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映画『パワーレンジャー』とは何だったのか ─ 遅すぎた変身、続編の頓挫

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不遇な映画というものがあって、2017年の『パワーレンジャー』は間違いなくその一作だ。日本の特撮「スーパー戦隊シリーズ」はアメリカ版も長年人気で、第1作「マイティ・モーフィン・パワーレンジャー」に基づいて製作された注目作だった。

公開当時はスーパーヒーロー映画の最盛期だった。マーベルは翌年に『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)を控え、DCも『ワンダーウーマン』(2017)と『ジャスティス・リーグ』(2017)を放った年だ。サバンとライオンズゲートは、すでに日米で知名度高い『パワーレンジャー』を扱って、ヒーロー映画界の「第三の刺客」となり得た。

スクリーン映えする5色のヒーローはアベンジャーズのような華やかさがあり、5人のティーンの青春ドラマは『ハリー・ポッター』や「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のような長年成長の余地もあった。

巨大合体ロボという独自の強みもある。『トランスフォーマー』シリーズのような、派手な少年ロマンを演出することもできた。

しかし、映画はうまくいかなかった。暗く、ザック・スナイダーのトーンを誤用した。5人分のじれったい憂鬱を追いすぎたため、まず5人全員がスーツを“試着”までに1時間半かかる。

監督のディーン・イズラライトは2017年の来日時、「スーパーヒーロー映画のレンズを通じた『スタンド・バイ・ミー』(1986)や『ブレックファスト・クラブ』(1985)」と、その狙いを。「今作は一作目として、ヒーローたちのオリジンを描いています。そのためには彼らが努力してヒーローになっていく過程をじっくり見せる必要がありました」。

監督は「アイアンマンみたいにスーツを着ればいいわけじゃない」とも言ったが、それにしても、あまりにも進行が遅すぎた。5人がようやくパワーレンジャーに変身したと思ったら、映画本編はもう残り20分しかないのだ! ちなみに(2008)でロバート・ダウニー・Jr.は最初の30分でマーク1を着用し、以降20〜30分おきに新スーツを披露する。

映画のポストクレジットシーンでは、6人目のヒーローであるグリーンレンジャー(ドラゴンレンジャー)の登場が示唆されるという、マーベル映画のような次回予告も入れてみた。プロデューサーのブライアン・カセンティーニも、来日時に続編が進行中だと筆者に。

しかし映画は評価されず、1億ドルと見られる製作費に対し、世界興収は1.42億ドルにとどまった。夢の続編は実現しなかった。2018年にはハズブロ社がシリーズの権利を買収し、を計画したが、こちらも進展しなかった。

<!--nextpage--><!--pagetitle: 「拷問だった」
スーツの着心地は最悪-->

映画『パワーレンジャー』でブルーレンジャーを演じたRJ・サイラーは最近、米番組に出演して同作を振り返った。映画に登場したスーツの"その後”についてだ。撮影で実際に使用されたスーツは高額なため、サバンが回収し、自社スタジオでマネキンに着せてガラスケース内で保管しているという。

着心地は最悪だったらしい。「頼むから脱がせてくれ」と願うくらいに痛かったと、サイラーは話している。大部分がゴム製であるため、着用したままストレッチし、身体にフィットするよう慣らす必要があった。そのため、撮影最初の2週間はスーツがキツすぎて「拷問」レベルだったという。「椅子に座ったら、もう立ち上がれない。誰かに起こしてもらう必要がありました。着るだけで1時間半、脱ぐのにも1時間かかるんです」。

『パワーレンジャー』のスーツにジッパーはなく、5層のレイヤーピースを重ねて着用する。ピッタリのスーツを製作するために初めに身体をスキャンして採寸したが、その後に若い身体が成長したり、ケータリングを食べすぎたりで、着用段階になるとサイズがズレてしまったそうだ。

そのせいで、トイレ用の「開口部」が、撮影開始時には腹のヘソの位置に来てしまって困ったとサイラー。今でもそのスーツを着れると思う?との質問には「無理です。撮影開始の時でさえギリギリだったのに」と苦笑いを浮かべた。

5人の戦士を演じたキャストは現在、それぞれ独自の道を歩んでいる。サイラーはの『ザ・ハーダー・ゼイ・フォール: 報復の荒野』(2021)や、RZAが監督・脚本・製作を行なった『One Spoon of Chocolate』(2025)などの映画に出演。レッドレンジャー役のデイカー・モンゴメリーは「ストレンジャー・シングス」ビリー役でブレイクした後、俳優をしばし休業して私生活を優先した。

ブラックレンジャー役のルディ・リンはヒットシリーズ『モータルコンバット』で主要キャストを務め、ピンクレンジャー役のナオミ・スコットは『アラジン』(2019)『スマイル2』(2024)といったメジャースタジオ作で活躍。イエローレンジャー役のベッキー・Gは『ブルービートル』(2023)で再びヒーロー映画に戻った他、主にミュージシャンとして活躍している。

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