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失敗から生まれた「ヘンテコ便」。地方移住で深海魚ビジネスが根付くまで

新しい働き方メディア

起業に失敗はつきものだと言われる。しかし、実際にどんな失敗を経験し、それをどう乗り越えているのだろうか。静岡県沼津市で「深海魚直送便」を運営する起業家、青山沙織さん。地域おこし協力隊から起業し、数々の失敗を乗り越えてきた彼女の軌跡から、ビジネスを成功させるためのヒントを探る。

日常の中にヒントを見つける

青山さんは、ビジネスのアイデアは「日常の中にある」と言う。「インスタを見ていて、『こうしたらいいな』と思うような、ちょっとした思いつきを形にしているだけ」と語る。しかし、思いつくことと、それを形にすることの間には大きな壁がある。

その壁を乗り越えるために、青山さんは「口に出して『こうした方がいい』と言ってしまう」という。そうすることで、もう後には引けなくなり、行動するしかなくなるのだ。そして、彼女は「やるかやらないか」が成功を分けるという。「家が綺麗な人は、毎日掃除を続けているだけ。特別なことではない」と、日々の地道な努力が大切だと語る。

失敗から生まれた人気商品「ヘンテコ便」

「深海魚直送便」のサービスは、失敗を繰り返しながらブラッシュアップされてきた。頭がすぐ黒くなるエビを送ったら「黒いエビが来た」とクレームが来て、扱うのをやめたというエピソードは、サービス改善の必要性を物語っている。

そして、一番の成功例は、失敗から生まれた人気商品**「ヘンテコ便」**だ。元々、食用に向かない魚は、食用魚のセットのおまけとして希望者に送っていた。しかし、注文が増えるにつれ、おまけの個別対応が難しくなった。そこで、あえてヘンテコな魚だけを詰め合わせた「ヘンテコ便」を商品化したところ、これが大ヒットした。このエピソードは、顧客の要望に柔軟に対応し、不便さを解消する工夫が新たなビジネスチャンスを生むことを示している。

「やってみて、ダメならやめる」

生魚の販売だけでは、漁の状況に左右されて安定しない。そこで、加工品や冷凍品の充実、さらには深海魚料理の体験教室や魚の選別体験など、ビジネスの幅を広げようと試みている。こうした取り組みも、「やってみて、ダメならやめる」という彼女の行動原理に基づいている。

最後に、青山さんは起業を目指す人たちへアドバイスをくれた。「どうしてもやりたかったら、もっと頑張る。無理だなと思ったら新しいことやるかのどっちかです。別に無理してやる必要はないじゃないですか」。

様々な職を転々とした後、地域おこし協力隊として戸田町へ。そして、その経験を活かして起業した青山さんの生き方は、「失敗」を恐れず、常に新しいことに挑戦する大切さを教えてくれる。

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