「何をやっても痩せない」は肝臓のせい?新常識「MASLD(新脂肪肝)」の原因と即実践できる3つのダイエット食習慣
「何をしてもやせられない」
そんな方はもしかしたら肝臓に脂肪がたまって代謝力が衰えているのかもしれません。
今回は日本文芸社刊の『新脂肪肝 代謝復活ダイエット』(著:栗原毅・栗原丈徳)から、何をしてもカラダに脂肪がたまってしまう原因と、そんなカラダを改善し「代謝が復活した体」を手に入れられるプログラムを紹介します。
脂肪肝って何?
「脂肪肝」とは、肝臓に中性脂肪がたまりすぎた状態のこと。健康な人の肝臓にも3~5%の中性脂肪が存在しますが、それが増加して20%を超えると脂肪肝と呼ばれる状態になります。
脂肪肝になると、さまざまな健康被害に見舞われます。肝臓の主要な細胞である「肝細胞」が炎症を起こして壊れてしまうことも。すると、肝細胞内の中性脂肪まで血液中に流出し、体のあちこちで体脂肪となって蓄積します。この状態になると、どんなにダイエットをしても容易には「やせられない体」になるのです。それだけではなく、あふれ出た中性脂肪で血液がドロドロになり、病気のリスクも高まります。
そんな恐ろしい脂肪肝には2種類のタイプがあります。一つは大量の飲酒が原因でなる「アルコール性脂肪肝」。もう一つはアルコール以外のことが原因で起こる脂肪肝。これを「非アルコール性脂肪性肝疾患」と長らく呼んでいましたが、近年、名称が改められました。理由は、漠然としていた非アルコール性の脂肪肝の原因が明白になってきたからです。新たな名称とともにその原因を解説しましょう。
NAFLD(お酒を飲まない脂肪肝)からMASLD(代謝機能障害が起きている脂肪肝)へ
アルコールが原因でない脂肪肝、つまりお酒を飲まない人がなる脂肪肝は、今まで「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」と呼ばれてきました。ところが、前ページでも述べたように2023年に名称が変わり、「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)」という名前に。これまで「アルコール以外のことが原因」であると大まかに定義されていたのに対し、この病名からもわかる通り、代謝機能障害=代謝の異常が脂肪肝の背景にあることがはっきりと示されています。
代謝がうまく機能しないと、肥満をはじめ、高血圧や高血糖、脂質異常症(中性脂肪や悪玉コレステロールの値が高いこと)といった、私たちにとって身近な生活習慣病を引き起こします。これらの生活習慣病に罹っている、もしくは予備軍であることが、MASLD=新脂肪肝の新たな診断基準です。裏を返せば、生活習慣病の根っこにあるのが新脂肪肝ということになります。
実はこのことは、私が35年以上も前から提唱してきたことです。非アルコール性脂肪性肝疾患と呼ばれていた時代から、糖質のとりすぎなどによる代謝異常が原因であることをいち早く突きとめ、警鐘を鳴らしてきました。それが正しかったことが今ようやく、名称変更という形で証明されたのです。
代謝ができない「肝臓メタボ」が注目されるように
今までアルコールを飲まない人がなる脂肪肝は
NAFLD(ナッフルディー)
非アルコール性脂肪性肝疾患(Nonalcoholic Fatty Liver Disease)
↓↓↓
現在はアルコールを飲まない人がなる脂肪肝(新脂肪肝)は
MASLD(マッスルディー)
代謝異常関連脂肪性肝疾患(Metabolicdysfunction Associated Steatotic Liver Disease)
に変更されました
代謝の異常が脂肪肝を引き起こしているということが明確に!!
少なくとも1つ当てはまるとMASLD!
▢お腹まわりの脂肪が多い( 特に内臓脂肪)
▢インスリンが効きにくく、血糖値が下がりにくい
▢ 血糖値が高い( 空腹時血糖が1 1 0 ~ 1 2 5 ) ㎎ / d L 以上
▢中性脂肪値が高く、H D Lコレステロール値が低い
▢ 血圧が高い( 1 3 0 / 8 5 ㎜ H g 以上)
やせていく体をつくる!【新脂肪肝(MASLD)を治す】
それには…
血糖値を急上昇させないことがすべて
新脂肪肝を治す方法は、「糖質を食べない」ことではなく、「いかに血糖値を急上昇させずにゆるやかな状態をキープするか」です。栄養となる食事をしっかりとりながら、血糖値を上げない工夫をしていきましょう。
血糖値を急上昇させない食習慣1「食前の『酢大さじ1』」
調味料としておなじみのお酢ですが、実は「内臓脂肪を減らす」効果があります。大手醸造メーカーのミツカンの調べでは、「肥満気味の人が大さじ1のお酢を含む飲料500mLを朝晩2回に分けて毎日とり続けたところ、12週間後には中性脂肪が平均約18%、内臓脂肪が平均約5%減少した」との結果が得られています。
これはお酢の主成分である「酢酸」による効果。酢酸は脂肪の合成を抑制し、脂肪の燃焼を促進する働きがあります。さらに、血糖値の急上昇を抑える作用や高血圧を改善する効果も。
これらの健康効果を得るには、毎日欠かさずお酢をとり続けることが大切です。といっても、食事の前にたった大さじ1杯飲むだけ。そのまま飲むと、のどや胃の粘膜が荒れることがあるので、必ず5~10倍に薄めるようにしましょう。
お酢は黒酢やりんご酢、米酢など、好みのものでOK。みそ汁やスープに混ぜたり、納豆に混ぜるのもおすすめです。納豆は食物繊維が豊富なので、お酢と同様に食後の血糖値の上昇を抑えてくれる働きがあります。
脂肪燃焼を促すお酢パワーがすごい
【脂肪になるのを抑え燃焼を促す】
・ 食後の血糖値上昇をゆるやかにする
・ 脂肪になるのを抑えて燃焼を促す
・内臓脂肪の減少を助ける
・血圧を下げる
・疲労感の軽減
【!注意!】
砂糖や甘味料、はちみつが入っている飲むお酢はNG
血糖値を急上昇させない食習慣2「食前の『高カカオチョコレート』」
甘いお菓子の中でも唯一食べてもいいのがチョコレート。実は、チョコレートにはさまざまな健康効果があります。その効果をもたらしているのがチョコレートに含まれる「カカオ」です。カカオには「カカオポリフェノール」という抗酸化作用の高い成分が含まれ、肝臓内の活性酸素を除去することで肝機能の低下を防いでくれます。また、インスリンの働きをよくし、血糖値の上昇を抑制する効果もあります。さらに、糖の吸収をゆるやかにする食物繊維も豊富。相乗効果で血糖値の上昇がゆるやかになります。
ですからチョコレートを食べるなら、カカオをたっぷり含んだ製品を選ぶこと。カカオ含有量が70%以上の「高カカオチョコレート」がおすすめです。食べ方にもコツがあります。カカオポリフェノールは長時間体内にとどめておけません。食べてから2時間後に最も効果が高まり、その後だんだんと弱まっていき、4時間後には効果が消滅します。したがって、血糖値を抑えるためには食前に食べるのが効果的です。一度にたくさん食べても効果はあまり変わらないので、少量ずつ小分けにして食べるといいでしょう。1日の摂取量は5gずつを5回、トータルで25gが理想。小腹が空いたときなどに口にすると、過食の防止にもなります。
ポリフェノールと食物繊維がカギ
(1)カカオポリフェノールが血糖値の急激な上昇を抑える
(2)食物繊維が糖の吸収をゆるやかにする
食前に5gずつ食べるのが効果的
血糖値を急上昇させない、糖質の量を決めて食べる食習慣3「たんぱく質ファースト!」
食事のときに、なにをどの順番で食べるかは重要。それによって太りやすくなったり、太りにくくなったりするからです。例えば、食物繊維が豊富な野菜などを最初に食べる「ベジファースト」。食物繊維は糖質の吸収をゆるやかにする働きがあるので、あとから食べる糖質による血糖値の上昇を抑えてくれます。血糖値がコントロールできるので、糖尿病の傾向がある人はこの方法はおすすめです。
けれども、筋肉を増やして「やせる体」をつくるためには、たんぱく質が最も必要です。食物繊維はお腹がふくれるので、先に食べてしまうと十分な量のたんぱく質を摂取できません。そこで、食物繊維や糖質よりも先にたんぱく質を食べる「たんぱく質ファースト」をおすすめします。
たんぱく質も吸収速度が遅いため、糖質の吸収をゆるやかにし、血糖値の急上昇を防ぎます。また、消化にも時間がかかるので、満腹感を感じて、あとから食べる糖質の量も自然と減ってきます。新脂肪肝を治してやせるためには、たんぱく質→食物繊維→糖質の順に食べるのがベストです。
やせたいならたんぱく質が多い食材を先に食べる
やせるために必要なのはたんぱく質。
ベジファーストではたんぱく質を減らす原因に
食べる順番【1】「たんぱく質」
肉類や魚介類、卵など。筋肉のもとになる重要な栄養素。摂取してから体内の吸収に時間がかかるため、あとから食べた糖質の吸収をゆるやかにする効果も。
食べる順番【2】「食物繊維」
野菜や海藻、きのこなど。人間の消化酵素で分解できないため、体内に吸収されない栄養素。整腸作用や糖質、脂質の吸収をゆるやかにする作用がある。
食べる順番【3】「糖質」
ご飯、パン、麺類など。血糖値の急上昇を抑制する食べ方と適切な量を意識して食べること。体のエネルギー源として欠かせない栄養素なので過剰な制限はNG。
たんぱく質が豊富な食材を先にしっかり食べておくことで
【筋力アップ】【血糖値の上昇がゆるやか】【満腹感アップ】【食べすぎ防止】 に!
丼にして食べる、おすすめテクニック♪ 肝臓の「脂肪燃焼丼」
肝臓の「脂肪燃焼丼」とは、盛りつけを気をつけることで、代謝力&筋力アップに欠かせない栄養素を適切な順番でバランスよく摂取できる食べ方のこと。実際は丼スタイルにする必要はないのですが、この方法だと、増やしたいたんぱく質をしっかりとることができ、糖質をベストな量に抑えても物足りなさを感じません。
おすすめの食材
【たんぱく質】
牛もも/豚ヒレ/鶏もも/魚/ゆで卵
【食物繊維】
キャベツ/ほうれん草/きのこ類/レタス/切り干し大根/ひじき/こんにゃく/ブロッコリー/オクラ/にんじん/ごぼう/じゃがいも・さつまいも(ひかえめに)
【糖質】
ごはん
【出典】『新脂肪肝 代謝復活ダイエット』著:栗原毅・栗原丈徳 / イラスト:てらいまき
まとめ【ガマンの減量から「肝臓をいたわる」賢いダイエットへ】
「一生懸命カロリー制限をしているのに、まったく体重が落ちない……」
もしあなたがそんな壁にぶつかっているなら、それは努力の量ではなく、肝臓に溜まった脂肪と「代謝の異常」が原因かもしれません。
これまで「お酒を飲む人の病気」と思われがちだった脂肪肝ですが、現代においては糖質の摂りすぎなどによる「MASLD(新脂肪肝)」、いわば“肝臓メタボ”に悩む人が急増しています。しかし、恐れる必要はありません。新脂肪肝を改善するために必要なのは、過度な絶食ではなく「血糖値を急上昇させない工夫」です。
・食前に大さじ1杯の「薄めたお酢」を飲む
・食前に5gの「高カカオチョコレート」を食べる
・「たんぱく質→食物繊維→糖質」の順番で食べる
今回紹介したこれらの習慣は、どれも今日から、次の食事からすぐに始められるものばかり。食べる順番を少し変えるだけ、ひと手間プラスするだけで、あなたの肝臓は本来の「代謝力」を取り戻し、自然と痩せていく体へと変わっていきます。
頑固な脂肪とサヨナラして、健康で太りにくいカラダを手に入れたい――。そう願う方は、ぜひ栗原毅先生・栗原丈徳先生の著書『新脂肪肝 代謝復活ダイエット』を手に取り、新脂肪肝のさらに詳しいメカニズムと豊富な実践プログラムをチェックしてみてください。あなたのダイエットの常識が、ガラリと変わるはずです。
文:ラブすぽ編集部
【『新脂肪肝 代謝復活ダイエット』著者紹介】
栗原 毅
栗原クリニック 東京・日本橋院長
1951年、新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。前東京女子医科大学教授、前慶應義塾大学大学院教授。現在は栗原クリニック東京・日本橋の院長を務める。日本肝臓学会肝臓専門医。治療だけでなく予防にも力を入れている。血液サラサラの提唱者のひとり。『ズボラでもラクラク!内臓脂肪がスルッと落ちる超悪玉コレステロールも減らす自宅でできる名医のワザ!』(三笠書房)、『1週間で勝手に痩せていく体になるすごい方法』(日本文芸社)など監修書・著書多数。
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栗原 丈徳
栗原ヘルスケア研究所所長
1982年、東京都生まれ。歯科医師。鶴見大学歯学部卒業。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科中退。日本抗加齢医学会、日本咀嚼学会、日本摂食嚥下リハビリテーション学会、日本サルコペニア・フレイル学会などの会員。「予防歯科」「食と健康」をテーマに活動をしている。特に「口の健康と全身疾患との関連性」について大学や介護施設などで積極的に講演も行っている。