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強い言葉や仲間外れ。「子ども同士の遊び」に親が口出しをする線引き

saita

強い言葉や仲間外れ。「子ども同士の遊び」に親が口出しをする線引き

臨床心理士・公認心理師のyukoです。子ども同士の遊び方を見ていると、誰かが雑に扱われていたり、強い言葉を使う子がいたり、気にかかるときもありますよね。特にわが子が楽しそうに遊べていない瞬間があると余計心配になるもの。子ども同士の遊びに大人がどこまで口をはさむべきか、考えてみます。

子どもの遊び方を見てもやもやする

小学校に入るころには、子ども同士の世界であっても大人同士のコミュニティと似た人間関係を作り始めます。一歩引く子やリーダーシップを取る子などタイプは様々。

しかし一方で、気持ちの調整や言葉の使い方が拙かったり、思いやりや配慮が十分に身についていなかったり。子ども同士ならではの良さもあれば、難しさも多くはらんでいます。

例えば、こんな状況を見かけたらどう捉えたらよいのでしょうか。

わが子が家にAちゃん、Bちゃんを連れてきて遊んでいる。Aちゃんはが2人対戦用のゲームソフトをやりたいと言い、ゲームで遊ぶことに。最初は交代でゲームをしているが、レベルの近いAちゃんとBちゃんの対戦が盛り上がり、「もう1回」と2人ともゲーム機を手放さない。わが子は笑いながら見ているものの、どこか寂しそう。
様子が気になった母親は、2人が帰った後に「よくああいう遊び方になるの?」と尋ねると、わが子は「いつもそうだよ」と答える。

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子ども同士の遊びだからと口を出さずに見守るべきか。
それとも大人から見て平等でない、遊びの中で誰かが悲しんでいるような場合は口を出すべきか。
大人の手出しの線引きについて、考えていきます。

子どもを見守るとき、注意するとき

子どもを見守ったほうがよい場合

子どもの遊びは大人が見ていないところ行われるのが大半。目にした範囲で注意したり、統制しようとしても意味をなさないときも多いでしょう。

また、子どもには子どもたちで決めたルールがあり、特定の子の親が前に出てくるとそのバランスが崩れやすくなります。

親自身の経験から、平等性が気にかかったり、少しのからかいであっても見過ごせなかったりするかもしれませんが、この点においても口をはさみすぎるのは要注意。

子どもは子どもの世界の中で、相手に合わせた振る舞い方や距離の取り方、自分の気持ちとの付き合い方を学んでいます。

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なので、「ゲームよりも~したほうがいいんじゃないかな」「こういう遊び方のほうがいいのでは?」などのアドバイスはしすぎず見守るのがおすすめです。

そばで見守り、あとから「あのとき~に見えたけど、大丈夫?」「ちょっと聞こえちゃったんだけど、どうして~と言ったの?」など聞いてみて、気持ちや考えの整理することに留めるのがおすすめです。

子どもに注意したほうがよいとき

暴力はもちろん、明らかな暴言、無視を目にしたら、「今のは傷つくんじゃないかな」と注意するのが必要です。ですが、状況や関係性にもよるので一概に言うのは難しいもの。

例えば「うるさい、今黙ってて」と言われている子がいたときはどうでしょう。その状況や言い方、関係性によって言われた側の受け取り方も違いますよね。

無視に関しても、一瞬も目を離せないゲーム中に話しかけてスルーされたのか、明らかに聞こえていて答えられるのに無視されたかによって、無視された側の受け取り方は異なります。

気持ちの面での傷つきは目で見てすぐにわかるものではないので、少しの時間様子を見て、重なるようなら注意するのがよいでしょう。

気になる子への対応は間接的に

言葉遣いがよくない、マウントを取る、悪口が多いような子が友達にいると「このまま仲良くしていて大丈夫かな」と心配になる親御さんは多いでしょう。
ただ、子どもには子どもなりの仲良くしている理由があり、親が友人関係に口を出しすぎるのもよくありません。

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親子の間で「楽しく遊べているか」を確認するに留め、子どもの判断を見守るのも大切です。

それでも気になる場合は、直接友達の子に何か言ったり、親と話そうとするのではなく、学校の先生やスクールカウンセラーに相談するのがおすすめ。

大きなトラブルや明らかな問題があるわけではないから……と躊躇される方は多いですが、「遊び方が気になる」と相談してみると、学校内で注意して見てくれたり、客観的な意見をくれたりするので、気にかかったら利用してみてください。

子育ては何歳になっても一筋縄にはいかないもの。心配を一人で抱えず、周囲を頼ったり頼られたりしながら、子どもを支えていけるといいですよね。

yuko/臨床心理士・公認心理師

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