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唯一無二のクルマを持つのはそれだけで気分が良いものだ 。TOYOTA FJクルーザー

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FJクルーザーは抜群に魅力的なクルマなのだ

私は根っからのクルマバカであり、野遊びバカでもある。

かつて私は、隙あらばホンダの小さなオープンカー、ビートに無理やり荷物を詰め込み、山梨の秘密の川へフライフィッシングや長野の南佐久郡や川上村へキャンプに繰り出した。

新潟や東北の秘湯(山形の姥湯温泉への道はなかなかエキサイティングだった)にも足繁く通い、東京から福岡まで車中泊の旅もした。愉しすぎて地球を4周分も走った。

そんな私がFJクルーザーを手に入れて4年になる。

こいつは実にトヨタらしくない。そう、私好みの変態クルマである。

みよ。このデザインを! 

なんとまあ、レトロでおしゃれ。日本車とは思えない洗練された内外装。
そりゃそうだ。FJクルーザーは、もともと北米市場専用車種として開発された「アメ車」なのだ。しかも、デザインのために後部ドアを非合理的な観音開きにしてしまったほど、カタチにこだわり抜いたクルマである。

本音で言うと、観音開きは不便ったらありゃしない。でも、格好良い。ドアを開く度に「こいつは普通のクルマじゃないのさ」と悦に入ることができる。素晴らしいね。

垂直に切り立ったフロントウインドウもしかり。

田舎道を走れば虫がガンガンぶつかってくるし、狭くて見えづらいと購入をあきらめた人もいると聞く。でも、もしあなたに首がついているなら、それをちょいと動かせば視界は広がると思う。

FJクルーザーはワイパーが三本もある。初めて乗った人は間違いなく驚く。もしくはトラックみたいだと大笑いする。いやいや、装甲車のようだと言って欲しい。勇ましいだろう。雨の日は元気よく「特攻野郎Aチーム」のテーマを口ずさみたくなる。けれど、ゴムを交換するときは余計にもう一本買わなくてはならず小遣いが減っていく。

車内は、後部座席に大柄の成人男性が長時間座り続けるのはちょっとしたお仕置きになるくらい狭い。私は秘密基地の中にいるようでワクワクしてしまう。

燃費は街中で5~6㎞/l、高速では10㎞/l前後。小銭をばらまいて走っている感覚に襲われるが、トヨタの慈悲によって国内向けのFJクルーザーはレギュラーガソリン仕様に変更されている。ありがたや。

え、そんなに褒めていない?
なにをおっしゃる。
あのリンカーン大統領も言っていたじゃないか。
「欠点のないものは取り柄もない」と。

そうとも。欠点があるからこそ、FJクルーザーは抜群に魅力的なクルマなのだ。森羅万象において、何かを得るには何かを失うという物理的法則から人間は決して逃れられないことを多くの人は忘れている。

そもそも、こいつは世界中のあらゆる陸地を支配するランドクルーザーの正統なる一族である。プラットフォームやエンジンなどはプラドから流用し、かつ、ホイルベースを短くしたことで、軽快な走りまで手に入れてしまった奇跡の一台なのである。

前置きが長くなったが、これからみなさんとドライブしながらFJクルーザーの魅力を語っていくとしましょう。

馬のようにどこへでも走るクルマ

オープンカー乗りだった私がFJクルーザーに興奮したのは、行ける場所が増えたことだ。
「汽車のように速く、そして馬のようにどこへでも走る乗り物が欲しい」と語ったのはヘンリー・フォードだが、それは多くの人たちも抱く願いであろう。

もちろん、私もその一人だ。

私は山梨県甲州市にかけての峠道が好きでビートでよく走りに行っていたのだが、その峠道から枝分かれした林道が気になって仕方なかった。

鬱蒼とした木々に囲まれたデコボコ道の先に、いったいなにがあるのだろう。だが、車高の低いクルマだと恐ろしくて近づくことはできなかった。

FJクルーザーを買って、真っ先にその林道へ向かった。

初めての悪路。ウインカーを出して本線から林道へ曲がる瞬間、ドキドキとワクワクがこみあげてきた。クルマに乗ってときめくなんて久しぶりだ。

などと言いながら、私は子犬より遅い速度でおそるおそる進入した。

自慢じゃないが私は無茶が好きなくせに、とびきり臆病者だ。スタックしたらどうしよう?と不安が先行する。そんな私にFJクルーザーが「安心しろ。お前の願いを叶えてやろう」と言った気がしたので、ほんのちょっとだけアクセルを踏む力を強めた。

車体が上下に揺れながらも、確かな足取りで前へ進んでいく。
まさに荒波を勇敢に突き進むクルーザー(巡洋艦)のようだ。

気の弱い人間ほど、安心すると図々しくなるものだ。

私は特攻野郎Aチームのテーマを口ずさみ、勇ましくハンドルを握りしめた。FJクルーザーは様々な障害物を乗り越えて、私を森の奥へ奥へと連れて行く。急勾配の登りでもトルクフルな4000 cc V6 1GR-FE型エンジンが上品な唸りを上げて突き進む。

いっぱしの冒険者気分に浸れた。意外と楽勝じゃないか。

だが、次の瞬間、私は「ええっ?」と叫んだ。

道幅およそ2メートル。FJクルーザーの車幅は1.9メートル強。この先に超鋭角カーブが私を待ち構えていたのだ。

これ、脱輪確定コースじゃないか。引き返すにも転回できるスペースはない。落ち着け。
思い出すんだ。都内の迷宮のような極狭の住宅路をヘラヘラと走って、知人の乗る後続の軽自動車から「うそでしょ?」と呆れられたのを忘れたか。

最小回転半径はあの巨大なランドクルーザーにも劣るけれど、とにかく見切りが良いのでギリギリまで攻められる。

勇気を振り絞ってステアリングを切る。

私は「ほええ」と感嘆の声をあげてしまった。
何事もなく通過できたのだ。

たとえ最小回転半径が6.2メートル(アメリカの政府高官の車列を護衛している黒塗りの巨大SUV並み)であったとしても、実は、FJクルーザーのスクエアなボディとアイポイントの高さによって、都内の極狭住宅路でも意外とスムーズに通過することができることを私はすっかり忘れていた。

取り回しが難しいかもと購入を躊躇している人に、「むしろセダンより簡単」という金言を差し上げましょう。

話がそれた。急カーブを越えて坂道を登ると、突然、視界が開けた。そこは峠の最高地点だった。見たこともないような絶景が広がっていた。山々を見下ろす尾根からは富士山まで見えた。

まさに天空へつづく道。

FJクルーザーがなければ私は一生この景色と出会うことはなかっただろう。毛鉤釣りのためなら平気で崖をよじのぼるくせに、自分の足で山には登りたくない派なのだ。

真価を発揮したのは厳冬期の八ヶ岳

林道と同じく、雪道に強い憧れのある私は、FJクルーザーにスタッドレスを履かせて厳冬期のソロキャンプにチャレンジしてみた。ちなみに、そのキャンプ場のサイトへつながる林道は、絶望感あふれる急峻な未舗装路である。

道というよりは崖のような坂には雪が積もり、一部は凍結している。降りると転倒して滑り落ちてしまいそうだ。

しかも、である。

出ましたよ。必殺鋭角カーブ。

果たして登れるのか。ドキドキワクワクしながら副変速機をL4に入れた。

FJクルーザーはパートタイム4WDである。比較的スムーズに走れる雪の登坂道ではH4のギアを、このような悪路ではL4を選択する。状況によってHighとLowを使い分けるのだ。

余談だが、私の個体はオフロードパッケージなので、クロールコントロールなるものが備わっている。岩場や沼地などで、ドライバーがハンドル操作に集中しなければならないとき、クルマが自動的に繊細なアクセルワークとブレーキ操作を行うことで極低速を維持できるのだ。日常では活躍するような場面はないが、あるだけで安心感はある。

話を戻す。雪道はさんざん経験してきたが、雪の悪路は初体験だ。林道から滑り落ちて横転したら…と思うと寒いのに汗がでてきた。

私は、雨に濡れた小鳥のように震えながら、そろりとアクセルを踏んだ。FJクルーザーは、「おまえはいったい何を心配しているのだ?」と怯える私を嘲笑うかのように登っていく。

そうなると、例のごとく私は強気になる。西部劇に出てくる悪党のような笑い声をあげて、アクセルを踏み込む。
リアがズルッと滑るが、不安感はない。しっかりと大地を掴んで前へ進む感覚がステアリングとアクセルペダルを通して実感できるからだ。

こりゃ愉しい!

坂道を登り終えると、見渡す限りの雪原に出た。ここにいるのは、FJクルーザーのほか、遠くにランクルとハイラックスが見えるのみ。

まさに、ウェーニー・ウィーディー・ウィーキー。ローマの将軍カエサルの名セリフ。
見た、来た、勝ったってやつだ。

私は子どもの頃から、雪が降るとどっさり積もったところへ無駄にダイブする習癖がある。
つまり、それをクルマでやってみた。林道を逸れて、ふかふかの雪原にFJクルーザーを突撃させたのだ。そりゃ愉しいに決まっているだろう。

でもこれ以上はだめだ。
やり過ぎると私のキャンプ地が荒れてしまう。お腹も空いたし、外はマイナス10度を下回っている。面倒なので最小限の道具だけを出してさっさと寝床を設営した。

FJクルーザーは、キャンプでは便利なクローゼットにもなってくれる。必要なものがあればリアを開いて取り出せばいい。後部シートを取り外せば(簡単に外せる)、178㎝の私が車中泊できるほどラゲッジは広いのだ。

その日は焚き火にあたりながら、仄かに照らされたFJクルーザーを眺めながら雪中ソロキャンプを愉しんだ。

結局、マイナス15度まで気温が低下した。それでも翌朝は普段通りに一発で始動し、私とキャンプ道具を載せて家まで届けてくれた。ウォッシャー液だけは東京に戻っても完全に溶けていなかったけど。

FJクルーザーはオンロードでも愉しい

意外かもしれないが、FJクルーザーはきびきび走るのも得意だったりする。ストップアンドゴーの多い市街地でも、高速道路でも自分のイメージ通りに加速し、FJクルーザーが車重2トンということを忘れてしまうほどスムーズな吹き上がりをみせてくれる。

4000ccV61GR-FE型エンジンは平凡なスペックだが、小姑のようにエンジンに口うるさい元ホンダ乗りの私からすると、いやいやなかなかの名機ではないかと思う。新東名高速道路の120km/h区間も驚くほど安らかに巡航できる。その走りっぷりは、まるで静かな海を進む豪華客船のようだ。運転席もキャプテンシート風なので、船長気分に浸りながらゆったりとした着座姿勢を取ることができる。

一方で、ワインディングはロールがきつくて多少苦手な面がある。しかし、カーブが現れるたびに薄ら笑いを浮かべて喜ぶようなビートやS660のようなクルマではない。むしろ、腰高なSUVとしては優秀なほうではないだろうか。しかもアイポイントが高いので、特等席からの景色を愉しみながら峠道を颯爽と駆け抜けることができる。

林道も雪道も高速道も極狭の住宅路も、FJクルーザーは快適に私を運んでくれる。

まさに、汽車のように速く、馬のようにどこへでも走ることができるクルマだ。

確かに初代ランドローバー・ディフェンダーなど走りが良くてカタチの美しいSUVは他にも存在する。だが、若者でも頑張れば手に入れられる価格で、走破性能が極めて高く、美しいデザインを纏ったSUVはこの地球上にFJクルーザーしかないと断言する。

ホンダ・ビートも発売当時、ミッドシップのオープンカーは、ホンダとフェラーリしか人類に選択肢はなかった。

唯一無二のクルマを持つのはそれだけで気分が良いものだ。

[文・写真 アカサッカ]

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