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【静岡市清水区に『ゆるキャン△』のキッチンカー】年越しキャンプ飯を再現。静岡鉄道の企画担当者に聞く実現までの経緯

アットエス

静岡県のアートやカルチャーに関するコラム。今回は、静岡県が主要な舞台として登場するアニメ『ゆるキャン△』と、作中のグルメを再現したキッチンカーを題材に。
(文・写真/経営戦略室・天野大輔)

2025年12月27日から2026年1月12日にかけて、静岡市清水区の駿河湾フェリー清水港乗り場に、静岡県内が主要な舞台として登場しているアニメ『ゆるキャン△』の人気キャラクター「志摩リン」をイメージしたキッチンカーが登場しました。休業日や荒天による休店もありましたが、計11日間の営業日に多くのファンが詰めかけました。

提供されていたのは、作中で志摩リンが作った年越しキャンプ飯を再現した飲食メニューで、「しまりん流 鴨だしそば(1000円)」と「しまりん流 ホットコーヒー(500円)」です。そばにはオリジナル箸袋、コーヒーには限定コースターといった特典も用意され、作品の世界観を食とグッズの両面から楽しめるイベントとなりました

予定していた提供数を上回る連日の大盛況

鴨だしそば(左)とホットコーヒー(右)

初日は本格的な帰省・行楽シーズンが始まった12月27日(土)。天候にも恵まれ、午前10時の開店時点で40人ほどの列ができていました。先頭の男性は開店1時間半前から待機していたといいます。その後も列は延び、午前中は50人以上が並ぶ状態が続いていました。

2日目以降も連日多くの客が訪れました。営業時間は午後4時までを予定していましたが、多くの日で終了を待たずに完売。昼ごろに売り切れる日もあるほどの人気ぶりで、客入りは当初の想定を大きく上回るものだったといいます。

静岡県と『ゆるキャン△』のコラボキャンペーンと連動

駿河湾フェリー清水港ターミナルに設置されたスタンプラリースポット

キッチンカーの出店は、静岡県が実施する「『ゆるキャン△』×静岡県 キャンペーン」との連携企画として実施されました。スタンプラリーを軸とした多彩な企画が展開される中、今回は伊豆地域を中心にスタンプラリースポットが設置され、駿河湾フェリー船内でもキャラクターボイスによる船内アナウンスやオリジナルグッズの販売など、連動した取り組みが行われました。

出店場所は、その駿河湾フェリーの清水港乗り場にあるスペースです。2025年4月に乗り場がJR清水駅の東側にある江尻地区へ移設されたことも、集客の大きな要因となりました。年末年始の繁忙期でにぎわう「清水魚市場 河岸の市」の脇に位置し、駅から300メートル圏内という好立地であったこと、提供メニューや作品との親和性など、さまざまな要素がかみ合い、盛況につながったものとみられます。

なぜ?企画したのは静岡鉄道!

静岡鉄道の祖業でありグループの核となる鉄道事業

大好評で幕を閉じた『ゆるキャン△』とのコラボキッチンカーですが、実はこの企画、静岡鉄道が手掛けたものです。静岡鉄道とアニメの関わりといえば、旧清水市(現静岡市清水区)が舞台の『ちびまる子ちゃん』のラッピング電車の運行や、『僕のヒーローアカデミア』とのコラボなどの印象が強いかもしれませんが、今回は、鉄道やバス・タクシーといった輸送事業ではなく、駅構内や関連施設での展開でもない飲食業という形態でした。

なぜ既存事業とは無縁に思えるこのような企画が実現したのでしょうか。背景には、静岡鉄道グループが推進する新規事業提案制度を活用し、自らの手で新たな価値を創造しようとする社員の挑戦がありました。

新規事業提案制度が起点となった「しまりんキッチンカー」

2019年にグループ創立100周年を迎えた静鉄グループ

静岡鉄道グループの新規事業提案制度「みらいろ」は、2024年度にスタートし、現在(2025年度)2期目を迎えています。グループの社員であれば誰でも参加することができ、採択されたプランの提案者は専任担当としてプロジェクトを推進できる点が特徴です。既存事業の枠に捉われない新たな価値創造と、社員が主体的に挑戦する風土の醸成を掲げてスタートし、初年度から27件もの意欲的な事業案が寄せられました。

提案者は、新規事業開発や人材育成などを手掛ける専門スタッフによるサポートを受けながら、事業計画のブラッシュアップを重ねます。社内外の審査員による厳正なプレゼンテーション審査を経て選定された事業案は、実証実験のフェーズへと移行しますが、この初年度の公募において、見事採択されたものの1つが「推し活」をテーマにした事業提案でした。その提案チームが企画・運営を手掛けた実証プロジェクトこそが、今回の「しまりんキッチンカー」だったのです。

IPコンテンツを通して地方を盛り上げたい

開店準備中のキッチンカー

<静岡鉄道未来事業創造部 阿賀巧さん>
「2024年に公務員から静岡鉄道に転職しました。その矢先に新規事業の提案制度がスタートし、コンテンツを通して地方を盛り上げたいという思いから提案した『推し活ポップアップバス』という提案を採択いただき、現在、事業化を目指して活動しています。その流れの中で、実証実験として『しまりんキッチンカー』を企画しました」

阿賀さんのチームが提案した「推し活ポップアップバス」は、大都市圏に推し活関連のイベントやキャンペーンが集中する中、地方在住であってもファンの人たちが楽しめるよう、コンテンツとのコラボ企画そのものを移動するバスにしてしまおうというアイデアです。自身もアニメファンである阿賀さん。企画の根底には、既存のビジネスの枠組みに縛られない、当事者としての「好き」と「情熱」が息づいています。

様々な条件が重なって実現した「しまりんキッチンカー」

初日開店前から並んでいた来店者にコーヒーを渡すスタッフ

<静岡鉄道未来事業創造部 阿賀巧さん>
「これまでも、静岡県内では『ゆるキャン△』とのコラボがさまざまな形で行われてきましたが、飲食関連の企画は事例が多くないと感じていました。そこに挑戦することで、ファンの方に新鮮味を感じてもらえるのではないかと考えました。実証実験ということもあり、やや小ぶりな企画でしたが、ふたを開けてみたら多くのお客さまにお越しいただき、本当にうれしく思っています。来店者数の目標はあっさり超えてしまいました。改めて『ゆるキャン△』という作品の魅力、そしてIP(知的財産)が持つ集客力の凄さを肌で感じています」

静岡県が舞台モデルとして登場し、実際に作中でも年越しを県内で迎えるシーンが描かれる『ゆるキャン△』。同時期に静岡県が実施していたコラボキャンペーンや、冬休みの行楽需要、そして年度内にトライアルを形にしたいというチームの熱意。これらが重なり、約半年に及ぶ準備期間を経て実現したのが、今回の企画でした。

次はどんな企画が!?

しまりんキッチンカーと停泊中の駿河湾フェリー

「しまりんキッチンカー」で得られた知見は、次なるステップへの糧として総括が進められています。阿賀さんのチームが目指すのは、単なるキャラクター活用に留まらない、IPを軸とした新たな体験価値の創出です。もちろん、推し活の対象はアニメだけではないでしょう。アイドル、Vtuber、スポーツなど、対象が何であれ、そこには人の心を動かす強い熱量が存在します。

静岡鉄道という地域に深く根ざした企業が、こうしたエンターテインメント領域と、モビリティをはじめとする自社の経営リソースをいかに掛け合わせ、どのような化学反応を引き起こしていくのか。次なる挑戦から、目が離せません。

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