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柏『とんかつ瓢』のとんかつランチ! 岩塩でいただく希少豚「林 SPF」の上ロース定食

さんたつ

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柏駅西口にある『とんかつ瓢(ひさご)』は上質で希少な豚肉「林SPF(はやしエスピーエフ)」を使ったとんかつが味わえる店。京懐石や日本料理店で腕を磨いてきた店主が、蒲田の人気店『とんかつ檍(あおき)』で修業を積み、2015年に地元で開業した。

とんかつ瓢(とんかつひさご)

蒲田の名店『とんかつ檍』で研鑽を積み、2015年に地元で開店

柏駅西口から徒歩5分のところにある『とんかつ瓢』は、地元で知られるとんかつの名店だ。西口を出てすぐの商店街はたくさんの飲食店がひしめき合っているが、酒場が多いせいか昼間は人通りが少ない。しかし、ランチタイムになると『とんかつ瓢』には次々とお客さんが入っていく。土・日のランチともなると、県外からもたくさんのお客さんがやってきて列をなすのだ。

店の入り口には、行列を待つための椅子が用意されている。

時計を見るとランチタイム終了間近。ドアを開け中に入ると、店内はお客さんでいっぱいだ。筆者はこの日最後のランチ客だったので、ゆっくり店主の話を聞くことができた。

ダークブラウンのインテリアで落ち着いた雰囲気だ。

店主の岩井さんは柏市出身で、料理の基礎を身につけるため最初は京懐石の店で働きはじめ、次は西新宿のホテル『パークハイアット東京』の日本料理店『梢(こずえ)』へ。そして最後は蒲田のとんかつの名店『とんかつ檍』の門を叩いた。

「『梢』を辞めたあと何をしようかなと思った時に、親が料理人だったこともあり、地元で飲食店を出そうと思いました。元々『とんかつ檍』社長の丸山さんと知り合いで、『(地元で店を開くなら)とんかつ屋をやれよ』って軽いノリで作り方を教わったんですけど、実際に丸山さんのとんかつがうまかったのでとんかつ屋にしようと思いました」

まずは入り口にある券売機で食券を購入しよう。

店主は2013年から『とんかつ檍』で修業を重ね、2015年、ここに『とんかつ瓢』オープンした。丸山さんはわざわざ蒲田から柏まで足を運び、物件探しにも助言をくれたという。

「西口って駐車場とか、マンションばかりなんですよ。かといって東口はたくさん店があっても、家賃がすごく高い。西口でも国道より駅に近いエリアなら経営していけるだろうとここを選んだんです」

丸山さんからのお墨付きをいただいたこの物件。2025年に10周年を迎え、食べログの百名店に何度も選出されてきた。結果的に地元でとんかつの名店と呼ばれるようになったのだから大成功だ。

希少な千葉県産ブランド豚「林SPF」とは?

とんかつに使用する豚肉は、すべて「林SPF」という銘柄豚だ。生産地は千葉県で、徹底した飼育管理のもとで健康的に育てられるため特定の病原菌を持たない。肉質は柔らかく、脂身に甘みがあるのが特徴だ。

千葉県の東庄町(とうのしょうまち)、旭市、木更津市、君津市にあるたった9つの農場で年間3万トンが生産されている。

店内の片隅に掲げられた「林SPF」取扱販売店指定証。

「飼育に手間がかかるので、どんどん生産者が少なくなっているんですよ。うちは千葉県の東庄町の豚で、『とんかつ檍』でも同じものを使っているんです」

そう話しながら店主が調理前の豚肉を見せてくれた。

写真は林SPFの特上ロース。赤身は透明感があり、適度にサシが入っている。
叩くのは脂身の部分だけ!それにより脂の口溶けが良くなる。

成形した上ロース肉は、赤身に触れず脂身しか叩かない。それは火の通りを良くするためだ。さらに脂身と赤身のキワに包丁を入れ、筋切りは最低限しかしない。

「肉には軽く塩をふるだけです。よくとんかつの下味にコショウをするけど、あれは肉独特の臭み消しなんです。この肉には臭みがないので必要がない」

軽く塩だけで下味をつけた上ロース肉に小麦粉を薄くまぶす。

そのあと小麦粉、溶き卵にくぐらせ、パン粉をつけてラード100%の油で揚げる。

パン粉はちょっと粗めだ。

ジュワ〜ッという音とともに、とんかつの周りに小さな気泡が立つ。

「揚げ加減は八分目くらいにとどめて、余熱で火を通します。油にとんかつを入れてブクブク泡が出てくると、その分水分が抜けていくのでなるべく早めにフライヤーからあげるんです」

鮮やかな手さばきと解説に尊敬の眼差しを向けていた筆者に、店主は「(『とんかつ檍』の)丸山さんも言っていたけど、肉がいいからパン粉をつけて揚げるだけ。誰にでもできますよ」と笑う。

肉の持ち味を生かすように、ほどよい火加減で揚げている。
揚げたてをザクザクと切る。断面も美しい!

とんかつに夢中になっていたが、店主が手にしていた変わった形の包丁が気になった。興味深い形ですね、それは特注ですか?

上は2015年にオープンしたとき使いはじめた包丁で、下が元の大きさ。

「いや〜、恥ずかしいな。10年間、毎日使っているうちにこんなに小さくなってしまったんですよ」

この包丁ひとつを見ても、ご店主の食に対する誠実さを見た気がした。このとんかつは絶対おいしいに違いない。今すぐそれを食べさせてください!

ザクザクの衣に包まれた豚肉のとろける脂と、くせのない赤身に感激

実は券売機の前で、とんかつ定食にするかカツカレーにするか迷っていた筆者。上ロースは定食1700円しか提供されていないが、単品カレー400円を追加注文することもできる。

「とんかつの作り方は『とんかつ檍』での手習い通り。『とんかつ檍』姉妹店のカツカレー専門店『いっぺこっぺ』がありますけど、ちょっと私にはカレーが辛すぎるので、ウチではややマイルドなオリジナルのカレールーを提供しています」

ほほう、それは気になるけれど……。今回は定食にします! 希少な豚肉だから、まずはとんかつそのものを味わいたい。

卓上に並べられた上ロース定食のたたずまいったら!

ほどなくして目の前に提供された上ロース定食を見て、胸が高鳴る。

「とんかつは岩塩で食べると、脂の甘みがわかりますよ」と、店主がすすめてくれたのでまずはひと切れ、モートンロックソルトでいただきます。

卓上には数種の珍しい岩塩と、オリジナルブレンドのソースがあり、自由にかけて食べられる。 

くう〜、柔らか〜い! 肉質はきめ細かくて上品。脂身は口の中ですぐに溶けほんのりと甘みがある。雑味のないモートンロックソルトが、肉のうまさをさらに引き出してくれている。

粗めのパン粉がザクザクとして香ばしく、肉の旨味をしっかりホールド。

ふた切れ目はソースで。「ソースはベースがあって、そこに独自のスパイスを加えています」と店主が言っていた。

あっさりとした甘さがあり、後味に山椒のような清涼感のあるスパイスがキレの良さをアシスト。

臭みがなく、上品な林SPFにソースとカラシがよく合う。ご飯にも合いますね!

とんかつの旨味を噛み締めながら、千切りキャベツをパリポリといただき、豚汁をゴクリ……。この豚汁、おいしい。なんなんだ、この甘みは!

とんかつと同じくらい感動したのは、タマネギたっぷりの豚汁。これはどんぶりサイズで食べたいくらい。

「その甘みは千葉県白子産のタマネギですね。寸胴に入れた水からタマネギが飛び出るくらいたっぷり入れて煮込んでいるんです」

そんなにたくさん! どうりで甘みがあるはずだ。筆者は、クタクタに煮込まれたタマネギが大好物なので異様に興奮してしまった。タマネギの旨味に負けない豚肉の存在感と味噌のコクが混ざり合っていてこれまたご飯に合う。定食ではサブのポジションである豚汁にまで手を抜かないところに『とんかつ瓢』の本気を見た気がした。

これはカツカレーやヒレカツ定食も期待大! 再訪する楽しみができました。

とんかつ瓢(とんかつひさご)
住所:千葉県柏市旭町2-2-2 第一松崎ビル1F/営業時間:11:30〜14:00・18:00〜20:45/定休日:月/アクセス:JR常磐線・東武鉄道東武アーバンパークライン柏駅から徒歩5分

取材・文・撮影=パンチ広沢

パンチ広沢
ライター・ドローンパイロット
学生時代、爆笑問題さんにインタビューしたのをきっかけに阿佐ケ谷に住み始め、以来30年もの中央線沿線ウロウロLIFE。グルメ、旅、エンタメいろんな仕事を幅広く担っているが、とどのつまり人の話を聞くのが好きなんだなあと思う今日この頃。2024年二等無人航空機操縦士の資格を取得しドローン関係の仕事も開始!

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