24時間営業、自動入退室に対応している「コワーキング新潟弁天」。
中央区にオープンした「コワーキング新潟弁天」。運営しているのは、胎内出身の髙井さんが代表を務める「クラウドパワーパートナーズ株式会社」です。東京都内でリモート人材を活用した企業支援を展開する企業が、新潟でコワーキングスペースをオープンした理由や、テレワークと対面業務の違いなど、髙井さんにいろいろとお話を聞いてきました。
コワーキング新潟弁天
髙井 信洋 Nobuhiro Takai
1978年胎内市生まれ。東京の大学を卒業後、ネット求人を扱う企業に就職。ネットリサーチサービスを展開する企業へ転職し、その後はIT関連企業で役員を務める。35歳で起業し、「クラウドパワーパートナーズ株式会社」を立ち上げる。2023年に新潟市に転居。趣味はゴルフ。
テレワーク導入とコロナ禍。新潟に拠点を移したきっかけ。
——「コワーキング新潟弁天」の運営母体である「クラウドパワーパートナーズ株式会社」では、どんな事業を展開しているんですか?
髙井さん:シンプルにお伝えすると、リモート人材を活用した企業支援です。翻訳サービスやITコンサルタントとしての仕事をリモートで支援するプロジェクトを請け負っています。
——そういったビジネスを思い描いて起業されたんですか?
髙井さん:最初に勤めた会社ではネット求人、それもIT人材に特化した求人を扱っていました。それからインターネットを活用したアンケート調査を実施する企業へ転職して。これまでの経験から、デスクワークの仕事はある程度アウトソーシングできるようになっていくだろうと思ったんです。そう考えたのは、2004年でしたかね。仕事がテレワークになる未来がいつか確実に来る。それがいつ来るかだけの話じゃないかと。
——リモート支援をする会社だなんて、コロナ禍は追い風になったのでは?
髙井さん:それがそうとも言えなくてですね。リモート人材を活用した翻訳の仕事が、コロナ禍でストップしてしまって。決まっていたイベントなど、海外系の仕事が軒並み中止になりましたから。
——あぁ、そうでしたか……。
髙井さん:それでも大手メディアやパソコンメーカーなどの仕事は、定期的に稼働していました。ただ案件の手配から請求書の発行まですべてデジタル化しているので、会社に行く必要がないんですよ。新規の案件もスタッフが問題なく対応してくれますし、営業するにも迷惑じゃないかと感じてしまう状況でしたから。そうするともう、何もすることがなくてですね(笑)。ふと「今の仕事だけでも十分食べていける。無理に会社を成長させなくてもいいのではないか」と思ったんです。
——それは新潟に拠点を移されたことと関係しているんですか?
髙井さん:完全リモートになって、事務所に人がいる必要がなくなりました。私も妻も新潟出身ですし、今後両親の面倒を見ることもあるかもしれないと転居を決めたんです。娘ふたりもちょうど進学のタイミングでしたので。
——久しぶりの新潟暮らしはいかがですか?
髙井さん:あらためて新潟の人はほんとうに優しい方が多いなと思いました。たぶん皆さん自覚されていないと思いますが(笑)
省人化、無人化が必要となる未来の店舗営業のかたち。
——ぜひ教えていただきたいんですけど、髙井さんは顔を合わせての会議はしばらくされていないんですか?
髙井さん:いえいえ、そういう機会もありますよ。顔を合わせるのは、ある意味最強の仕事の仕方だと思っています。だって入って来る情報量がすごく多いじゃないですか。耳からも目からも情報が入って来るし、同僚が悩んでいるかどうかもすぐに分かります。対面で仕事をするに越したことはないんでしょうけど、競合企業がどんどん変化していく中で、人材確保が難しくなるようであれば、経営者は必然的に従来の仕事の仕方を見直す必要が出てくると思っています。
——きっと働く環境は、東京と新潟では違いがありますよね。
髙井さん:確かに違いを感じることはありますね。それに新潟の経営者の方々に「東京で10年ちょっと実績があります」とお伝えしても、すぐにはつながりを作れないと思っていて。新潟では、まだ何も実態がないようなものですから。なので最初の1年は、フルリモートで今までの事業がきちんと成立するか確かめる時間にしようと思っていました。新しいビジネスは、拠点を移して2年目にスタートするつもりでいたんです。
——それが「コワーキング新潟弁天」ですね。どんなスペースか教えてください。
髙井さん:24時間利用可能なコワーキングスペースです。スタッフが日常利用してはいますが、24時間ご提供するために自動で入退室ができるようにしています。ドロップインでも月額会員としてもご利用いただけます。周りを気にせずオンラインミーティングなどができるように4人用の防音スペースもありますし、集中したいときのための個室、フォンブース(電話利用の際のブース)もご用意しています。いろいろ準備していますが、24時間利用できる安心感を提供したいって気持ちが大きいですね。
——無人営業とはすごい。どうしてそういった運用方法にされたんですか?
髙井さん:もともと省人化、無人化に関心がありました。新潟市のまちづくり「にいがた2km」は、すごく考えられている施策ですよね。ただ、企業や移住者を増やしていくのはそんなに簡単ではありません。そうなると「無人でも店舗が営業できる未来にしなくちゃいけないのでは」という考えがあったんです。
起業、副業を応援。コワーキングスペースからの派生サービス。
——防音ルームがあるのもいいですね。
髙井さん:新潟でいろいろなコワーキングスペースを利用しましたし、コーヒーチェーンで仕事をしたこともあります。でもそういった場所では、クライアントとのオンラインミーティングはしづらいですよね。安心してオンラインミーティングができるスペースをきちんと確保したいと思いました。
——髙井さんがテレワークで働いていたからこそ、必要な設備が分かるんですね。
髙井さん:実際のところ、新潟にはパソコン仕事ができる場所がたくさんあります。わざわざコワーキングスペースを利用しなくても、喫茶店で十分です。だからこそ、今後はコワーキングスペースからの展開をいくつか考えているんですよ。
——そのお考え、教えていただけるんでしょうか。
髙井さん:まだお披露目できないプランもあるんですけどね。お話できるところでは、起業家や副業をスタートする方に向けて住所利用ができるようサービスをはじめるつもりです。バーチャルオフィスといいますか、個人事業主の方や副業をする方が住所を公にしたくないという場合に、利用できる住所としてこちらを使っていただこうと計画中です。
——そんなサービスがあるんですか。
髙井さん:住所利用料をなるべく手頃な月額にして、ホームページなどにも記載できるし、郵便物をこちらで対応するようなサービスを考えています。ご利用いただく方の事業が大きくなったときに、他の分野でもサポートできることがあるかもしれないとも思っています。
——双方にメリットがありそうです。
髙井さん:新潟って住みやすいじゃないですか。自宅で仕事をしている方は、働く環境にまったく困っていないと思うんです。わざわざここへ来て仕事をする理由はないんですよ。
——そう言い切ってしまうなんてびっくりです。
髙井さん:住所利用ができる、法人登記もできるサービスがつくれたら、起業される方や副業に力を入れている方にとって都合の良い場所になるのかなと思っています。「新潟市に月に数回だけ来ます」という方もきっと多いでしょうし、24時間利用できる、ドロップインも月額利用も可能というのは、使い勝手が良いんじゃないでしょうか。我々の本業はリモート人材の活用ですから、そういった方々に活躍の場を提供できるビジネス展開ができたらいいなと思っています。
コワーキング新潟弁天
住所/新潟市中央区弁天2-1-2 弁天ビル5F
営業時間/24時間
定休日/なし