部長に報告「課長が申しておりました」は誰に失礼?複数の上司がからむ場合の正しい敬語とは!?【頭がいい人の敬語の使い方】
部長に報告「課長が申しておりました」は誰に失礼?
会社は一般社員から課長、部長、社長、会長までたくさんの役職がある「階級社会」です。複数の上司がからむと敬語の使い方も難しくなります。
例えば、こんなケース。課長の意向を部長に伝えるときの正しい敬語づかいは、どうするのがいいのでしょうか。「次回のミーティングに部長の出席をお願いしたい」というのが課長の意向です。
「次回のミーティングに部長に出席してほしいと課長が申しておりました」
この言い方の間違いは2つ。上司である部長に出席をお願いするのに「ほしい」は失礼です。ここは「いただきたい」とするのが正解。
もう1つは「申しておりました」です。
「申す」は相手に対して自分がへりくだっていることを示す謙譲語です。しかし、「申している」のは自分にとって上司に当たる課長ですから、へりくだらせてはまずいでしょう。敬う言い方をしなければいけません。2つの間違いを正すと、こうなります。
「課長が次回のミーティングに部長に出席していただきたいとおっしゃっていました」
「課長が次回のミーティングに部長にご出席いただきたいと言っておられました」
ただし、自社の課長の意向を外部の会社の人に伝える場合には、違った言い方になります。どこをかえるべきかわかりますね。
「(弊社の)課長が(御社の)部長にご出席いただきたいと申しておりました」
そう、ここでは「申しておりました」が復活します。他社に対して自社の人間は、たとえ社長であっても、へりくだった立場に置くのが敬語のルールです。
では、課長の行動を部長に伝える場合はどうでしょう。得意先との間にトラブルが生じ、課長が謝罪に行くことを部長に伝えるとします。
「部長、課長が先方に謝罪に行くとおっしゃっていました」この言い方では、課長に対する敬意が十分に示されていません。正しくはこうです。
「部長、課長が先方に謝罪に行かれるとおっしゃっていました」
「~謝罪に出向かれると言っておられました」
このようなケースではどちらかの上司に対する敬語を忘れたり、敬語にすべき箇所の一部を落としたりすることが少なくありません。チグハグな敬語で笑われないよう、細部まで神経を使いましょう。
×ほしい と 申して おりました
↓「ほしい」を謙譲語に、「申す」を尊敬語に
〇(部長に)いただきたい と、(課長が)おっしゃっていました
【出典】『頭がいい人の敬語の使い方』著:本郷陽二