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井上芳雄が全力で振り切った3枚目に! 吉沢亮はウブな会計士を熱演! ブロードウェイミュージカル『プロデューサーズ』が開幕

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ミュージカル『プロデューサーズ』舞台写真

2020年11月9日(月)より、東京・東急シアターオーブにて、ブロードウェイミュージカル『プロデューサーズ』が開幕する。初日前日には同劇場にてゲネプロ(通し稽古)がマスコミ向けに公開された。

本作は、1968年の同名映画をもとに、2001年にブロードウェイで舞台化され、その年のトニー賞において新作ミュージカルが受賞可能な13部門のうち、史上最多の12部門で最優秀賞を受賞した大ヒットミュージカル。ブロードウェイでの成功後、ロンドンのウエストエンド、さらにカナダ、ドイツ、オーストラリア、韓国など世界各国で上演を重ね、日本では2005年にブロードウェイキャストによる来日公演、2005年と2008年にV6の井ノ原快彦、長野博によって上演された。この度はじめて東宝による製作で上演されることとなる。

落ち目のプロデューサーである主人公マックスを演じるのは、井上芳雄。マックスに巻き込まれていく気の弱い会計士レオを、ミュージカル初出演の吉沢亮と、舞台でも活躍する大野拓朗がWキャストで演じる。このゲネプロでは吉沢バージョンが公開された。

この傑作コメディの演出を手掛けるのは、舞台・ドラマ・バラエティとコメディ作品で定評のある福田雄一だ。“ブロードウェイミュージカルを題材としたブロードウェイミュージカル”であり、“史上最低のミュージカルを作ってボロ儲けすることを夢見る二人の顛末”を描いたコミカルな本作をどう描くのだろうか。

【あらすじ】
かつてヒット作を生んだブロードウェイのプロデューサーであるマックス(井上)は、今は落ちぶれて破産寸前。マックスのもとを訪れた気の弱い会計士のレオ(吉沢/大野)が帳簿を調べると、舞台が成功するより失敗したほうが利益を生むことに気づく。マックスは、わざと舞台を失敗させ、資金をだまし取るという詐欺を思いつき、レオを巻き込んで、最悪のシナリオ、最悪のスタッフ、最悪のキャストを集めて、大失敗作を作り上げようと計画する。

お金持ちのホールドミー・タッチミー(春風ひとみ)を言いくるめ資金を調達。ヒトラーをこよなく愛するフランツ(佐藤二朗)が書いた『ヒトラーの春』というハチャメチャな脚本に、最低の演出家であるロジャー(吉野圭吾)とその助手カルメン(木村達成)のゲイ・カップル、主演女優には英語が話せない女優志望のウーラ(木下晴香)を迎え、舞台は大コケ間違いなしと思われたのだが——。

井上芳雄の本質は王子さまではなく、生粋のコメディアンなのでは? と思わされるくらい、この芝居で井上は振り切った演技を見せていた。走り回り、飛び回りゲスな下ネタを何度となく口にし、綺麗な女性の胸元やお尻に釘付けとなり……そこには『エリザベート』のトートの影も形もない。むしろWOWOW「グリーン&ブラックス」で見せているお茶目で毒舌、時には下ネタも口にする井上芳雄がそこにいた。「グリーン&ブラックス」の演出も務める福田が井上の本質を的確に捉えて本作の演出を付け、また井上はその期待に十二分に応えた結果がこの作品で見せているものなのかもしれない。

とはいえ、ただの三枚目で終わらないのが井上だ。芝居後半、マックスがこれまでのあれやこれやを回想する場面があるのだが、全ての場面の象徴的な言動や仕草を超高速で一気に再現しながら見せる様はやはり只者ではなかった。

ミュージカル初挑戦の吉沢も大健闘。まだまだ周りのベテラン俳優たちに置いて行かれないよう、必死に食らいついている感が否めなかったが、むしろそのぎこちなさがウブでまだまだ未熟なレオという役どころに上手くハマっていた。おそらく本番ではこなれてよりいい味を出せるに違いない。

その他のキャストで特に目を奪われたのは木村達成。キュートにも程がある可愛らしいカルメンのビジュアルと色気、そして存在感に目が釘付けだった。本人はハッキリした顔立ちのイケメンだが、これほどまでに色っぽく化けるとは!!

また、木下はこれまで王女様といった上品で綺麗な役が多かったイメージだが、その持ち味を活かしつつも、見事に福田流・エロティックの権化と化していた。この芝居をきっかけに是非今後もコメディエンヌの道を目指してもらいたい。

ストーリーは笑いあり涙なし、そしてどの楽曲も素晴らしいの一言。ショービズの裏側を垣間見せるだけでなく、劇中劇ではど派手な歌とダンスに紛れてヒトラーに対する痛烈な皮肉も織り交ぜられており、原作者の心意気がうかがえた。

最後にゲネプロ前に井上、吉沢亮、大野、演出の福田の意気込みなどを含めたコメントを紹介する。

(左から)福田雄一、吉沢亮、井上芳雄、大野拓朗


■自己紹介

井上芳雄:マックス・ビアリストック役の井上芳雄です。マックスはブロードウェイのプロデューサーで、今は落ちぶれているという役です。

吉沢亮:レオ・ブルーム役の吉沢亮です。レオはホワイトホール・アンド・マークス事務所で働く会計士の役です。会社名にホワイトとあるんですけど、実はブラックな会社で……(笑)。そこで働く気弱な会計士です。

一同:あ、ブラックだったんだね(笑)。

大野拓朗:同じくレオ役の大野拓朗です。レオはホワイトホール・アンド・マークス事務所という、会社名にホワイトとあるんですけど、実はブラックな……はい!(笑)

井上:同じ役なんだから、同じだよ!

福田雄一:演出の福田雄一です。

■稽古中のエピソード

井上:福田さんがいらしてからの稽古3日目には一幕を通すって言われ、嘘だろうと思ったんですけれど、必死に一幕を覚え、そして二幕を続けて覚えて、必死すぎてそこからの記憶があまりないんですけど、とにかく毎日全力でふざけるというのをやっていました。どうなるんだろうなと思いながら稽古していたんですが、なんとかなるんですよね。劇場に来て、こうして出来上がって、夢を見ているようです。

福田:みんな(稽古中)とても楽しそうでしたよ!

吉沢:僕は今回ミュージカル自体が初めてで、まわりのみなさんは本当にミュージカル界の素晴らしい方ばかりで、最初の歌合わせであまりのまわりとのレベルの差にすごい苦しくなって、仲間は(フランツ役の佐藤)二朗さんだと思っていたんですけれど……(笑)。意外と二朗さんがミュージカルらしい歌い方をされていて、「おい、嘘だろ」と、裏切られたと思いました(笑)。なので僕は必死に頑張っているところです!

大野:僕はコメディが大好きで、芸人さんにも憧れてて、だからこそ福田さんの作品にも憧れていて、やっと今回初めてご一緒させていただけることになって、よしやるぞ! と思ったんですけど、自分が全然おもしろくなくて……。

一同:ちょっと、ここは反省の場所じゃないから! これから始まるんだから!(笑)。

大野:いや、こういうところなんです。僕、真面目なんです(笑)。

井上:本当に真面目な人は自分で真面目って言わないから! もう一周まわってふざけてるでしょ?(笑)。でも、本当にみんながおふざけを持ち寄る現場なので、すごかったです。

福田:そうですね、アンサンブルから(笑いを)突っ込んでいくからすごいよね。

大野:笑いをこらえるの大変でした。芳雄さんがすごいのは、立ち稽古の初日からセリフが全部入っているのに加えて、一つひとつの笑いにも全部に突っ込んで返していくんですよ。

吉沢:ほんとうにすごかったです。

井上:未だにみんな違うことするから、未だに落ち着かない(笑)。それに楽しくなるとどんどん自分もふざけちゃうんですよね! もう、上演時間が短くなる気がしないです! 一言でバシッと突っ込めるようになりたいですね。

福田:僕はWキャストが初めてだったので、ちょっとドキドキしました。稽古も難しくて。でも結果的に良いWキャストの形になったと思います。

■福田さんから見て、井上さん、吉沢さん、大野さんの印象は?

福田:芳雄くんはもう芳雄くんだから! 芳雄くんって、ミュージカルになると全然違うんですよ。ミュージカルでは初めてご一緒したんですけど、口から声が出ているのではなくて体の全体から声が出ている感じでした。
吉沢くんは初めてのミュージカルということもあって、舞台役者っぽい芝居をしないのでそれがすごく新鮮でおもしろくて、一方で拓朗くんが王道のミュージカルのプリンスっぽく演じるので、個性が分かれてとても良いWキャストになったと思います。

井上:それぞれ違っていいですよね。(一緒に)やるほうは大変ですけどね!(笑)。

■見どころ

井上:劇場に来てみて驚いたのが、めちゃくちゃ豪華なんですよ、舞台が。今年は大変なことがいろいろありましたけど、そんな一年の締めくくりに、こんなに豪華なこんなにバカバカしいミュージカルを、この渋谷でできることが、なんて幸せなんだろうと思います。皆さんが想像するより数倍豪華な舞台が出来上がってるんじゃないでしょうか。現実を忘れられる、ミュージカルらしいゴージャス感があります。

吉沢:豪華なんです。

一同:(笑)。

吉沢:いや、セットを見て、びっくりしちゃって、もしかしてこれ、ミュージカル!? と思いまして(笑)。

井上:今までなんだと思ってたの?(笑)。

吉沢:もちろんキャストの皆様も素晴らしいですし、こんなに贅沢な環境でミュージカルの初舞台を踏めるということが幸せです。

大野:いやもう、豪華ですね。

一同:(笑)。

大野:Wキャストの特権は客席から自分が出ているシーンを見られることなんですけど、本編ラストのマックスとレオの二人のシーンとか、めちゃくちゃ豪華です!

■最後に一言

井上:ブロードウェイのオリジナル版の振り付けをそのまま使っていまして、ブロードウェイのスタッフや日本のスタッフの皆さんの尽力によって今に至っているので、今の時点で感無量なんですが、そういった今までの多くの皆さんの努力やエネルギーに応えるべく全力でばかばかしいことをやっているので、2020年最後に大笑いしにシアターオーブに来ていただけたら嬉しいです!

取材・文・撮影=こむらさき

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