夏にも食べたい驚きの爽やかさ!マスカットの香り芳醇、みずみずしいパウンドケーキ
「ミュスカ」とは、フランス語で「マスカット」のこと。このパウンドケーキは、マスカットのリキュールに漬け込んだ白レーズンを、贅沢にゴロゴロと生地に混ぜ込んで焼き上げています。
私が最初に出会ったのは、2021年の初夏、「ラトリエヒロワキサカ」の脇坂紘行(ひろゆき)シェフがプロ向けの洋菓子講習会で、このお菓子の作り方を披露された時のこと。
洋酒の風味に負けることなく、フルーツの果肉感とみずみずしさにあふれていて、これは夏場にこそ食べたくなる焼き菓子だ!と、感動したのです。
その時は、まだ店舗では発売前だったのですが、すぐに商品化され、その後、あっと言う間に人気商品の1つとなりました。
秘密の1つは、生地を型に流す際に、別に作っておいたパッションフルーツのコンフィチュールを絞り入れていること。それも1回ではなく、生地を少しずつ3度に分けて型に絞り、その間に2回、コンフィチュールを絞っていて、実は全5層という構成。フルーティーさがしっかり感じられるのも納得です。
脇坂シェフは、2024年3月に惜しまれつつ幕を下ろした「なかたに亭」をはじめ、大阪の名店で腕を磨いた後、東京・自由が丘の名店「モンサンクレール」で9年間シェフを務めた方。2018年8月に「ラトリエヒロワキサカ」を開業されました。
独立後も、フルーツの農家さんなど生産者の方々との親交を深め、生菓子はもちろん、フレッシュで季節感のある焼き菓子も得意としていらっしゃいます。
レーズンを漬け込むお酒も、たとえば、ぶどうを原材料としたブランデーでも試作したところ、そちらはよりコクが出て深みのある味わいに。結局、芳醇な香りのマスカットリキュールを主体に、日持ちを少し長くする効果もありキレも出してくれるホワイトラムを加えて、夏を思わせる爽やかな味わいにしたそうです。
焼き上がりには、生地がまだ温かいうちにオレンジリキュール入りのシロップをしみこませ、水分をよりたっぷりと含ませます。様々なフルーツの香りをまとって香り立つケークの完成です!
実は、生地にほんの隠し味程度に、甘く爽やかな香りが特徴のカルダモンのパウダーを加えているのもポイント。スパイスの中でも上品で、合わせたフルーツの香りを引き立ててくれます。
夏ならば、アイスのダージリンティーや凍頂烏龍茶などと合わせると、青みのあるすっきりとした感でより爽やかなペアリングに。さらに、冷えたシャンパンやスパークリングワインとの相性が抜群!
秋冬ならば、よりまろやかでふくよかな温かい紅茶と合わせるのがお勧めです。
商品名:ケークミュスカ
販売:ラトリエ ヒロワキサカ
文:お取り寄せの達人:平岩理緒さん(スイーツジャーナリスト)