動画やゲームは“休憩”にならない!学校帰宅後が「回復の時間」になっていない現状とは
帰宅後が本来の「回復の時間」になっていない
一番疲れている時間にやることを詰め込んでいないか
学校から帰ったあとの時間は、本来、その日に使った力を回復させるための時間です。体を動かし、頭を使い、周囲に気を配りながら過ごしてきた一日をいったんゆるめ、ここで体と脳が回復に向かえるかどうかがその日の終わり方を左右します。
ところが最近は、この帰宅後の時間が子どもにとってもっとも忙しい時間になっている家庭が増えています。家に着くとすぐに宿題に取りかかり、終わったら習い事へ向かい、それが終われば夕食や入浴、明日の準備と、次々に予定が続いていきます。少し空いた時間には動画を見たりゲームをしたりすることもあります。
一見すると、やるべきことをきちんとこなし、遊びの時間も確保されているため、無理はしていないように思えます。しかし実際には、体も脳も、回復に入る一歩手前で止まってしまっているケースが多く見られます。活動の内容は移り変わっていても、緊張や刺激が途切れず、ずっと動き続けている状態なのです。
とくに動画やゲームは、休んでいるように見えやすいため注意が必要です。本人は気分転換をしているつもりでも、脳は強い刺激を受けています。映像から次々に入ってくる情報や反応を求められる展開は、脳を働かせ続ける要因となりうるものです。座って静かに過ごしていても、内側では切り替えが止まらず、休んでいる実感が得られにくくなります。
大切なのは、帰宅後の限られた時間でどれだけ効率的に物事をこなしたかではありません。やるべきことを早く終わらせることよりも、回復するためのゆとりが、帰宅後の時間に用意されているかどうかが重要です。家に帰ってすぐに何かに取り組みはじめるのではなく、荷物を置いて少しだけ横になったり、ソファでくつろいだりする何気ない時間が、脳を健康な状態へと戻していきます。
【出典】『子ども脳疲労』著:成田奈緒子
【著者紹介】
成田奈緒子(なりた・なおこ)
小児科医・医学博士・脳科学者。発達脳科学を専門とし、子どもの睡眠や生活リズムと脳の発達の関係を長年研究。医療現場で多くの親子と向き合うなかで、子どもの不調の背景には睡眠不足や過干渉など家庭環境の影響が大きいことに着目する。脳の発達段階に即した子育てのあり方を提唱し、講演・執筆活動を通じて広く発信。親子支援事業・子育て科学アクシスを主宰し、保護者向け講座や教育支援にも力を注いでいる。著書に『誤解だらけの子育て』(扶桑社)、『子育てを変えれば脳が変わる こうすれば脳は健康に発達する』(PHP 研究所)、共著に『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SB クリエイティブ)などがある。