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37歳・MR・年収800万円。没頭できる趣味もあり、人間関係も良好…だけど、コロナ禍で精神的にまいってしまって…。~私、ひとりでいてもイイですか?(38)~

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37歳・MR・年収800万円。没頭できる趣味もあり、人間関係も良好…だけど、コロナ禍で精神的にまいってしまって…。~私、ひとりでいてもイイですか?(38)~

健康、家族、仕事…。「完璧に幸福だ」と言える人はどれぐらい?

体調と気分は万全かつ前向きで、家族や友人との関係も良好で親密、仕事はやりがいがあって収入もよくて先の見通しも明るく、趣味にも大いに打ち込んでいて仲間にかこまれている――。こんな状態を「幸福」と定義するとしたら、日本人の5%ぐらいしか幸せになっていない気がする。

九州地方で医療関係の営業担当者をしている中川明音さん(仮名、37歳)は、上記の要素のうちで健康、収入、趣味、仲間には恵まれている。平日は朝5時起きで10キロ走り、お風呂に入ってから在宅勤務の始業時間を迎える。提出書類の作成や電話がない限りは猫2匹がいる自宅でボンヤリできる。年収は約800万円。奨学金の返済をしたため貯金は多くないが、トレイルランの趣味に没頭できるほどの余裕があり、一緒に練習したり大会で応援し合えたりする仲間もいる。

それでも中川さんは幸せとは自ら言いきれないようだ。コロナ禍以降は仕事にやりがいを見出せず、家族との関係には難しさを感じていて、恋人ができても長続きしない。「独身女のどうでもいい話ですけど」と自嘲する中川さんのリアルな声を聞いてみたい。

***中川明音さん(仮名、37歳)の話***

医療系企業の営業。「訪問禁止」の中でやれる仕事を探さなければなりません

九州は出身地ではありません。大学卒業後は地元の会社に入りましたが、パワハラにあって半年で辞めました。1年間フリーターをやって入り直したのは大手の英会話スクールです。そこもすぐに社員が辞めてしまうので異動が多くて、在籍していた3年弱で4回も異動を経験しました。年収は270万円ほど。あのままだったら奨学金も返せずに行き詰まっていたかもしれません。

10年前の今の会社に転職できたのはラッキーだったと思います。5年前に現在の拠点に異動になりました。学生時代からひとり暮らしをしていて、今の自宅への引っ越しで11回目です。4年も同じアパートに住むと飽きてしまうようになりました。猫を飼い始めたので、今後の引っ越し先はペットOKの物件に限定されますけど。

医療系の営業というと医師のプライベートのお手伝いもするイメージがあると思います。確かに、昔はそうでした。今はコンプライアンスが厳しくなりましたし、コロナで状況が大きく変わっています。私たち業者の訪問を禁止する病院が多い中、やれることを模索しなければなりません。

父は30年以上前に事故死。4人きょうだいを育ててくれた母親は愚痴っぽくなり…

正直言って仕事はつまらないです。MR(製薬会社の営業で医師や薬剤師に医薬品の販売・説明・情報提供などを行う仕事)として働いているので、以前は医師と顔を合わせて話すこともできていましたが今はそれもできませんし、いくら安全性が証明された薬といっても副作用のリスクがまったくないわけではないので、それを説明なしに売り込むのには疑問もあります。キレイごとを言っていることはわかっているのですが…。

コロナになって対面で話せなくなると、「必要とされていないのではないか」という思いが募ります。私はオフィスを兼ねた自宅でひとり営業をしているので、相談できる仕事仲間は身近にいません。昨年の緊急事態宣言では精神的にまいってしまいました。アマゾンプライムですごく暗い映画を観てしまったり。でも、もう慣れました。無職になるのは怖いけれど、転職も考えているところです。

親きょうだいには相談できません。父は私が小学校3年生のときに事故で亡くなっています。母は女手ひとつで私たち4人きょうだいを育ててくれました。3人の兄たちはそれぞれ結婚していす。そうすると「別の家の人」になりますよね。母は寂しいのか独身で娘の私にいろいろ愚痴ってきます。それがちょっとしんどいです。母には感謝していますが甘えられる存在ではありません。こういう家庭環境で育ってきたからなのでしょうか。生活力には自信がありますが人に甘えるのは下手なんです。

それでも今まで各地でいろんな人にお世話になってきました。特に20代の頃は仕事も生活も余裕がなさすぎて記憶がなく、恩返しはまったくできていません。その人たちからも「オレにじゃなくて後輩に返してやれよ」と言われています。いま、後輩はいない仕事環境なのですが、ご縁があって出会った人には何かして差し上げたいなと思っているところです。

男性と付き合うと、相手との関係が「上か下か」になりがちで長続きしません

恋人とは1年前に別れました。よく行く飲み屋でマスターから紹介されたバツイチの8歳上で、最初は「いいな」と思ったんです。大企業の社員さんで私よりも稼いでいます。でも、一緒にいたらしんどくなってしまいました。私の酒癖が悪いなどとメチャクチャ怒られてしまい、自分はダメな人間なんだなと思わされたからです。あれはモラハラだったのかもしれません。

私は男性と付き合うと、相手との関係が「上か下か」になりがちです。私がワーッと言って相手をシュンとさせてしまうか、相手にひどいことを言われて自己嫌悪になるか。どちらにしてもツラくなって別れてしまいます。直近の彼とも半年しか続きませんでした。

この年齢になると、長く独身だった友だちがバタバタと結婚していきます。子どもやお金のことなどを考えて準備して、好きではない人と結婚しているケースも少なくありません。私はそのたびに「また置いていかれた!」と焦るので、彼女たちの気持ちはわかります。この年齢になるまで独身のままだとは昔の自分は想像もしていませんでした。私は周りの人から見たら「可哀そうな人」なのでしょうか…。

でも、占い師の人から「あなたは養われる気もないし、子どももそれほど欲しがっていない」と指摘されて冷静になりつつあります。確かにその通りで、世間体を気にしなければ焦る理由はないのです。
今までは「いい自分を見せよう」と恋愛でも無理をしていました。これからは、トレイルランの大会に出て化粧もボロボロになった状態の自分でも見せられるような人とお付き合いできたらいいなと思っています。

中川さんの家でくつろぐ愛猫2匹。「両方とも2歳のメスの雑種で保護猫の会から引きとりました。猫を飼うのは長年の夢で、迎えるなら保護猫と決めていました」(本人提供)

***大宮より中川さんへ***

「何を売るか」を重視して次の仕事を選び、自己肯定ができれば選ぶ恋人も変わる

自活の姿勢と能力に優れた中川さん。50キロも走れるほど健康なんて素晴らしいことだと思います。あとは「自分の家族」と「仕事のやりがい」を得られれば最高に幸せな状態と言えるのではないでしょうか。

業界や会社には存在意義を見出しにくくなっている中川さんですが、幸いなことに営業という職種には手ごたえを感じていますよね。今までチャンスもつかんでこられたので、次は労働条件や人間関係に加えて「何を売るか」に着目して転職をしてもいい気がします。
最近はアウトドアの需要が伸びているようなので、山やランニングに関連した会社も視野に入れたらどうでしょう。

中川さんは他人から見るとさまざまな面で恵まれていると見られがちだと思います。でも、本人は自分をあまり好きになれず、だから恋人との関係も緊張感をはらんでしまうのかもしれません。
愛猫に囲まれた生活と健康的な趣味と仲間を持っている中川さん。奨学金も自力で完済しましたね。今度は納得のいく仕事をゆっくり探せばいいのだと思います。そうするうちに自分を認められるようになってきて、安心感を持って支え合えるパートナーも見つかるはずです。

大宮冬洋さんによるインタビュー連載「私、ひとりでいてもイイですか?」は毎週日曜21時更新! 次回は8月8日(日)21時です。お楽しみに!

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