7/20開幕「模型の系譜ー静岡から世界へ プラモデル100年展」を前に青島文化教材社を取材しました!/駿府博物館
「プラモデルをもっと身近にー」。時流を読みユニークな商品開発に挑む。
2024年7月20日から9月8日まで、静岡市駿河区の駿府博物館で開かれる特別展「模型の系譜―静岡から世界へ プラモデル100年展」。
社会の動きを敏感に捉えた商品開発で定評がある青島文化教材社(静岡市葵区)の青嶋大輔社長(48)、マーケティング本部の中西英登さん(46)、生産本部の飯塚秀実さん(64)に同社の歩み、将来像について聞きました。
ボトムアップの商品開発で市場を驚かせる
青嶋社長は「アオシマのターニングポイントは1961年。模型が木製からプラモデルになった年」と振り返る。
80年代のゲームの誕生などホビーの多様化が進むが、接着剤や着色が不要で手軽に作ることができるプラモデルのヒットなどが続いている。
「まだまだ発展していく業界」と力を込め、「他社がやらないこと、新しいことに常に挑んでいる。企画者が売れると確信したら勢いで進む」と続ける。
アオシマとともに40年余り歩んできた飯塚さんは「自分のアイデアが立体になる喜びを味わえる仕事。トップダウンでなく、全部ボトムアップで決まっていく会社でやりがいがある」と“アオシマ・イズム”を語る。
半歩先の世の中を見通すことがヒット商品に
国際情勢など社会問題を敏感にとらえ、数々のヒット作を生み出してきた飯塚さんは「新聞、週刊誌、映画、なんでも見たし、読んだ」と振り返る。頭をフル回転させ、自分のアンテナ、レーダーをめぐらせ、ピンとくるものを探す。
「センスがないと、同じ情報を見ても、素通りしてしまう」と語り、開発者に必要な感度の大切さを強調する。商品開発には1年近くかかるため、発売時には熱が冷めていることも。「半歩先を見て、リアルタイムで流行しているものを発売するのがポイント」だという。
飯塚さんは「軍艦の『救出作戦』『防衛作戦』『駆逐艦による人命救助』など、「皆さんの欲望」「こうなったらいいな」を模型にしてきました。歴史が好きで、学校の先生になりたかったくらいですが、このことも製品開発に役立ちましたね」と続ける。
カスタマイズした二輪のプラモデルもヒットした。雑誌などをヒントに、どのようなカスタマイズが流行っているのかを研究し、1980年代にはバイクの青春漫画の時流に乗って二輪のプラモデルは大ヒットになった。
ものづくりの基本を学べるプラモデル
AI、デジタルが主流となった時代でも、根本にあるものは「ものづくり」。青嶋社長は「プラモデルこそ、ものづくりの基本。構造を学ぶことができ、先端技術の根本となる技術を学ぶことができる」と力を込める。
日本のキャラクターを生み出す力もプラモデルを進化させていく。プラモデルとキャラクターの親和性が高く、世界が市場になるからだ。同社はオリジナルキャラクターを生み出し、育てていくことも、成長につながると確信している。
金型と違って、制約が少ない3Dプリンターが、ものづくりの世界で活躍するようになった。しかし、プラモデルは3Dプリンターのように複雑な操作は不要で、子どもが気軽に、部品を組み立てられる強みがあり、プラモデルの優位性に影響はないと考えている。
好みの多様化に対応し、万人が楽しめるプラモデル
マーケティング本部の中西さんは「初めての人でも作りやすいプラモデル開発に力を入れたい。好きなものがばらばらな時代。車種、色が豊富で、カスタマイズしたモデルを混ぜるなど、自分好みの製品を探せる楽しみを充実させて、もっと作ってみたいという気持ちを引き出すことに挑戦していく」と将来を見据える。
取材・撮影 駿府博物館 杉山渉
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