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精肉店の裏側は「ホルモン好きの楽園」でした《福岡市中央区》

UMAGA

福岡のホルモン販売&肉酒場 CHOKU(チョク)

その楽園は、住宅街にひっそりと……

「本当にうまい豚ホルモン食べたことある?」
「通し営業やけんランチがてら食いに行けるぜ」
「天神から車かバスで15〜30分くらい。ちょっと離れとうけど、絶対行ったほうがいいよ!」

――2019年の秋ごろだったでしょうか?
飲食店の店主やグルメ通の方々から、そんな話が聞こえはじめたのは。

六本松を南に下った「イオンスタイル笹丘」のそば。住宅街の一角に、噂のホルモン専門店「ホルモン販売&肉酒場 CHOKU」はあります。

開業は2019年5月29日。扉を開くとドドン!
ズラリと並んだホルモンと店主の山下直人さんが迎えてくれました。ショーケース内には豚と牛のホルモンが、約10種類ずつそろいます。北海道や愛知県、鹿児島県など、すべて山下さんが惚れ込んだ産地からの直送で、鮮度は抜群。
ホルモンはすべて量り売りで、100g単位から購入できます。しかしながら、この店にはもう一つの顔が……。

ホルモンをその場で焼いていいんです!

“ホルモン、ここで焼いてもいいんですか…?”
そう尋ねると、山下さんはにっこり「こちらへどうぞ」。

ショーケースの右側をすり抜け、奥へ進むと……ありました。この店のもう一つの顔、ホルモン酒場! 換気ダクトとロースターを備えたテーブル席とカウンター席が用意されています。現在、イートインは完全予約制となっているので、事前に電話予約をして出かけてくださいね。

お品書き・その1はこんな感じ。豚ホルモンの盛り合わせがあるのは珍しいですね。「とんちゃん盛合せ」というメニューも気になります。

「僕が店を開いたのは、“とんちゃん”と豚ホルモンの美味しさを福岡で広めたいと思ったからなんですよ」と山下さん。
山下さんは30歳で「料理人として独立したい、焼鳥店をやりたい」との決意を固め、上京。東京や福岡の和食店、焼鳥店で修業を重ね、最後の修業先として名古屋へ。しかし、そこで焼鳥店ではない店に惚れ込んでしまったのです。

「名古屋に、ホルモンの販売店でありながら酒場も併設する店があり、そこにどっぷりハマったんです。“とんちゃん”とは、八丁味噌ベースのタレに絡めた名古屋の豚ホルモン焼きのことで、福岡では食べたことがなかったその味と、モツの鮮度の良さにシビレました。“自分もこのスタイル、この味を福岡で広めたい”と、店の大将に猛アタック。大将は快く受け入れてくれ、そこで修業をしながら紹介してもらった精肉店でも働き、ホルモンのことを学びました」

まずはイチオシの「とんちゃん盛合せ」(約100g600円)。左から豚小腸、豚レバー、豚大腸。メインで扱うホルモンは、修業店と同じ仕入れ先からの直送です。
「“豚ホルモンは臭い”と嫌厭する方もいらっしゃいますが、処理が的確で質の良い豚ホルモンは違います。イメージがきっと覆りますよ」

こちらが「豚ホルモン盛合せ」(1、2人前/約200g1300円)。左上から時計回りにコブクロ(子宮)、ハツ、カシラ(コメカミ〜ホホの部位)、タン、ウルテ(ノド軟骨)、ガツ(胃袋)、テッポウ(直腸)。入荷によっては、味噌ダレに絡めた豚レバー、小腸などもセットになります。

続いてハズせない「牛ホルモン盛合せ」(1、2人前/約200g1700円)。盛り合せのホルモンは、タレに絡めないものと、味噌ダレに絡めたものの2皿が登場します。
1皿目はタレなしで、左下から時計回りにツラミ(ホホ肉)、ハツ、ハラミ、上ミノ。

2皿目はタレありで、左上から時計回りにギアラ(赤センマイ)、センマイ、小腸、レバー、シマ腸。
「北海道の豊西ファームから毎週仕入れる牛1頭分の内蔵も届いたらすぐに切り分け、店頭のショーケースに並べます。取れる数量が少ない部位や珍しい部位は、イートインだけで提供。月に数回、不定期ですが、宗像市の放牧豚「タロ豚」や、佐賀県・白石町の「しろいし牛」のホルモンが入荷することも。入荷情報は、インスタグラムでお知らせしています」

ホルモンパラダイス、ここに極まれり!

ツヤツヤのホルモンと山下さんの解説を前に、もうこれ以上は我慢できません……。とにかく、焼きましょう!

ロースターの上でジュワジュワと踊るホルモンたち。右上の豚レバーなんて、角がキリッと立って鮮度の良さをこれでもかと主張し、誘惑してくるではありませんか。
新鮮なホルモンって見た目も、味わいまでも美しいんですね。独特の臭みなどなく、歯がサクッと入る歯ざわりの良さ、コリッと弾ける弾力。こんなに美味しい豚ホルモン、はじめて! 八丁味噌ベースのタレも甘すぎることなく、コクのある旨味が広がります。

牛小腸も、凶暴なまでに丸く膨れ上がっております。噛めばプリッジュワ~ッ! 舌をベッタリと包むような脂っぽさはなし。甘く香ばしく、サラリと消えていくこの快感たるや。あぁ、もうたまりません。
塩ダレと醤油ベースの焼肉のタレも用意されており、ホルモンの美味しさをアシスト。醤油ベースのタレは青森の奥様の実家直伝で、持ち帰り用にも販売(大594円、小324円)。青森直送のニンニクなど、爽やかな香味がクセになります。

ホルモンは単品注文もOKです。豚ホルモン1品300円〜だなんて、実に手ごろ。気に入った部位を追加し、ホルモンの魅力にどっぷり浸れます。

魅惑のメニューはまだまだ続く

「酒場」ですから、お酒だってこの通り。セレクトは奥様が担当し、レアな青森のお酒が登場することも。北海道で出会ってその美味しさに感動したという「Beer Cellar Sapporo」から仕入れるクラフトビール、季節の日本酒、珍しい焼酎、ナチュールワインまで、酒好きも唸るラインナップです。

丁寧に下処理して煮込んだテールがとろける「テールスープ」(1350円)など、ホルモンを使った一品料理も多数。女性の拳ほどもある大きなテールを、こんなにリーズナブルに味わえるのも、精肉店ならではですね。

シメには「あっさりお出汁の和風ホルモン麺」(550円)もぜひ。糸島「ミツル醤油」の醤油と、山形県「鈴木酒造店」の本みりん「黄金蜜酒」、藤崎の人気店「捏製作所」自家製の麺を使用したこだわりの逸品です。

大満足した帰りに「CHOKU」のロゴを見て、一つ気になることがありました。
“牛、豚、……鶏もいますよね?”
そう尋ねると、山下さんはニヤリ。
「元々、名古屋コーチンの焼鳥を習得するために、名古屋の焼鳥店で修業していたので……。いずれはあの名古屋コーチンを仕入れて、鶏焼きも楽しめるようにしたいんです。これがまた、めちゃくちゃ美味しいんですよ」
なんて素敵な目標! 「CHOKU」は、これからもまだまだ進化していくようです。

おまけ:モツ買うだけ。極上のおうち時間に

取材道具に加え、保冷バッグも持参して取材に望んだ私。自宅用にたっぷりとホルモンを購入して帰りました。
「愛知県豚 とんちゃん(小腸)」「愛知県豚 ガツ(胃袋)」(各100g183円)、「北海道牛 牛小腸」(100g399円)など、この質でこの価格は安すぎます! 持ち帰りでも、味噌ダレあり、なしを選べるのがうれしいですね。味噌ダレありの牛小腸は、フライパンで炒めるだけ。タマネギ、キャベツも加え、鍋に残った脂とタレも美味しすぎたので、麺に吸わせてモツ焼きそばに。ありがとう、すべてのホルモンと山下ご夫妻。極上のおうち時間が過ごせました。

《ホルモン販売&肉酒場 CHOKU/チョク》
福岡市中央区笹丘1−36−20
092-791-3116

※掲載しているメニューや価格は取材時のものです。まん延防止等重点措置により時短営業や休業してることがありますので、訪問する際にはお店のSNSや電話等でご確認ください。

森絵里花(UMAGAスペシャルエディター)
福岡生まれ博多湾育ち。漁師の父と天神OLだった母の元、美味しいものに囲まれて育つ。Twitterの食べ歩き日記をきっかけに編プロへ入社し、その後フリーランスへ転身。地元タウン誌やグルメ情報誌、料理専門誌、WEBマガジンなど食の情報発信を中心に活動。ランチ、カフェ、星付き店から路地裏の酒場まで、オールマイティに楽しむ呑み食い道楽。老舗がすき。インスタID:morika0812

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