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玉井詩織さん(ももいろクローバーZ)と英語――日本のアイドル文化を世界へ【英会話タイムトライアル 特別対談】

NHK出版デジタルマガジン

玉井詩織さん(ももいろクローバーZ)と英語――日本のアイドル文化を世界へ【英会話タイムトライアル 特別対談】

日本を代表するアイドルグループ「ももいろクローバーZ」。メンバーの玉井詩織さんは幼いころから英語に親しみ、2023年5月には英語のソロ曲「Spicy Girl」をリリースしています。世界に向けた熱い気持ちや、英語学習の目標について、「英会話タイムトライアル」講師のスティーブ・ソレイシィ先生がお話を伺いました。玉井さんがスティーブ先生との英会話に挑戦する様子も、動画でご紹介します!

英語のソロ曲に挑戦

スティーブ(S):ももいろクローバーZ(以下「ももクロ」)は、新しいことに挑戦し続けながらキャリアを築いています。海外公演の経験もおありですよね。

玉井(玉):はい。ジャパンエキスポやアニメエキスポなどに参加して、これまでにドイツ、マレーシア、フランス、アメリカで公演しました。

S:メンバーの中では、玉井さんが率先して英語でコミュニケーションを取っていたのでしょうか?

玉:海外でレストランに行ったときなどは、メンバー全員の注文を私がまとめて伝えることが多かったですね。

S:日本人は日本人の前で英語を話すことに躊躇する傾向があるように思います。「恥ずかしい」という気持ちがあるからでしょうが、玉井さんは?

玉:私の場合、「恥ずかしい」と思ったことはありません。ほかのメンバーもみんな、人と話すことが好きなので、海外でも身振り手振りを交えて積極的にコミュニケーションしています。

S:確かに皆さん、ポジティブでエネルギッシュなイメージがあります。

玉:ありがとうございます!

S:ステージ上では、英語でMC をすることもあったのですか?

玉:そうですね。ただ、事前に覚えた内容を話すのが精一杯で、こみ入った話はどうしても通訳の方にお願いしていました。もっと臨機応変に話せたらいいのにと、悔しい気持ちもあります。

S:それなら、通訳なしで会話するのは1つの目標ですね。

玉:はい。自分の言葉を直接届けられるようになったらいいなって。

S:初めて英語に接したのはいつごろだったのですか?

玉:幼なじみのお母さんが開いていた英会話教室に、幼稚園の年長のときから10年ぐらい通っていました。英語の歌遊びから始めたのですが、それがすごく楽しくて。

S:そうなんですね。英語の歌といえば、玉井さんがソロで歌う英語の曲「Spicy Girl」を聴きましたよ!

玉:ほんとですか!? どうしよう、発音をチェックされそう(笑)。

S:とても上手だと思いましたが、「Spicy Girl」は割とテンポの速い曲ですよね。発音は難しかったですか?

玉:難しかったです。

S:どんなふうに発音を覚えたのでしょう?

玉:英語をそのまま読んで覚えて、あとは先生がついてくださるので、先生の発音を耳で覚えました。昨年は毎月1曲、ソロの曲をリリースしたのですが、それぞれの曲が私の12点の写真の1つをもとにしています。バービー人形のような格好をしている写真もあって、その雰囲気に合う英語の曲をお願いしたら、思った以上にテンポの速いポップな曲になったんです。でも楽しく挑戦できました。

S:せっかくなら海外の人にも聴いてもらいたいですね。

玉:ええ。もともとは日本のファンの皆さんに向けた企画でしたが、デジタルリリースなので、海外で聴いてくださる方もいるかもしれません。そう考えるとチャレンジングな企画でしたが、ももクロを知ってもらえるきっかけになったらすてきだなと思います。

日本のアイドル曲を世界に届けたい

S:昨年リリースしたソロ曲の中には、玉井さんが作詞した曲もありますね。

玉:はい。英語の詞ではありませんが、「Sepia」という曲の詞を書きました。ももクロの曲は前向きで誰かの背中を押すような曲が多いので、ソロ曲は誰かにそっと寄り添うような曲になるといいなと思って詞を作ったんです。

S:英語で作詞したいと思いませんか?

玉:それはまだ遠い夢かも……。

S:それなら、ももクロの歌を英語バージョンにして海外で歌う、というのはどうでしょう?

玉:悩ましいところです。というのも海外のファンの皆さんは私たちの曲を日本語で覚えてくださっていて、特に「セーラームーン」や「ドラゴンボール」の主題歌などは、日本語の大合唱になるんです。「ドラゴンボール」の劇場版主題歌「『Z』の誓い」は英語バージョンを披露したこともあるのですが、オリジナルの日本語で歌ったほうが喜ばれるのかな、どっちがいいのかな、と考えさせられました。

S:それも一理ありますね。今は、アニメを中心に日本独自のエンターテインメントが世界で受け入れられています。日本のアイドル文化も広がっていますね。個人的にも応援したいです。

玉:そういう意味では、昨年リリースした「MONONOFU NIPPON feat. 布袋寅泰」という曲は、まさに「日本ならでは」を意識した曲なんです。曲作りに際してメンバーと作曲家とで話し合ったときに、K-POPのアイドル曲が世界的に人気を博しているように、日本のアイドル曲をカルチャーとして発信できたらいいねって。ミュージックビデオも「和」を意識しています。この曲が、日本のアイドル文化が世界に届く一歩になったらうれしいですね。

S:あえて日本らしさを前面に出しているんですね。

玉:そうなんです。日本のアイドルは、お客さんとの「コール&レスポンス」や手拍子など独特の文化があるので、それをそのまま世界に持っていけたら楽しいだろうなと思っています。

S:コール&レスポンスのやり方を伝授する英語の動画を配信したら、話題になりそうですね!

玉:確かに動画配信もいいかも。私たちのライブはお客さんのコールがあって完成するもので、メンバーの自己紹介もコール&レスポンスができるように作っています。コールのしかたを覚えてくださっている海外のファンの方も大勢いますが、動画で紹介すればもっと盛り上がってくれそう。

S:ぜひ玉井さんの英語ガイドつきで! ネイティブスピーカーのように話す必要はないんです。玉井さんなりの英語でいい、と私は思います。例えばアメリカのテレビで放送されているソニーのプレイステーションのCMは、日本語の発音で「プレイステーション」と言っています。

玉:そのほうが日本製であることが分かりやすいですね。でも、できたら私としては、発音も含めて英語力を上げられたらいいなと思います。語学についてはもう1つ目標があって、それは外国の友達を作ること。時間を作るのはなかなか大変ですが、数年前には2週間お休みをもらって、ニューヨークに短期留学しました。帰国してからも、不定期ですがオンラインで英会話レッスンを続けているんです。

■「英会話タイムトライアル」テキスト2024年2月号「Steve’s Interview」より一部抜粋。
ニューヨーク語学留学でのエピソードなど、対談の続きはテキスト本誌2月号・3月号でお楽しみください。
3月号では、スティーブ先生の突然の英語の質問に玉井さんが「神対応」するシーンも!

◆構成・文:髙橋和子
◆写真:海野惶世

「英会話タイムトライアル」の「対話カラオケ」(模擬会話)に、玉井さんが挑戦しました!

玉井詩織(たまい・しおり)

1995年神奈川県出身。2008年に結成したももいろクローバーZのメンバー。2018年にはニューヨークへ語学の短期留学をするなど、英語学習に積極的に取り組んでいる。レギュラー出演している音楽番組では、英語の歌をギターの弾き語りで歌うことも多い。ドラマや映画、舞台でも活躍。2023年にはソロプロジェクトで、毎月1曲ずつソロ曲を発表し、配信した。

スティーブ・ソレイシィ

英会話コーチ。国際コミュニケーション博士。アメリカ・フロリダ州出身。著書に『英会話なるほどフレーズ100』(アルク)、『すぐに使える 気持ちが伝わるシンプル英会話表現』(NHK出版)などがある。趣味はスポーツ観戦、登山。X(旧Twitter)ID: @SteveSoresi で活動を発信中。

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