市政特別功労賞 「皆様の温情に感謝」 斎藤文夫さん手記
7月1日の川崎市制100周年記念式典で「特別市政功労賞」を受賞した元参議院議員の斎藤文夫さんが手記を寄せた。
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昭和3年この世に生を受け、一人っ子として家族から大事にされ、地元の宮前小学校から当時県下No.1の県立一中へ、昭和16年入学しました。戦時中は学徒動員として駆り出され、祖国防衛に奉ずる覚悟をしておりましたが、昭和20年8月15日終戦。戦後の国難な時代は両親の手厚い庇護のもと、苦労なく祖母とお手伝いさんと元住吉生活を送り、横浜高工電気科から慶應義塾大学経済学部へ転学、慶應文化団体連盟理事長として活躍、慶應時代を通し藤山愛一郎先生を慕い、大日本製糖(株)に入社、砂糖の販売に携わりました。
秘書課勤務の時、藤山社長が岸総理に乞われ横浜から衆議院に出馬し秘書として選挙区を駆けずり回り、全国最高得票で初陣を飾られました。
昭和38年4月、川崎から県議会選に出馬、最高当選し、三期県議を務めました。昭和50年、百万市民の会を引っさげ、市長選に挑戦、利あらず落選。趣味の浮世絵収集に腰を入れましたが、党の要請で昭和54年1月県会に戻る決意をし、最高点当選を果たしました。県政五期目の時の参議院選挙に推薦され、参議院議員に当選、二期十二年務め三期目の落選で引退を余儀なくされました。
引退後は生涯の友「日本の宝」浮世絵の蒐集につとめ、有力なコレクターとして川崎・砂子の里資料館を作り16年間無料公開しました。国際浮世絵学会賞、川崎文化賞、神奈川文化賞の数々を受賞しました。自宅改修に伴い、川崎市が川崎駅前に「川崎浮世絵ギャラリー」を設立、20年無償貸与して毎月浮世絵企画展を開催、京浜間唯一の浮世絵展示施設として多くの方に来場していただいております。
本年川崎は市制誕生100周年の記念に当り、川崎市より特別市政功労賞」の授与の栄に浴しました。偏に皆様のご温情によるものと感謝しております。7月11日に満96歳を迎えることが出来ました。おかげ様にて九十歳を超す夫婦揃って、日々元気に過ごしております。(斎藤文夫)