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チェッカーズのラストライブ「FINAL TOUR」ドルビーアトモスで武道館の臨場感を感じて!

Re:minder

1992年12月28日 チェッカーズ のラストライブ「Final Tour」開催日(日本武道館)

チェッカーズのラストライブとなった「FINAL TOUR」の全貌がBlu-rayに


1992年12月28日、ザ・チェッカーズ(以下、チェッカーズ)のラストライブが日本武道館で行われた。そして、この日から3日後の第43回紅白歌合戦(NHKホール)の出場を最後に、彼らは9年と3ヶ月という活動に終止符を打った。

エンタテインメント性に溢れ、多様な音楽ジャンルを飲み込んだライブバンドとして、そして、お茶の間を席巻したアイドルバンドとして、武道館とNHKホール、この2つのステージでチェッカーズは筋を通した。こういうケジメのつけ方からも彼らがパブリックイメージと反して男気のある硬派なバンドだったと改めて思う。

この日の紅白歌合戦のメドレーが、ブラウン管の前で彼らを応援してきたファンのためであったとすれば、武道館のラストライブは、ライブバンドとして、そしてアルバムアーティストとしてのキャリアの集大成だったと言えるだろう。

この日の武道館、つまり、チェッカーズのラストライブとなった「FINAL TOUR」の全貌が最新のリマスターを施し、2023年12月20日にBlu-rayとしてリリースされた。言わずもがな30年前の映像である。しかし、最新のリマスターで映像は驚くほど鮮明だ。さらに立体音響技術 “ドルビーアトモス” によるミックスの状態が絶妙で音響の臨場感がたまらなく良い。可能であれば “PLAY IT LOUD” でお楽しみいただきたい。

”解散” というセンチメンタルな感情を吹き飛ばすライブバンドとしての本懐


この日のステージは、通常の武道館公演と異なり、中央に円形の舞台を組み、その周囲を観客が囲む。これはチェッカーズ、アリーナクラスでは定番のスタイルだった。1人でも多くのファンに最後の勇姿を見届けてもらおうという粋な計らいだ。このステージを縦横無尽に動きながら、ライブバンドとしての圧倒的な力量を見せてくれる7人から、テレビでは決して見ることが出来なかったアーティスティックな側面が垣間見られた。

オープニングナンバーは、彼らの最高傑作と断言できるラストアルバム『BLUE MOON STONE』からのインストナンバー「FINAL LAP」だった。UKソウルを経由した緩やかなグルーヴが加速していくと、”解散” というセンチメンタルな感情を吹き飛ばし、”今日を楽しもうぜ!” というライブバンドとしての本懐が炸裂する。

やがてフロント3人、高杢禎彦、鶴久政治、藤井郁弥(現:藤井フミヤ)が登場、藤井尚之のサックスから耳慣れたメロディが溢れ出す。「ギザギザハートの子守唄」だった。UKソウル的なインストからの極めてドメスティックな「ギザギザハート〜」への流れだったが、彼らの紡ぐグルーヴは流れを変えず、観客を魅了し続ける。このデビュー曲に不思議とノスタルジックな感情を抱かなかったのは、バンドのアンサンブルが9年のキャリアを経て深化し、独自性を高めていったからに他ならない。

「OOPS!」を経て覚醒したアルバムアーティストとしての世界観


3曲目、高杢が歌う極上ファンクナンバー「Yellow Cab」ではジェームズ・ブラウンばりに観客を煽り、続く鶴久が歌う「80%」でも疾走感溢れるポップなメロディが武道館の客席を一体化させる。「Yellow Cab」はラストアルバム『BLUE MOON STONE』から、そして「80%」は89年にリリースされた『Seven Heaven』の収録曲だ。セルフプロデュースに舵を切り、独自路線を深化させていった自信がサイドボーカル2人のパフォーマンスからも如実に表れていた。

そして、この日のステージは『BLUE MOON STONE』、そしてこの前作にあたる『I HAVE A DREAM』で生み出した音楽性が十二分に体現されている。つまりハウスミュージックを導入した革新的なアルバム『OOPS!』を経て覚醒したアルバムアーティストとしての世界観だった。

中盤チルアウトしたアコースティックコーナーでは、7人が椅子に座り、「涙のリクエスト」や「時のK -City」を披露しながら久留米時代を語るMCも聞かせてくれる。この時クロベエ(徳永善也)が歌う「青い目のHigh School Queen」もたまらなく良い。彼らが10代のころ憧れたロックンロールバンド、クールスへのリスペクトと言えるこの曲には若き日のチェッカーズの面影を感じずにいられない。

この時の彼らの素顔は、飾り気のない素朴さとあたたかさに満ち溢れていた。そこには7人で戦い抜き、この武道館にたどり着いたという安堵感も感じられた。そう、この日のステージにはエッジの効いた先駆的なバンドサウンドと、時を経ても変わることがない彼らの素顔という異なる魅力が溶け合っているのだ。

デビュー当時のチェック柄をオマージュしたステージ衣装でステージに上がる7人


後半も「HEART IS GUN〜ピストルを手に入れた夜」、「愛と夢のFASCIST」というビートの効いたスカナンバーで武道館の客席は、ダンスフロアと化す。そして、本編はファンに向けてのリアルなラストメッセージが打ち出された「Present for you」で幕を閉じる。

そして、アンコールではこれまでの黒いスーツを脱ぎ捨て、デビュー当時のチェック柄をオマージュしたステージ衣装でステージに上がる7人。「Rainbow Station」や「I have a dream」といった解散の向こう側に見えるファンや自分たちの未来を見据えた歌を奏でる。郁弥は「Rainbow Station」の中で、「♪ いつかオイラに届くように いつか愛するあなたに届くように」と歌う。つまり、時空を超えたチェッカーズの存在がこのラストシーンで明確に映し出される。

そんな当時の記録が30年という時を経て鮮やかなBlu-rayに蘇ることが、どれだけ感慨深いものかファンならわかるだろう。チェッカーズは最後までノスタルジーに浸らず未来を見据えたバンドだったのだ。

今回のリリースは、この武道館公演の全貌に加え、特典映像として、1987年『GO』ツアー、中野サンプラザ公演より初公開となる「NANA」「ジュリアに傷心」の2曲をフルバージョンで収録。デビュー40周年のアニバーサリーとなる2023年にこそ観てほしい映像作品になっている。

PHOTO:THREE STAR PRO/COM

▶︎チェッカーズ 40th Anniversary
https://checkers40.ponycanyon.co.jp

事実に則り、本文を一部修正しました。

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