『逃がした魚は大きかったが釣りあげた魚が大きすぎた件』芹澤優さんと早見沙織さんに聞くアフレコ秘話──「今回は芹澤さんのかわいいじゃない部分の魅力を出していただきたいですと言われまして」
「SQEXノベル」にて原作小説が刊行中、「マンガUP!」にてコミカライズ作品が連載中の『逃がした魚は大きかったが釣りあげた魚が大きすぎた件』がTVアニメ化! 2026年4月より放送中です。
本作は、勘違いから始まる純愛ラブコメディ。公爵令嬢のマリーア(愛称:ミミ)は、 末っ子ながらに「才能」を見出され跡取りとして育てられましたが、弟が生まれたことにより急遽その役目を降りることに。しかし、国内の目ぼしい貴族子息たちはすでに“予約済み”で、遠縁の親戚・アイーダを頼って隣国のルビーニ王国へ──留学し婚活に励んでいたところ、第一王子レナートから身に覚えのない婚約破棄を宣言されてしまい……?
アニメイトタイムズでは、本作の主要キャラクターを演じるキャストにインタビューを実施。今回は、マリーア・アンノヴァッツィ(ミミ)役の芹澤優さん、アイーダ・アメーティス役の早見沙織さんに、「最初から最後まで怒涛の展開をずっと楽しい気持ちで見られる」という本作の推しポイントなどをお聞きしました。
【写真】春アニメ『逃げ釣り』芹澤優と早見沙織に聞くアフレコ秘話【インタビュー】
「ミミがいるからこの平和で楽しい物語が生まれるんだな」
──勘違いから始まる純愛ラブコメディの物語が展開される本作。最初に原作を読んだときの感想を教えてください。
マリーア・アンノヴァッツィ(ミミ)役・芹澤優さん(以下、芹澤):私、王子様やお姫様が登場するロイヤルな世界観が好きなのですが、本作はまさにそういう世界観で! なかでも、美しい佇まいを保ちつつ、時折見せるかわいらしさが垣間見える王子然としたレナートと、強いプリンセスのミミという関係性はたまらなくいいなと思います。レナートとミミのことを「頑張れ、頑張れ!」と応援しながら読ませていただきました。
アイーダ・アメーティス役・早見沙織さん(以下、早見):最初に読んだとき「元気が出るなぁ、あたたかい気持ちになるなぁ」と思ったんです。登場人物みんなに好きの気持ちが向くんですよね。なかでも中心人物のミミは、頼もしさもカッコよさもかわいさもぜんぶ持っているキャラクター。ミミがいるからこの平和で楽しい物語が生まれるんだなと感じています。
──続けて、演じるキャラクターの紹介をお願いします。
芹澤:ミミはもともと武道の名家に生まれ、家を継ぐためにたくましく育てられました。ただ、弟が生まれたことでその役割を降りることになり、急きょ婚約者を見つけるために淑女として生きていくことになったキャラクターです。
武道の当主になるために育てられたこともあって強くて、とても頼もしい! ただ、淑女としては今までやってきてないことばかりであわあわしてしまいますが、アイーダに助けられて淑女としても成長していきます。
美しさも強さも明るさも兼ね備えたキャラクターで、太陽みたいなエネルギーでみんなを巻き込んで、包み込んで引っ張り上げてくれる、そんなヒロインですね。
早見:アイーダはミミの遠縁の公爵令嬢です。誰から見ても美しく、完璧に見える淑女のような振る舞いをしている人で、話していると自然と笑顔になるようなキャラクターですね。ただ、子供の頃はかなり天真爛漫で、強気で元気な面があって。実は淑女教育を真面目にしっかりやって淑女らしい振る舞いを身につけたという、努力もできる女の子ですね。
──ミミとの関係も見ていて楽しいです。
早見:(アイーダ)とミミの会話は本当にかわいいですよね。序盤のあるシーンで“優良物件”とミミが言っているのを、アイーダも普通に受け止めているんですよ。「優良物件探せなくなっちゃってごめんね」というセリフを彼女が言うのが面白くて(笑)。育ってきた環境による素直さがあるのも、彼女の魅力なのかなと思います。
そんな彼女の“陽”の部分も、ミミが引き出してくれているんじゃないかな。ミミの存在にすごく救われていると思います。
「優ちゃんのお声を聞くと『今日も一日頑張ろう』って眠気がすっ飛びました」
──演じるうえで意識している点を教えてください。
芹澤:アフレコが始まったばかりの頃、監督と話しているときにいつも通り元気よく、「はいっ!」と返事をしたんです。そしたら、「そのかわいいを今回は捨ててください。今回は芹澤さんのかわいいじゃない部分の魅力を出していただきたいです」と言われまして(笑)。
かわいくみせようと微塵も思わないくらいが、ミミらしいということなんだと思います。彼女は裏がないですからね。ミミを演じるうえでは、どの瞬間でもあざとさはいらないんだと、そこで気が付きました。
早見:結局、かわいさを捨ててもかわいかったですけどね。優ちゃんは根っこがかわいいから。
芹澤:ありがとうございますっ!(笑)
──アクションシーンもあったかと思いますが、そこは気合を入れて?
芹澤:気合を入れて演じたら、「彼女はもうそのレベルじゃないんです。師範代クラスなので。“ふー”ではなく“すー”でお願いします」というディレクションがありました。「汗も全然かかない。それくらい強いです」と言われて、お芝居の方向性を変えましたね。
──なるほど! 早見さんはアイーダを演じるうえで意識している点はありますか?
早見:スタジオオーディションのときに、アイーダのナイーブな部分や思い悩むようなセリフがいくつかあったんです。そのときに「少し儚すぎる、か弱さが出てしまっているかも。根本は明るい人で、周りの人の愛を注がれてすくすくと育っているので、根っこの陽の雰囲気がもっとあっていいです」というディレクションがあって。それが自分のなかでストンと落ちたというか。一見はか弱そうに見えるけれど、アイーダは全然そうじゃない人だということを演じるときには意識しています。
──お互いが演じるキャラクターの印象もお聞かせください。
早見:ミミは喋っているのを聞くだけで元気になれるパワフルさと、自然体なかわいらしさを持っていると思います。アイーダにとっても自分の迷いや不安をぜんぶ吹っ飛ばしてくれるような存在で、とても頼りにしています。
──演じる芹澤さんからも、その頼もしさを感じていたり?
早見:感じていました。
芹澤:本当ですか!?
早見:本当に! 優ちゃんのことは昔から知っていますが、根っこからキラキラしているので、喋っていると目に見えないパワーみたいなものをもらえます。本作は朝イチの収録だったのですが、優ちゃんのお声を聞くと「今日も一日頑張ろう」って眠気がすっ飛びました。
優ちゃんって、恐らく気持ちがプラスなときでもマイナスなときでも、芹澤優という人間をやっている瞬間があるんじゃないかなと思っていて。それって、自分の軸がしっかりしていないとできないことだと思うんです。カッコいいですよね。優ちゃんはミミらしいかっこよさもかわいさも持っていると感じています。
芹澤:照れますね……(笑)。
──芹澤さんはアイーダにどのような印象をお持ちですか?
芹澤:アイーダは本当に美しくて優しい! ミミを包み込んでくれるし、楽しい気持ちを一緒に作ってくれます。ただ、淑女教育が本格化していくなかで、スパルタを発揮しまして……(笑)。
早見:アイーダの教育は結構厳しいんですよね。
芹澤:あのシーンは、音響監督からも「作品違っちゃってもいいから。劇画タッチ風でいきましょう」というディレクションがありました(笑)。ミミとアイーダのやり取りからは、これまでのふたりの関係も垣間見えます。
早見さんも、アイーダのように現場で優しい空気を作ってくださいました。私自身、本作では座長になるからと、最初のアフレコのときすごく緊張していたんです。ただ、アフレコブースに入ったら早見さんが、「一緒ですごく嬉しい!」と言ってくださって。その言葉で、抱えていた変なプレッシャーを消すことができました。すごく安心しましたね。
レナートも田丸さんも「自分が天然なことに気が付いていないんですよね」
──本作の中心人物であるレナート・プラチド兄弟の印象についても教えてください。
芹澤:レナートは私が思う王子様像を最後まで壊さないでいてくれたキャラクターで、心にヒットしました。彼にも弱い部分やかわいらしい部分があるのですが、(演じる)田丸篤志さんの声質もあって、ずっとプリンス感があるんですよね。
早見:レナートのすくすく育ったがゆえのちょっとした天然感が、田丸さんにも通ずるところがある気がしています。
芹澤:分かります。しかも、自分が天然なことに気が付いていないんですよね。レナートも、田丸さんも。
早見:そうそう(笑)。
芹澤:あと、お声がすごく甘いんですよね。だからキュンってする。
早見:確かに、声が付いたことでレナート殿下のキュートさが増した気がします。それは田丸さんの声の力もひとつの要因なのかも。ミミに対してちょっと甘えるシーンがあるのですが、そういうところは母性本能をくすぐられるというか。
芹澤:すごく分かります! 田丸さんはすごく丁寧な喋り方をされているので、よりプリンス感がありました。
──プラチドについてはいかがですか?
早見:柔らかい方です。自分の軸がしっかりあるところはアイーダとも通ずるなと思っています。
芹澤:優しくてふわっとしていそうに見えるけれど、好きな人に対する決意の揺るがなさや男気があると思っています。ただ、瞬間によってはそれが頑固と見える場合もあるかもしれません。
早見:でも、絶対に激昂とかはしなさそう。いつどんなときでも柔らかく伝えてくれそうなところが、彼の魅力だと思います。
──アイーダとしては両想いの相手でもあります。
早見:でも、このふたりはお互いがお互いを思いやるがゆえに関係性が進まなくって。見ている側からすると、「うー!」ってもどかしくなるかもしれません。ただ、それが積み重ねに積み重なって、本当に素晴らしいシーンがあるので、ぜひご期待ください。このふたりはどうなるんだという想いをもったまま、視聴を続けていただければと思います。
──アフレコ現場の雰囲気はいかがですか?
早見:いい空気です。
芹澤:みんなで楽しく収録ができました。早見さんとはアフレコ終わりに一緒に帰ることもあって。家族の話とかしましたよね。
早見:優ちゃんは兄弟が多くて、そこもミミと一緒なんですよ。私は一人っ子なので、いつも誰かが必ず喋っているにぎやかさという空気感を知らなくて。優ちゃんはそういう空気感を知っているから、ミミのバックボーンとも通ずるところがあったんじゃないかな。ミミ役にピッタリだなと感じていた納得感が増しました。
芹澤:でも、早見さんも小さい頃はやんちゃだったみたいで。そこはアイーダに似ているなって思いました(笑)。
早見:さすがに、イガグリを投げることはなかったですが(笑)。でもケガはよくしていたので、少し共感できる部分はありましたね。
「ミミが周りの人をぐいぐいと動かしていくのが、とにかく気持ちいい」
──勘違いから恋愛が始まる本作。おふたりは何か勘違いをしていた経験はありますか?
芹澤:上坂すみれさんと番組MCをやらせていただいていたのですが、それまでは作品で共演したことはあっても、しゃべる機会はあまりなかったんです。しかも上坂さんはお酒を飲まれる方なので、お酒を飲まない私とどれくらい仲良くしてくれるのか分からなくて……。正直、番組が始まってからも2、3カ月は「あまり好かれていないんじゃないかな?」と思っていたんです。
──なんと!
芹澤:でもある日、自宅に遊びに来てくれたことがあって。そのとき酔っ払って、すごくかわいい顔で寝てくれたんですよ。自分がどのように思われているか、ずっと不安でしたが、健やかに眠るあの横顔を見て「なんだ、私のこと好きじゃん」って思いましたね(笑)。安心しました!
早見:微笑ましい……! 私は全然微笑ましくないエピソードなのですが、この前、某スタジオでアフレコ収録をしていたんです。そのスタジオはお手洗いの場所が少し離れていて。休憩時間にお手洗いに行こうと思って、待機場所で前の人が出てくるのを待っていたんです。それがちょうどAパートとBパートの間だったので、Aパートで収録が終わった人の帰るタイミングと重なって。お手洗いの待機場所は玄関と近いので、みなさんを見送りながら空くのを待っていたんです。
──なるほど。
早見:……でも、待てど暮らせど、お手洗いは空かなくて。そろそろ休憩が終わる時間になって「大丈夫かな?」と思ってお手洗いをちょっと覗きに行ったら、ずっと空きの状態でした。
──最初から、誰も入っていなかったのですね。
早見:はい……。勝手に、誰かが入っていると思い込んでしまっていただけで。みなさんに挨拶をしながら、誰も使っていないお手洗いを待っていたあの時間はいったいなんだったのだろうか。本当に勘弁してくれ、自分。
──勘違いって、思い込みから始まることばかりですよね。レナート殿下もそうでした。
早見:ですね。勘違いをしたレナートの気持ちが、私にはよく分かります(笑)。
──(笑)。それでは最後に、おふたりが思う本作の推しポイントをお願いします!
早見:主人公のミミが周りの人をぐいぐいと動かしていくのが、とにかく気持ちいいです。最初から最後まで、怒涛の展開をずっと楽しい気持ちで見ることができるんじゃないかな。私も収録のときは「ミミについていきます!」という気持ちでしたので、見ていただくみなさんも、ミミパイセンに引っ張られながら、物語を楽しんでいただければと思います。
芹澤:絵がとっても綺麗で、戦闘シーンの作画も凝っているので期待していてください! 物語としては、きらびやかな貴族の世界ながらも、ミミのみんなを巻き込んでいくパワーや太陽みたいに明るい性格が、見ていて気持ちいいと思います。コミカルなシーンも多くて面白いですし、幸せにむかってみんながどんどん進んでいくので、ぜひ楽しんでください!
[インタビュー&文:M.TOKU]