誰でも無料で視聴&体験できる!「岡山映像ライブラリーセンター」は近代岡山の歴史宝庫
岡山城の近くにある「岡山映像ライブラリーセンター」は、岡山の地元テレビ局・RSK山陽放送が開局以来所有する映像や音声などの素材をはじめ、一般家庭や企業から収集した映像などをデジタル化して保存している施設です。岡山県人にもあまり知られていないのですが、誰でも自由に入れる施設で、入場料も無料。いろんな資料を視聴することができるんです。こんな面白い所、ほおっておくわけにはいかないということで、さっそく訪ねてきました。
「岡山映像ライブラリーセンター」ってどんなところ?
1953年のRSK山陽放送創立時より残されている6ミリテープや16ミリ映像フィルム、アナログ・デジタルのビデオテープ、放送局であるがゆえに寄贈された戦前のフィルム映像などが保存整理されている場所です。その保管された映像フィルムを劣化してしまう前にデジタル化して後世に残すため保存し、それらの資料を広く一般に公開しています。一階は資料を視聴できるコーナーや、ラジオやテレビの放送局の歴史なども知ることができる展示施設になっています。
デジタル化作業は時間との闘い!
この施設の大きな目的の一つは、収蔵されているフィルムやビデオテープ素材のデジタル化です。現在こちらの収蔵庫には、約31万点の映像フィルムやビデオテープなどの資料が保存されています。この膨大な量のデータを順次デジタル化して整理保存しています。
フィルム素材の映像資料は、経年劣化や現像の時の中和不足のものは時間が経つにつれどんどん劣化していくそうです。上の写真のような状態になると、再生も不可能でデジタル化することができなくなります。劣化する前にデジタル化していかなければならないので、時間との闘いという側面もあり大変な作業です。
再生機材も重要。大切に使っています
ビデオテープなどの記録媒体の映像は経年劣化もありますが、それを再生する機材もとても重要だということです。再生する機械が壊れてしまえば再生ができないので、デジタル化もできないということになってしまいます。かつて一般に普及していたVHS方式のものはともかく、ベータマックス方式のビデオ再生機はとても貴重なものです。また、放送局であるのでプロ用の特殊なビデオテープも使用していたため、それらの機材も数が少なく、大切に使用しているそうです。ひと口にデジタル化といっても大変な苦労があるのですね。
展示施設 ①メモリアルエリア
ライブラリーセンターの1階にある展示施設・メモリアルエリアには、開局以来RSK山陽放送が使ってきたラジオ・テレビ関係の機材の実物が展示されています。16mmカメラも撮影ボタンを押すとカタカタカタと動きます。
取材現場で活躍してきた映像機材等も展示されていました。取材用のテレビカメラは実際に撮影することができ、モニターに撮影した映像を映して見ることができます。実際に手に取ると重みや手触りを実感できます。自分がテレビ局のカメラマンになったような感覚でした。小中学生に大人気のコーナーです。
昭和レトロコーナーには白黒ブラウン管テレビ時代の居間が再現されています。テレビでは月光仮面が再生されていました。波々のブラウン管テレビの画面に懐かしさを感じる方もいらっしゃるでしょう。
そのほかにも懐かしいラジオカーやテレビの視聴方法のパンフレットなど、ラジオ・テレビ局の歴史を知ることができる資料も展示されています。
展示施設 ②視聴ブース
センター内の視聴ブースでは、保存されている映像を視聴準備の整ったものから順に追加公開しており、RSK山陽放送が保存している岡山・香川の映像を見ることができます。明治から昭和に至るまでの「その時」を閉じ込めた映像は、見る人に力強さを感じさせます。視聴ブースは3基あり操作も簡単です。
大正時代の倉敷の様子や昭和初年の笠岡港、岡山空襲直後の岡山市街地、戦後の豊かになっていく生活の様子、賑わう商店街などとても貴重な映像ばかりです。その他にも備中売薬(昭和36撮影・全国的に有名な越中売薬のモデルともいわれる備中売薬は、300年以上の歴史があります)。ホイットニー少佐のフィルム(昭和20年撮影・進駐軍岡山軍政部の初代部長だったエドウィン・C・ホイットニー少佐が撮影した終戦直後の岡山の映像は、混乱期の郷土を写した貴重なものです。映像の情報を基に、場所の特定など解析が進められています)などの貴重な映像も見ることができます。
鉄道ファン必見の失われた鉄道映像
今は失われた、かつて岡山県内を走っていた鉄道の映像もたくさん残されています。西大寺軽便鐵道、井笠鉄道、下津井電鉄、伯備線デゴイチ3重連、新見機関区、香川県の塩江温泉鉄道、山陽新幹線開通など、鉄道ファンにとってはよだれの出る映像ばかりです。
展示施設 ③プロジェクターコーナー
プロジェクターコーナーでは様々な映像が大画面で上映されています。決まったテーマに従っていくつかの映像が常時映されていました。取材した日は梅雨期の岡山の様子が。今は見なくなった苗代や手植えによる田植えの様子が映されていました。
岡山城周辺の大パノラマ
展示室に入るとひときわ目立つ大きな岡山城周辺のパノラマ写真あリます。旧山陽放送会館のアンテナのタワーから撮った、岡山城天守閣が復元される前の岡山城周辺の様子を知ることができます。取り壊される予定になっている隣の旧岡山市民会館の裏話や、岡山城天守閣の復元される様子などもパネルや映像で詳しく知ることができます。
岡山映像ライブラリーセンターの名物解説員さん
岡山映像ライブラリーセンターには、言い方は失礼かもしれませんがまさに“生き字引”と言えるほどのとても博識な解説員の方がいらっしゃいます。それが小松原貢さんです。テレビ局のことや公開されている映像について詳しく説明してくださいます。お話をお聞きしていると楽しくて時間が経つのも忘れてしまいました。自分が見てみたい映像をリクエストしても膨大な量の資料の中から見つけてきて見せてくださいます。小松原さんがいらっしゃる時に行くのがとってもおすすめです。
他にも珍しい資料も
その他にもレコード蓄音機やその前のエジソン型の筒形蓄音機など。また、いろんな形式のビデオテープなど記録媒体の歴史も見ることが可能です。普段は展示されていないので希望の方は申し出れば見ることができます。蓄音機などは実際にとてもレトロな音を聞くことができます。
おしまいに
今回、今まで誰でも入れる施設だとは思ってもいなかった「岡山映像ライブラリーセンター」に行ってみましたが、とても内容が濃くて充実した楽しい時間を過ごすことができました。新しい映像も順次公開されるのでまた折を見て行ってみたいなと思った施設です。またここでは、広く一般家庭や企業に眠っている古いビデオテープやフィルム映像などもデジタル化して保存しています。もしこのようなものをお持ちの方は一度チェックしてみるのも良いかもしれませんね。歴史・風俗風習的なものが映っていると後世に残せる貴重なものになるかもしれません。
【岡山映像ライブラリーセンター】
所在地:岡山県岡山市北区丸の内2-1-3
TEL:086-225-8622
開館時間:10:00~17:30
休館日:土曜日・祝日(但し企画展開催時は異なる場合あり。GW期間中は開館)
入館料:無料
駐車場:なし ※近隣の有料駐車場を利用