Yahoo! JAPAN

広がる、都内自治体の宅配ボックスの設置推進

TBSラジオ

先月、東京・江東区では、マンションなどの建設に関する条例が改正、施行されました。その中で、注目されているのが、新築マンションの宅配ボックス設置の義務化。

備えていくべき機能。ならば、新築の時から整備すべき!

なぜ義務化をすることにしたのでしょうか?江東区都市整備部・住宅課長の半田智隆さんにお話を伺いました。

江東区都市整備部住宅課 課長 半田智隆さん
「新たに建設するマンションの住戸数の1割以上の数を、宅配ボックス設置を求めていくといった内容です。例えば、13戸のマンションであれば、1割だと1.3になりますので、切り上げで2つのボックスを設ける、というのが義務化になります。新しいマンションには、備えていくべき機能だという風に考えて、義務化を行っておりまして、既存のマンションですと、付ける所に困ったりですとか、建物の避難上の支障になることも無いとは言えないので、そういったことも考慮すると、新築の時から、しっかり整備していくことが重要だと考えております。無理なく作ってもらえるところというのがどこかという観点で考えまして、1割なら整備が躊躇せずに出来るんじゃないか、というところで数字を定めております。」

半田さんの話では、江東区では建設の意欲がかなり旺盛で、新築マンションの相談件数もかなり多い状態が続いているそうで、義務化という行政の後押しがあることで、区内の宅配ボックスの整備が進みそうです。

また、戸数の1割という数字は、まずは無理なく取り組んでもらえるよう考えて設定しましたが、今後、もっと必要だとなれば、改めて検討していく、と。とにかく、マンションには宅配ボックスがあるのが当たり前、という認識のきっかけにこの条例がなれば、と話していました。

ちなみに、埼玉県の川口市でも新築のワンルームマンションに宅配ボックス設置の義務化の条例が、この4月から施行されますし、マンションが建つ時から宅配ボックスが設置されている、となる動きは広がっています。

助成金の申請は締め切り前に上限に!

一方で、既存の住宅に対して、宅配ボックスを付ける場合に助成金を出します、という動きも広がっています。

例えば、東京・板橋区では、2022年度、2023年度と、助成を続けています。板橋区では、宅配ボックスの値段と設置工事費用、の1/2の助成で、戸建ての場合は最大5万円、集合住宅の場合は最大15万円の助成をしています。

区民の反応について、板橋区環境政策課、副係長の隅田慎一さんに伺いました。

板橋区環境政策課 副係長 隅田慎一さん
「2022年度と2023年度両方とも、申請の期限の前に予算上限に達して終了、という形になってますので、予想以上と思ってます。当初は予算を組んでも、ひょっとしたら、全然申請来ないんじゃないかとか、あとは、宅配ボックスにはあまり関心が無い方もいらっしゃるんじゃないかという風に思っていたんですが、想像を超えて反響があって、区としては助成の事業をやって良かったな、という風には思っています。実は結構、予算が上限に達して終了してしまったというのを知らないでご連絡いただいたりとか、助成をお願いしたいんだけど、というお問い合わせ結構ありまして、待って頂いてる方も数名もういらっしゃる、という状況には、今なってますね。2024年度に関しては、前向きに検討はしているんですが、今まだ決定という段階ではないので、そういった区民の方々には、3月の末になったらホームページを見て欲しい、またお問い合わせして欲しい、ということをお伝えしています。」

22年度も23年度も、期限前に予算上限に達してしまうほど、区民の関心は高い。みなさん必要性を感じているんですよね。

助成金の申請に来た区民の方に聞くと、もともと宅配ボックスに興味があったり、設置を検討してしていたので、助成金が出るならそれを使ってぜひ設置しようと思った、と言うそうで、隅田さんは、この助成金が宅配ボックスの普及に大きく影響している、事業としての手応えを感じた、と話していました。

宅配ボックスの設置で、再配達率は43.6%から4.3%に!!

そして、隅田さんたちは、もう一つ、具体的な手応えも得ていました。再び隅田さんのお話です。

板橋区環境政策課 副係長 隅田慎一さん
「2023年度はまだなんですけども、2022年度に関しては、どれくらい再配達というのが無くなったか、というアンケート調査を取らせていただいて、アンケート結果によりますと、事前に直近のところで、再配達率どれくらいだったかという調査をしたところ、43.6%という数字で再配達率ありました、という御回答いただいたんですけども、宅配ボックスを導入した後、4.3%になりました、という結果が出ています。これだけ数字に出ると、こちらとしてもやはり効果あったんだな、と実感しますね。当初は板橋区が始めた理由としては、コロナの感染症の対策と、私ども環境政策課という部門なので、再配達でのCO2の削減という2つが大きな目的ではあったんですけれども、今、2024年問題という物流の問題も直面しているので、そちらにも寄与する内容なのかなと思っていて、出来れば継続してやっていきたいな、と思っています。」

43.6%が4.3%はすごいですよね!宅配ボックスの設置は、再配達を減らすことに非常に効果的、そうだろうとは思っていましたが、数字で聞くと驚きました。

一方で、国交省は、2024年問題に対応するため、マンションの管理組合で、宅配ボックスの設置について議決する際の、議決の要件を今年度中に緩和する、という方針を示しました。

これは、マンションで宅配ボックスを設置しようとしたときに「過半数の賛成」で、議決として良い、と明記したものです。国交省は、宅配ボックス設置の議決に関して何も示されていなかったことが設置が進まない要因になっていた、ということで、今回明記することにしました。

(ん?2024年になってから2024年問題の対策?今から?と、ちょっと思いますが、良いことには違いありませんからね!)このような国の動きを受けて、新築の宅配ボックス設置の義務化や、宅配ボックス設置に対する助成が、さらに広まってほしいですね。

【関連記事】

おすすめの記事