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小池博史「コロナという時代にあって『マハーバーラタ』ができると言うのは、まさしく宿命的なもの」~『完全版マハーバーラタ』オンライン記者発表会レポート

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(左から)蓑田秀策、リー・スイキョン、小谷野哲郎、小池博史

2021年8月に上演される、『完全版マハーバーラタ』。本公演のオンライン記者会見が行われ、オフィシャルレポートが届いたので紹介する。

トップクラスの舞踊家、俳優、伝統芸能家がアジア5カ国から集まり、古代インド叙事詩「マハーバーラタ」を現代の舞台で蘇らせる、『完全版マハーバーラタ』。空間演出家の小池博史は2013年からアジア7国で現地のアーティスト・スタッフと世界最長の叙事詩「マハーバーラタ」を全編舞台化するため、現地制作と公演を続けてきた。本番まで約1ヶ月となった2021年7月15日、「完全版マハーバーラタ」実行委員会代表の蓑田秀策、空間演出家小池博史、出演者小谷野哲郎とマレーシアから来日しているリー・スイキョンがオンライン記者発表会で公演の背景と意気込みを語った。

「完全版マハーバーラタ」実行委員会代表の蓑田秀策は4年前に小池の作品を体験し、理解のみに頼らず、人々の体と心に直接訴えかける面白さを感じた。観るものの感性を目覚ませる作品として『完全版マハーバーラタ』の多様な演出についてコメントした。

蓑田秀策:『マハーバーラタ』と言う2000年以上前に書かれた叙事詩は世界三大叙事詩の一つといわれている優れた作品で、超大作であります。これを舞台化するだけでも大変なことで、イギリスのピーターブルックが舞台化して以来、誰も完全にこれを再現することはできませんでした。しかし、小池さんは『マハーバーラタ』をベースにして、ここにさらなる多様性を持ちこんだということですから、このメッセージというのは観る人によって様々な解釈が成り立ち得ると思います。空間そのものが、いろんなものを語りかけてくるというふうな舞台になっていると私は思って、期待しています。

アジアと言う一つ大きな枠組みから共通する哲学、身体性、音の感覚を取り入れ、異なるバックラウンドを持つ人々が集まり、創作する『マハーバーラタ』プロジェクト。コロナ禍のハードルを飛び越え、演出家小池博史がアジア4カ国から選び抜いた優れたパフォーマーが集まり、現在6時間の作品を仕上げる稽古の最中。これまでを振り返り、小池はコメントした。

(左から)蓑田秀策、小池博史

小池博史:本当に大変なことはたくさんあって、最終的に去年からコロナの真っ只中に入り込み、それでも非常に嬉しかったのはアジア各国のアーティストたちが一生懸命参加してくれ、今回も各国のトップのアーティスト、そういう連中が2週間隔離されてここに来て、尚且つ帰ってまた2週間の隔離があると、そういう中でもやってくれるということが今行われています。
6月12日から稽古を始めました、実は10日近く遅れて“稽古が”始まっています。そう言う中にあっても非常に順調に、やっぱり何がすごいかと言うと本当にトップの連中だけ集まるとこんなにすごくなるというのが実感として味わっています。

40年間のキャリアで世界中のアーティストと創作をしてきた小池は東日本大震災をきっかけに始めた『マハーバーラタ』シリーズへの道成についても語った。

小池博史

小池博史:『マハーバーラタ』は古典であってもまさしく今に通じている。今の時代のあり方というのは一体何かと言うことをもう一度問い返されていることでもあり、尚且つそれを語っていくのには『マハーバーラタ』はとても良い材料だろうと思いました。やはり3.11が大きな引き金になり、ちょうどこのコロナという時代にあって、この『マハーバーラタ』ができると言うのは、まさしく宿命的なものかと思います。
これだけ多様であり、今後の社会を考えていくと、多様性だとか、平和だとか、平等性だとか、そう言ったものは外して考えられないものだろう、その中にあって私たちはどうやって生きていくのかが大きく問われている。

『マハーバーラタ』シリーズの第1作品目から小池と共に走り続けている小谷野哲郎(日本・バリ舞踊)とリー・スイキョン(マレーシア・舞踏)は創作を通して感じる相違点から生まれるハーモニーや舞台の見応えについて語った。

小谷野哲郎:各国の人たちが集まって作ると言うことは、「相違点」というものがやっている中ですごく浮き彫りになってくる。でも、その「相違点」というものを何かに妥協してまとめてしまうのではなくて、その「相違点」をそれぞれの特徴として活かしていくと言うような作品の作り方をすることで、これからの社会の中でいかに多様なバックグラウンドを持った人たちと共に生きていくことができるかということの一つのヒントになるのではないかなと思うのですよね。
その一つの現れが各国のそれぞれの母語を使って会話を成立されていることだったりとか、それぞれの動きからもそうですけれども、そう言った点が、ただ『マハーバーラタ』と言う題材をやるだけではなく、非常に見応えのある舞台になっているのではないかなと思います。

(左から)リー・スイキョン、小谷野哲郎

リー・スイキョン:初めからこのプロジェクトに関わってきた私と小谷野さんにとって、集大成はとても重要な舞台となります。9年間かけて作り上げてきた作品には今までの経験、考え、やアイデアが全て蓄積されています。現在パンデミックという厳しい状況の中公演が実現できることはアーティストだけでなく、全ての人にとって貴重な体験になると思います。

古代文学でありながら現代社会と強く繋がっている ”今物語” である舞台『完全版マハーバーラタ』は東京都・なかのZERO大ホールにて2021年8月20日(金)から23日(月)に上演される。

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