離婚時に取り決めたお金を相手が支払わない場合はどうする?支払い遅延の対策【増補改訂版 前向き離婚の教科書】
相手が支払わない場合の支払い遅延の対策
相手に支払わせる方法
離婚時に取り決めたお金を相手が支払ってくれないときは、支払いを催促します。方法はいくつかありますが、はじめは法的強制力の弱い方法で行い、支払ってもらえなければ強制力の強い方法をとります。
まずは、相手に連絡をして事情を聞き、支払いを求めることから始めましょう。支払われない場合は、内容証明郵便を送って請求します。それでも支払いがないときは、裁判所で手続きをして法的手段をとります。法的手段には、履行勧告、履行命令、支払督促、強制執行があります。
このうち最も強硬な手段が強制執行です。強制執行は、相手の財産を差し押さえて支払わせるため、相手に財産があるのであれば、きわめて有効です。
合意した内容を書面に残す
強制執行を申し立てるには、強制執行ができるということを証明する文書(債務名義)が必要です。調停離婚や裁判離婚の場合は、調停調書、審判書、判決書などです。協議離婚の場合は公正証書ですが、強制執行の効力を持たせるためには、公正証書に強制執行認諾約款を付けなければなりません。
強制執行認諾約款とは、「ここに書かれている約束を破ったら、強制執行を受けても異議はありません」という内容の文書です。この一文があることにより、支払いが止まったときに強制執行を申し立てることができます。
ポイント
支払いの催促は、法的強制力の弱い方法から始め、支払わなければ強制力の強い方法へと移行する。強制執行には債務名義が必要なので、協議離婚の場合は、離婚時に強制執行認諾約款付きの公正証書を作成する。相手が支払わないときの対処法
【損しない!コツ】強制執行で給与を差し押さえる場合、相手の手取りの給与が 44 万円以下なら 4 分の 1 まで、44 万円超なら 33 万円を超える分を差し押さえることができます(養育費以外)。一度で回収できないときは、回収するまで強制執行を繰り返します。
【出典】『増補改訂版 前向き離婚の教科書』著:森元みのり