オーストラリアから移住支援サイトを活用し、のんびり海辺暮らしを実現【三重県鳥羽市】
ビーチが美しいリゾート地・オーストラリアのパースから、鳥羽市安楽島町(あらしまちょう)に移り住んだクリストフィス・ポールさんと直子さん。移住にあたって夫妻が活用したのが、日本各地の移住支援サイトだった。鳥羽市を選んだ決め手は何だったのか、取材した。
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掲載:2025年6月・7月合併号
三重県鳥羽市(とばし)
三重県東端部に位置し、美しい海と豊かな海産資源に恵まれている鳥羽市。市の全域が伊勢志摩国立公園に位置し、鳥羽駅周辺の中心地、ホテルが立ち並ぶリゾートエリア、漁業が盛んな地域、離島など32のまちがある。近鉄特急で名古屋から約1時間30分、大阪から約2時間。
移住体験住宅で暮らし、鳥羽の人に魅了される
クリストフィス直子さん、ポールさん
直子さんは大阪市出身。車にはねられたことで人生観が変わり、単身オーストラリアに渡る。南オーストラリア州アデレード出身のポールさんとは、東京でのサラリーマン時代に蒲田で出会っており、2005年にオーストラリアで再会。12年に結婚した。夫妻の生活はInstagram(@alittlebitofsoy)で綴っている。
オーストラリアで20年近く暮らしていたクリストフィス直子さん(46歳)が、夫のポールさん(49歳)とともに三重県鳥羽市に移住してきたのは1年前のこと。
「2人とも海が好きで、オーストラリアでの生活は満喫していたのですが、サラリーマンとして長く働いてきたことに少し疲れてしまいまして。新しい暮らしを求め、別の国への移住を考えるようになりました」
直子さんはポールさんと移住先を2年ほどかけて話し合い、東南アジア、ポルトガルなどが候補地として挙がっていたが、急浮上したのが日本だった。
「オーストラリアで日本の空き家がドキュメンタリーで放映されていて。そのまんま『AKIYA』ってタイトルだったと思うのですが、それを見て、こういう暮らしもアリやなと思ったんです。日本ならビザの心配がないということも大きかったですね」
そこで、直子さんの実家がある大阪市に近く、海に近いエリアを候補地に挙げ、移住サイトから問い合わせをスタート。オンラインセミナーなどにも参加し、6カ月ほど検討を重ねた。
「どこもレスポンスが早く、魅力的だったのですが、鳥羽市に3カ月住める移住体験住宅があるということを教えていただいて。知らない土地にいきなり引っ越したら、私たちに合わなかったということもあり得るので、お試しで暮らしてみることにしたのです」
自宅は高台に立つ。窓からは海が見え、波音も聞こえる。
ポールさんがDIYしたテラス。小さな庭もあり、ガーデニングも楽しんでいる。
「サザエ、カキなど焼くだけでおいしい食材が豊富。鳥羽に来てからシンプルな料理を楽しむようになりました」と直子さん。
2024年3月、夫妻が訪れた移住体験住宅は鳥羽駅に近いエリア。
「鳥羽では比較的便利なエリアで隣に集会所があったので、地域の人たちの宴会に招かれたり、お祭りにも誘っていただいたりしました。皆さん人柄がいいし、食材もおいしいし、鳥羽最高!と思っていたら、地域の方から空き家を紹介していただけたのです」
夫妻が暮らし始めたのは、鳥羽駅から車で10分ほど、安楽島町の借家。町名に「島」という字が入っているが安楽島は地続きの半島で、家は沿岸部に立つ。窓からは海が見えるロケーションだ。
「海があまりに近くて私もポールも驚きました。オーストラリアでは海に近い物件は高額だったので。夏は仕事が終わると近所で海水浴も毎日楽しめます。ここに引っ越してきてからは、家が好き過ぎて、出かけることが減りましたね」
同年5月に直子さんは地域おこし協力隊に着任。ふるさと納税関連の仕事を担当し、返礼品を通じた鳥羽のPR、統計をもとにした市場分析と提案などを行う。ポールさんはオーストラリアで勤務した企業の仕事をオンラインで続けているという。
「鳥羽市役所の方たちは皆さんよくしてくださり、仕事を通じて事業者さんとお話しができることにもやりがいを感じています。ポールは日本語が苦手なのですが近所の方が気さくで、カキの養殖の手伝いをしながら、釣りを楽しませていただくこともあるようです。ときには魚や海藻を頂くことも。私たちはまだ何もお礼が返せていないのですが、ポールはもっと日本語が上達したいと思っているようです。これからも鳥羽でゆっくりと暮らしていきたいですね」
そう話す直子さんは終始笑顔で、鳥羽での暮らしを満喫していることが伝わってきた。
夫婦で熊野古道を歩いた様子。
直子さんは学生時代から現在までフラメンコを続けている。オーストラリアではお金をもらったほどの腕前だ。現在は自宅で板を敷いて自主練をするほか、月に2回大阪に習いに行っている。「三重県でも一緒に楽しめるメンバーがいたらうれしい」と直子さん。
安楽島の海は水質がよく、夕景も美しい。近所の安楽島海水浴場はお気に入りスポット。
ふるさと納税のイベントでは、海女さんの姿でPR。
鳥羽市の魅力はここ!
◎ 地域の人たちが、お付き合い上手。
◎ 海がきれいで、海産物や野菜がおいしい。
◎ 大阪、名古屋へのアクセスがよい。
リゾートエリアでの田舎暮らしへのアドバイス
住宅地に暮らすなら、近所の方は大切に。鳥羽はお付き合いが上手な方が多く、ほどよい距離感で親切に接してくださいます。また、移住先でのんびりすることが目的であれば、貯金または仕事は必要。都会に比べて家賃は安いですが、物価が安いわけではないので。
• 直子さんのとある一日 •
7:30 … 起床、朝食。
8:30 … 出勤。
9:00〜16:30 … 市役所勤務。週3、4日はリモート勤務。
17:00 … 車または自転車で帰宅。フラメン
コの自主練。夏は海水浴場へ。
18:30 …夕食。その後は何もせずのんびり。
23:00 … 就寝。
鳥羽市移住支援情報
伊勢志摩国立公園で生活! 海とともに暮らすまち
4つの有人離島を有し、地域によって特性がある鳥羽市。移住コーディネーターにLINEなどで気軽に移住相談ができるので、あなたにぴったりの地域を見つけてみては。移住者同士で交流できる場「とばりあんらいふ倶楽部」があるので、移住者ならではの疑問や不安などを先輩移住者に相談するのもオススメ。
問い合わせ/企画財政課 ☎0599-25-1227
自然が多く、子育てにも最適。離島留学事業もある。
とばりあんらいふ倶楽部。LINEオープンチャットで気軽に相談でき、年3~4回ほど、リアルの交流会を開催している。
文/横澤寛子 写真提供/クリストフィス直子さん