。

1980年代を締めくくる月ソング渡辺美里「ムーンライト ダンス」


さぁ、いよいよエンディングだ。ムーンライトソング3曲目にして特集の最後を飾るのは渡辺美里「ムーンライト ダンス」(1989年)である。5作目のアルバム『Flower bed』の先行シングルとしてリリースされた本作は月光が射し込む、クールな空気感を思わせるサウンドと、思春期特有のやり場のない想いを男性目線で綴った詞が融合したポップロック。作詞は本人、作曲・編曲は小室哲哉で、1980年代を締めくくる月ソングとなった。

以上11曲。本特集が初放送される10月22日夜はあいにく新月だが、このラインナップを聴いていただければ、きっと月を愛でて恋がしたくなる… はずだ。

Information
Re:minder SONG FILE「月 Moon ソング」

ココロ躍る音楽メディア「Re:minder」がテーマを決めて珠玉のソングファイルをお届け。
▶︎ 放送局:歌謡ポップスチャンネル
▶︎ 放送日時:
・2025年10月22日(水)24:00〜25:00
・2025年10月30日(木)24:00〜25:00
▶︎ 今月のソングファイル
♪ 恋のハーフムーン / 太田裕美
♪秘密の花園 / 松田聖子
♪ 情熱☆熱風 せれなーで / 近藤真彦
♪ You're My Only Shinin' Star / 中山美穂
♪ 月のあかり / 桑名正博
♪ モーニングムーン / チャゲ&飛鳥
♪ MOON / レベッカ
♪ 十六夜物語 / 河合奈保子
♪ ムーンライト・サーファー / 石川セリ
♪ ムーンライト・パーティー / 西城秀樹
♪ ムーンライト ダンス / 渡辺美里
▶︎ 番組ページ:Re:minder SONG FILE

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