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【10年目レストランの奇跡】あの時の未来は今「SAjiYA」

料理王国

【10年目レストランの奇跡】あの時の未来は今「SAjiYA」

開店年に本誌の取材を受けてから10年となるレストランに再取材。何を守り続け、何を進化させたのか。その軌跡を振り返る。

10年前の記事はこちら

少額投資で大きな成長を見込む街の自然派ワイン食堂「さじや」

時間とともに、静かなアップデートを繰り返す

SAjiYA (さじや)

東京都渋谷区 2011年3月29日OPEN

「10年で一番変わったことと言えば、自分が10歳年をとったこと」と語るのは、シェフ田中篤さんと二人三脚でこの店を営んできた池上ひさかさん。

「年齢を重ねたことで人間的に丸くなり、以前よりお客さまに歩み寄る余裕が持てるようになりました」。

当初は、どちらかというと狙い通りのターゲット層に来てほしいとの思いがあったが、年齢とともに考え方も変わり、来てくれた人に寄り添う姿勢へと変化したという。

2年前にスタッフが人加わり、現在は3人体制。「ずっと二人でやってきましたが、もう1人を受け入れる気持ちの余裕が生まれたのも大きな変化かも知れませんね」と池上さん。

もともと「自分たちの好きなもの」を提供しようと料理やワインをセレクトしてきただけに、料理に関しては季節ものを除きほとんど変わっていない。一方で、開店当初からこだわってきたナチュールワインを取り巻く環境はこの10年で大きく変化した。市場に出回る数は増えたが、裾野が広がったことでかえって入手が困難になっているのが現状だ。それでも、リストのワインは全てナチュールワインとし、それと相性の良いシンプルで素朴な料理を提供するというスタンスは変わっていない。

「店を出した時は未来のことなんて想像もつかなかったけれど、気づけば10年。いろんなことがあったので『長かったな』とも思います」と田中さん。「この先も今と変わらずに、目の前のお客様が楽しんでくれている姿を見続けていきたいですね」。

変わらずにあり続けることが難しい時代だからこそ、その言葉には混じり気のない切なる願いが込められているように感じた。

豚耳とクレソンのサラダ
田中さんが好きな店のクレソンたっぷりのサラダと、別の店で食べた豚耳の唐揚げから着想を得て生まれたメニュー。ほぼ開店当初から提供しているが、ドレッシングの味や使う油を変えるなど、少しずつマイナーチェンジ。豚耳は2日ほど塩漬けにしてから5~6時間炊き、表面を焼いて仕上げている。

進化させたもの

日本語に変えた黒板メニュー
開店以降フランス語で表記していた黒板メニューは、できるだけわかりやすくしようと5年ほど前から日本語にチェンジした。

トリップのカツレツ 2200円
開店当初からメニューに並ぶリヨンの郷土料理。見た目は変わっていないが、炊き方や付け合わせを少しずつ変えながら現在に至る。守り続けているもの

オリヴィエ·クザンのワイン
池上さんがナチュールワインを知るきっかけになったワイン。開店当初からメニューにあり、今もボトルを手にすると背筋が伸び、初心に返る。

毎日磨き上げるピカピカの厨房
「お客様の目に入る場所でもあるので」と、田中さんが1日の終わりに隅々まで磨き上げる厨房は、10年経過した今も輝きを維持している。

text Hanayo Tanaka photo Yusuke Onuma 

本記事は雑誌料理王国2021年4月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2021年4月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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