神戸港を望む日本料理レストラン『Sincro』で一期一会の美食体験 神戸市
アリーナの開業や来春のスーパーヨットマリーナの誕生など、再開発が進む神戸ウォーターフロント。今、神戸で最も注目を集めるエリアの一角にある日本料理レストラン『Sincro(シンクロ)』(神戸市中央区)をご存じでしょうか。
「日本料理大賞2024-2025」のファイナリストに名を連ねる北川理映子さんがエグゼクティブシェフを務める、完全予約制のレストランで、“その日しか出会えない料理”の数々をおまかせコースとして味わえます。
お店の最大の特徴は、「ここでしか味わえないライブ感あふれる食体験」。メニューは当日の仕入れ状況を見極めながらオープン直前まで内容を検討し、その時に出せる“最良の食材”を使って仕立てられます。
カウンター越しに料理が仕上がる様子を目の前で楽しめるのも魅力。提供に先立って食材や料理について丁寧に説明してくれるため、仕入れや仕込みを含めた“食のプロセス”にも触れながら、料理をより深く味わえます。
6月初旬に取材した日のコースメニューがこちら。リストに並んだ食材がどんな一皿になるのか、期待が膨らみます。
コースの始まりは、北海道産の浅蜊(アサリ)と利尻昆布のスープ。貝の力強い旨みが口いっぱいに広がり、まるで“スープを食べている”ような気分になりました。
続いては、旬を迎えた稚鮎やヤングコーンを使った前菜プレート。
信州の清流・天竜川で獲れた稚鮎の天麩羅は、身はふっくらとやわらかく、はらわたのほろ苦さも心地よい一品。白ワインともよく合います。
次に登場したのは、お造りの盛り合わせ。大きな平貝の殻を器に見立て、肉厚の貝の身、明石鯛、本鮪、瀬戸内産の鱧が並びます。
魚は神戸市中央卸売市場で仕入れており、「築地や豊洲の市場と違い、その日によって並ぶ魚の種類が異なるんです」と北川さん。そのため特定の魚種にはこだわらず、“その日一番良い魚”を仕入れることを信条としているそうです。
そして、北川さんが「今日の料理の山場のひとつ」と話す「お椀」が登場。蓋を開けると、上品な出汁の香りとともに、大ぶりの甘鯛と鮮やかな緑の浜防風が姿を現しました。
日本料理の核ともいえる“出汁”こそ、北川さんの真骨頂。福井県の老舗『奥井海生堂』の昆布に鰹節を合わせ、丁寧に引いた出汁は、透き通るような旨みと香りが身体にすっと染みわたります。
続いていただいたのは、太刀魚の天麩羅。揚げたての温もりを両手に感じながら、豪快にかぶりつきます。
カリッとした衣と、ふっくらとした身の食感のコントラストが心地よく、火照った口に冷えたお酒を流し込むと、思わず頬が緩みます。
熱々の天麩羅を堪能した後は、ひんやり冷たい「枇杷のコンポート風」でお口直し。生の枇杷のフレッシュな味わいが、口の中をさっぱりとリセットしてくれました。
口直しを終えると、いよいよコースは佳境へ。本日のお肉料理は、愛媛県産黒毛和牛のランプ肉の炭火焼です。
鮮やかなロゼ色に仕上がった断面は、まさに芸術。肉の表面を軽く炙り、ゆっくりと休ませながら中心温度が約60℃になるよう丁寧に火入れすることで、絶妙な色合いとやわらかさに仕上げています。
〆を飾るのは、毛蟹を贅沢に1杯分使った土鍋ご飯。蓋が開いた瞬間、たっぷりの蟹の身が目に飛び込み、思わず見入ってしまいました。
デザートは、赤ワインでコンポートしたセミドライイチヂクを、そのワインのゼリーで閉じ込めた一品。凝縮された甘みと豊かなコクが心地よく広がります。
神戸港に面した特別なロケーションで、繊細な料理と向き合う贅沢な時間。
多くの人にこのひとときを味わってほしいという気持ちと、知る人ぞ知る隠れ家のままでいてほしいという気持ち。そんな相反する思いを胸に、記者は三宮への帰路につきました。
場所
Sincro(シンクロ)
(神戸市中央区新港町7-1 Stage Felissimo 2F 海側)
営業時間
18:00~
※完全予約制(食事は一斉にスタートとなります。予約時間に遅れた場合、一部の料理をご提供できない場合があります)
定休日
不定休(予約ページでご確認ください)
駐車場
なし