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【市町村長リレーコラム】第15回 新潟県関川村 加藤弘村長「脱炭素社会の実現に挑戦」

にいがた経済新聞

新潟県関川村の加藤弘村長

新潟県内30市町村の首長に、地域での取り組みや課題や首長としての想いなどをコラムとして寄稿いただき、次に寄稿いただく首長を指名いただきつないでいく「市町村長リレーコラム」。第15回は、新潟県胎内市の井畑明彦市長からバトンをつないでいただいた、新潟県関川村の加藤弘村長のコラムをお届けします。

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皆さんこんにちは。このたび市町村長リレーコラムに投稿いたしました新潟県関川村長の加藤です。

さて、話はさかのぼりますが、県内市町村で合併の動きが進んでから、20年くらい経ったでしょうか。お隣の村上市、荒川町、神林村、朝日村、山北町が合併し、新村上市が誕生したのが平成20年4月です。そんな中、隣の関川村は単独で自立する道を歩むことになりました。

自立の道を歩むことにより、これまでどおり村民の顔が見える身近でコンパクトな行政という良い点もありますが、小規模自治体が故の悩みもあります。

一昨年8月には1時間当たり148mmという豪雨に襲われました。災害対応、災害復旧には、新潟県や他の自治体をはじめ様々な方のご支援があって、何とかここまでやってこれましたが、こうした有事の体験を通じ、マンパワーの少ない小規模自治体が故の非力を痛感したところです。

更に、その小さい村が少子高齢化、人口減少という激しいボディーブローを受け、過疎化の進行が経済・地域活動、行政運営など様々な面に影響が出ています。

私は、平成29年12月に村長に就任し、早いもので6年を過ぎました。

そして自立の選択と同時に目指した「小さくてもキラリと光る村」をどう実現していこうかと考え続けていました。確かに各行政分野を見るとそれぞれ関川村らしい取り組みはありますが、それで小さくてもキラリと光る村だとは言えません。

人口減少の流れの中、産業の振興は最重要課題であると思っていますが、この分野は、行政の寄与度が低い、一般的に行政の不得意な分野です。

昭和から平成の時代にかけて地方に多くの企業が進出しました。首都圏では、工場を拡大するにも地価が高い、優秀な社員が確保できないという状況下で、豊富な労働力と安価な土地を提供できる地方への進出が企業のトレンドとなっていました。

今でも村民からは、企業誘致をしてほしい。働く場所がないと言われますが、一方で、村内企業からは、求人しても人が集まらないと言われます。役場職員を募集しても応募が少なく、役場でも人材不足が続いています。

(提供:新潟県関川村)

そんななか、従来型の企業誘致には頼らず、小さくても未来につながる地元発の産業おこしができないかと考えています。その一つが、脱炭素への取組です。

太陽や風や温泉や森林・農地など村にある資源を活用して、脱炭素を進めようと挑戦を始めました。災害や紛争でクローバル経済のもろさが明らかになり、国民生活に大きな影響を与えるなかで、この取り組みは、エネルギーの地産地消という新たな経済活動として将来に大きな可能性を有するもの思っています。

そんなことで、CO2削減に向けて、環境省の脱炭素先行地域の公募に豪雪地域の脱炭素モデルとして応募し、第二回目に選ばれました。

これを契機に、公共施設の省エネ化に取り組むとともに、施設に設置した太陽光発電、廃熱利用も考えた木質バイオマス発電、小型風力発電により電力を生み出し、これを村の様々な施設につなげるため電力網を構築し、施設群全体で電力の需給調整をする仕組みを構築中です。併せて、農林業でも脱炭素の取り組みを進めています。

昨年設立したせきかわふるさとエネルギー㈱がその中心的な役割を担い、将来的には、多様で安定的な電源を確保し、再生可能エネルギーを村内に広めていきたいと考えているところです。

この取り組みが進めば、再生可能エネルギーが村の新たな地域資源となり、新産業の創出のきっかけ作りにもなります。また、豪雪地域での脱炭素モデルとして、多くの視察者も村を訪れるでしょうし、産業観光として、観光振興に寄与することにもなります。

この実現にあたっては、高いハードルもありますが、必ず乗り越えられると信じています。実現のポイントは民間事業者の協力、応援にあります。

「小さくてもキラリと光る村」の実現に向け、多くの企業の参画やご支援、ご協力をいただければありがたいです。

新潟県関川村の加藤弘村長

【市町村長プロフィール】

関川村長 加藤弘(かとう ひろし)。1955年2月滋賀県東近江市生まれ。1977年立命館大学理工学部卒業後、1980年に新潟県庁に入庁。2009年には新潟県農林水産部副部長、2010年に新潟県新発田地域振興局長に就任し、2014年に新潟県庁を退職。同年、(公財)新潟県下水道公社事務局長を務め、2017年12月に関川村長に就任。影響を受けた本は「里山資本主義」藻谷浩介・NHK広島取材班。趣味は園芸。

【これまでの市町村長リレーコラム】

(第1回)加茂市 藤田市長「チャレンジせずに諦めてしまったら、全て嘘になる」(第2回)阿賀町 神田町長「希望ある未来へ全力」(第3回)五泉市 田邊市長「明日、そして将来へ魅力ある五泉市へ 五泉のトップセールスマン田邊正幸」(第4回)湯沢町 田村正幸町長「笑顔に貢献することができなければ、商売も政治も行政も持続することができない」(第5回)南魚沼市 林茂男市長《雪へのこだわり》で目指す持続可能なまちづくり(第6回)村上市 高橋市長 復旧・復興、誇りある「まち」、国内最大級の屋内スケートボード施設の意味、持続すること(第7回)三条市 滝沢市長「ひとづくりのまち、三条」へ(第8回)長岡市 磯田市長「イノベーション都市・長岡の実現へ」(第9回)上越市 中川市長「『生きる力』をいかしてまちを活性化する」(第10回)糸魚川市 米田市長「ジオパークで持続可能な発展を」(第11回)妙高市 城戸市長「変わるべきこと、変わらざること」(第12回)小千谷市 宮崎悦男市長「挑戦するまち おぢや」を目指して
(第13回)新潟県見附市 稲田亮市長「暮らし満足No.1」を目指して~未来を見据えて子育て世代に選ばれるまちに~
(第14回)新潟県胎内市 井畑明彦市長「希望の持てる次世代に向けて」

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