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たった1回の接種で効果は約1年! “痛くない”インフルエンザワクチン「フルミスト」の副反応と注意点

コクリコ

たった1回の接種で効果は約1年! “痛くない”インフルエンザワクチン「フルミスト」の副反応と注意点

痛くないインフルエンザワクチン「フルミスト」が2024年に導入。鼻からスプレーする生ワクチンで、対象は2歳~18歳。小児科医・今西洋介先生が注射型との違い、効果期間、費用、副反応(喘息悪化リスク等)、接種できない人などを解説(全1回)。

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毎年のインフルエンザ予防接種。「注射は痛い!」と泣き叫ぶ子どもを押さえつけて、親子ともぐったり疲れてしまう……。そんな保護者の悩みに応えるように、2024年、鼻からスプレーする点鼻ワクチン「フルミスト」が日本に導入されました。

痛くないのは魅力ですが、従来の注射型との違いは? 効果や副反応、費用はどうなのでしょうか? 新生児科医・小児科医の今西洋介先生が分かりやすく教えてくれました。

今西 洋介(いまにし ようすけ)
小児科医・新生児科医、小児医療ジャーナリスト。一般社団法人チャイルドリテラシー協会代表理事。SNSを駆使し、小児医療・福祉に関する課題を社会問題として社会に提起。一般の方にわかりやすく解説し、小児医療と社会をつなげるミドルマンを目指す。現在は米国ロサンゼルス在住。3姉妹の父親。

注射型ワクチンとの違いは? 仕組みと種類

──まず、従来型のインフルエンザワクチンとフルミストの違いについて教えてください。

今西洋介先生(以下、今西先生):従来のインフルエンザワクチンとフルミストは、まず接種の方法が大きく異なります。従来型は腕などに注射して、直接血液中に抗体を投与する仕組みでした。これに対してフルミストは、鼻の粘膜にスプレーすることで、体の中で自然に抗体をつくり出す仕組みです。

もう一つの大きな違いは、使われているウイルスの種類です。

従来の注射型は、ウイルスを不活化(死滅)させた「不活化ワクチン」ですが、フルミストは弱めた生きたウイルスを使う「生ワクチン」です。そのため、より自然に近いかたちで免疫を刺激できるのが特徴です。

対象年齢は? 接種回数と効果が続く期間

イラスト/古屋あきさ

──接種できる人や接種回数、効果が続く期間についても教えてください。

今西先生:対象となるのは2歳から18歳までです。2歳未満の乳幼児や19歳以上の成人は使用できません。

従来の注射型ワクチンは13歳未満が2回、13歳以上が1回の接種で、半年ほど効果が続きます。これに対してフルミストは、年齢にかかわらず1回の接種で完了し、効果も半年から1年ほど持続するといわれています。

──効果が長く続くのはうれしいですね。

今西先生:そうですね。従来のワクチンでは秋に接種しても、春先には効果が薄れて感染するケースがありました。フルミストは効果が1年程度続くことが期待できるため、シーズン後半の感染も防ぎやすくなると思います。

フルミストの副反応は? 風邪に似た症状や喘息悪化のリスク

写真:maroke/イメージマート

──副反応についても教えてください。

今西先生:主な副反応は、接種後に起こる風邪のような症状です。鼻の粘膜に弱毒化したウイルスを投与するため、くしゃみ、鼻水、咳、のどの痛みといった軽い症状が約半数でみられるといわれています。まれに発熱や頭痛、倦怠感が出ることもあります。

また、もともと喘息のある人では、症状が悪化することがあります。非常にまれですが、蕁麻疹やアナフィラキシーショックなどの重いアレルギー反応が起こる可能性もあります。

接種できない人・注意が必要なケースは?

──接種できないのはどのような人ですか?

今西先生:接種できないのは、主に次のような人です。

接種できない人
・免疫不全などで免疫機能が低下している人
・2歳未満、19歳以上の人
・妊娠中の人

今西先生:喘息の持病がある場合は、接種できないわけではありませんが注意が必要です。直近の数ヵ月で発作が起きていないなど、症状がコントロールできている場合のみ、かかりつけ医と相談のうえで検討してよいと思います。

また、慢性的な鼻づまりがある人も注意が必要です。鼻から吸入するワクチンのため、鼻づまりがひどいと十分な効果が得られないことがあります。花粉症や一時的な鼻炎程度であればあまり心配はいりませんが、できれば鼻づまりが解消されてから接種するのがいいでしょう。

──接種を控えたほうがいいタイミングはありますか?

今西先生:副反応として風邪のような症状が出ることがあるため、試合や発表会などの大切な予定の直前は避けたほうがいいでしょう。接種後は激しい運動を控えたほうが安心ですが、入浴は普段どおりで構いません。

──費用面についてはどうでしょうか。

今西先生:クリニックによって異なりますが、フルミストは1回あたりおよそ8,000~9,000円ほどかかります。注射型ワクチンが3,000~4,000円程度なのと比べると、やや高めです。

ただし、自治体によっては補助金や助成制度がある場合もあります。お住まいの自治体の制度を確認してみてください。

子どもの性格や発達の状況を踏まえてどちらを接種するか検討を

──ここまでの特徴をふまえて、フルミストがお勧めの人を教えてください。

今西先生:特に痛みに弱い人や、毎年注射を打ったあとに強く腫れてしまう人などはフルミストを検討してもいいでしょう。

注射に対する反応は子どもの特性や発達段階によっても異なります。年齢が上がっても注射に強く抵抗する子もいれば、平気な子もいます。費用面を考えると、抵抗が少ない場合は注射型を選んでもよいと思います。

写真:maroke/イメージマート

今西先生:また、フルミストは効果の持続期間が長いため、受験生などに適していると言えます。とはいえ、どちらのワクチンも「打てば絶対に感染しない」というものではありません。手洗いやうがいなど、基本的な感染対策を続けることが大切です。

いずれにしても、どちらのワクチンを選ぶかは、保護者の方の判断がとても大切です。子どもの性格や体質、発達の状況を踏まえて検討し、迷ったときはかかりつけ医に相談して決めるのが安心です。

アメリカでは主流? 鼻から投与する薬の広がり

──痛くないワクチンが登場したなんて、夢のようですね!

今西先生:そうですね。実は最近、小児科の分野では「鼻から投与する薬」が広がりつつあります。例えば、救急外来では、熱性けいれんの子どもに鼻から薬を入れて発作を抑えることができるようになりました。以前は赤ちゃんを押さえて点滴をしなければならず大変でしたが、鼻からの投与で治療がぐっとスムーズになりました。

インフルエンザの注射も、子どもによっては泣いたり暴れたりして3人がかりで押さえることもあります。痛みのない方法で接種できるようになったのは、とてもありがたいことです。

私は今、研究のためアメリカに滞在していますが、こちらでは20年以上前からフルミストが使われており、大人でも薬局で接種できます。誰でも痛みは苦手ですから、日本でもこうした接種しやすいワクチンがもっと広がっていくといいですね。

写真:show999/イメージマート

──◆───◆──

鼻から投与するインフルエンザワクチン「フルミスト」について、効果の特徴や副反応、注意点などを今西先生に詳しく解説してもらいました。

手洗いやうがいといった基本の感染対策を続けながら、子どもの年齢や体質に合った方法で予防接種を行い、この冬のインフルエンザシーズンを安心して過ごしたいですね。

取材・文/横井かずえ

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