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【「詩とファンタジー」第48号】 三木卓さんへの愛が詰まった1冊。静岡関係者が多数執筆

アットエス

静岡新聞論説委員がお届けするアートやカルチャーに関するコラム。今回は2024年12月25日に発行(表4表記)された「詩とファンタジー」第48号(かまくら春秋社)を題材に。2023年11月18日に亡くなった三木卓さんの追悼特集。

「三木卓の“少年のこころ”」と題した追悼特集。表紙は宇野亞喜良さんが三木さんを描いた。「私と三木卓」と題したさまざまなジャンルの知己によるエッセー、「三木卓アルバム」「三木卓とわが町」(鎌倉、静岡)、三木卓年譜など、本県出身の偉大な文学者にさまざまな角度から光を当てた素晴らしい編集内容だ。

三木さんの表情豊かな詩に宇野さんや高須英代さん、柿崎サラさんら10人のイラストレーターがそれぞれ作品を提供したぜいたくなページもいいし、各ジャンルの代表作を野上暁さん、森詠さん、小池昌代さんが
紹介する「三木卓の人と作品」(児童文学、小説、詩)は今後の読書ガイドとして大いに役立つだろう。

個人的には野上さんが挙げられた児童文学の何冊かにたいへん興味を引かれた。「子ども時代を満州で過ごした作者が、そこで日本軍が行ったさまざまな事実を、加害者の立場から迫った意欲的な作品」とする「ほろびた国の旅」(盛光社)、「風船が、自分は元なんだったのか診察して欲しいと病院に来る」という「ばけたらふうせん」(講談社)は、テーマこそ全く違うがどちらも三木さんらしさがよく出ていそうだと感じた。

柳澤紀子さん、柳澤伯夫さん、山川静夫さん、遠山敦子さんら静岡の関係者も健筆をふるっている。特に心に残ったお二人のコメントを引用しよう。

村松友視さん
「優しく、高質なものを持たれた、わたしとは全く別物の文学軸を生きておられることを痛感させてくれる、心のひろい、心強い先輩でした」

恩田侑布子さん
「十一歳まで、大陸の極寒を生き抜いた三つ子の魂に、侵略者側の民としての飢餓と、小児麻痺による障害という複眼が加わった」
(は)

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