まるでおじいちゃんちのような心地よさ…たつの市『温』で味わう絶品スパイスカレー♪ たつの市
木の温もりを感じる手作り感のあるドアのガラス窓からそっと覗くと、そこに広がるのは複数の笑い声と穏やかな空気。
カレーのスパイシーな香りと、どこか不思議な場所に迷い込んだかのような空間は、スマホの画面越しに覗いていた『温』の温かなインスタグラムの雰囲気…そのものでした。
『温』がある場所はたつの市の城下町。観光駐車場からもすぐ近くで、店の斜め向かい側には、『いちわ』や『おまめや』などの飲食店も立ち並んでいます。
かつて風呂屋だった建物を店主自らがリノベーションして作ったという店内には、高さのある本棚に本がずらり。なんだか田舎のおじいちゃんの家に来たようなほっとした気分になりました。
「奥も覗いてみて?」そう声を掛けて頂き、奥のお部屋を覗いてみます…。
奥はレトロなタイルがぎっしりと詰められた立ち湯スタイルで入るお風呂がありました。時代と温もりを感じるこのお店…実はこのお店が設立されるに至った深い理由があるのです。
実はその昔、自治会長だった店主の義父。高齢化する地域の過疎化を案じ、「誰もが一人きりにならないような温かい居場所を作って欲しい」と店主に希望を託したそうです。店主の佐久間さんと義父との間に交わされた”大切な約束”…それがこのお店を始めるきっかけとなりました。
みんなが寄り合えるような温かな場所で食べて貰いたいという願いを込めて生まれた『温カレー』。毎日、店主の佐久間さんが一人で仕込みをしています。
実は母親が料理教室の先生だったという佐久間さん。料理を作ると褒めて貰えた時の嬉しさに、自らの腕を極めるようになりました。そして、様々な土地を巡り、世界の様々な文化に触れて得た料理の知識全てが『温』で提供されるカレーのルーツなのだといいます。
お店の看板のカレーは日替わりで、毎日2種類提供。今回は両方のカレーを贅沢に味わえる「あいがけ」をオーダーしました。
どうぞと料理を出して頂いたのは、可愛らしいちゃぶ台の席。子供達が本を読んでいる隣にちょこんと座らせてもらいました。
赤いのは『エビのカレー』。玉ねぎ生姜ニンニクトマトチリパウダーなどをベースにし、香りの良いスパイス”フェヌグリーク”で仕上げたもの。最後の仕上げにさっ火を通したエビは、しっとりとして柔らかく、エビの風味とまろやかな酸味がマッチしています。
そして面白いのが、もう一つの『エゴマとほうれん草、ジャガイモのカレー』です。野菜は右田農園の新鮮な野菜をふんだんに使用。肉が入っていない野菜カレーながらも、こっくりとしたコクのある味わいは、ジャガイモ本来の味わいが十二分に生きていました。エゴマをカレーに入れるなんて…その発想力の高さに驚かされます。
副菜はこの日は8種類。一つ一つ手間暇かけられた逸品は佐久間さんワールドが繰り広げられるどれも面白い品ばかり♪インド流にカレーと副菜を少しづつ混ぜ合わせてみると、酸味・苦み・旨みの広がる新たな味わいの世界を飽きる事なく楽しめました。
日により種類は前後しますが、その日入った新鮮な野菜と佐久間さんの冴えわたるアイデアで生み出される副菜に、「今日は何か?次はどんな味に会えるのか?」と期待を寄せる人が後をたたないのだとか。”一期一会”のカレーとはまさにこの事ですね。
そして『温』ではデザートも人気なんですよ。今回頂いた中で、実はびっくりしたのが右側にあるクラフトコーラ。
クローブの広がる風味と香りに、実は、お店で一番スパイシーなのでは?(笑)と錯覚してしまいます。心地良いこのクラフトソーダの風味と刺激はクセになり、次も是非この組み合わせで!友人達と食べに来たいと思いました。
「レモンのさっぱりパンナコッタ」でたまらないのが、プルプル感とレモンの酸味と苦みのアクセント。そしてコクのある生クリームのミルキーな味わいです♡
甘みが強いデザートだと、ついつい無糖の紅茶や珈琲を挟みがちな筆者ではありますが、さっぱり感、清涼感のあるこの涼し気なデザートは食後ののんびりタイムには持ってこい。
取材の最後には、ふわふわした心地良い床にお尻がひっついてしまい、ついつい帰りたくなくなってしまいました。
ついつい、ゆるりとしてしまう理由を探してしまいたくなるこのお店。『温』と共にあるのは”人”の温もり…、そして心に広がる心地良い温かさ。
床にお尻をべったり付けて、じっくりと感じて欲しい。この店の”良さ”を、そして身に染みる温かみを…。
場所
温
(たつの市龍野町本町131)
営業時間
11:00~16:00
定休日
火曜日、金曜日
駐車場
5台
※店の斜め向かいと少し離れた場所にあります
駐車場をご利用の際は、電話にて事前にお問合せ下さい